Science park 2025年9月号★認知症はグリア細胞で治す★

高齢者は感情面で易怒性や攻撃性などの変化が起こりやすく、認知症では人格の変化により気分障害も現れます。

これらの行動には性格が関係しており、個人の性格特性は多数存在し、それらが混ざり合って個性が形成されます。

今回は、認知症患者の気分障害を細胞レベルから緩和する最新の介護技術を紹介します。

さて、心理学では性格特性には「ビッグ・ファイブ理論」っていう有名なモデルがあって、性格特性を5つに分けて考えていのです。

開放性▶新しいことにチャレンジする好奇心が強い
誠実性▶計画的で責任感がある
外向性▶社交的でエネルギッシュである。
協調性▶人に優しくて思いやりがある。
神経症傾向▶不安やストレスを感じやすい

これらのように性格特性は人によってバランスが違っていて、それがその人らしさにつながるのです。ちなみに、性格特性は環境や経験で少しずつ変わることもあるので、

個別性を数えると5000種類程度になるともいわれています。この性格特質は全て脳の中に埋め込まれています。

ところで、人格形成のスタートラインが生後すぐの時期だと思っているのなら、それは間違いです。

ほぼ受精の瞬間からはむくまれてきているのです。受精のとき両親から唯一無二の性格を受け継ぎました。両親から受け継いだ性格の中に基礎となる様々な特質があるのです。

そうした特質のほとんどが両親からの遺伝です。

それらが脳のどんなところに埋め込まれてきているのかも分かってきました。

自分が外交的か内向的かを知るのに、脳の検査は必要ありません。

用意するのは、レモンの果汁だけ・・・レモンの果汁をほんのひと絞りすれば心の働きが明らかになるのです。

内向型性格と外交型性格を形作る要因を調べるには、レモンの果汁で30秒間に分泌する唾液の量を調べます。

味蕾という器官を刺激し唾液でテープを湿らせては箱に封をしていくのです。

レモン果汁は脳の働きを解明してくれる働きを与えてくれるでしょうか。

内向的なほうが外交的なほうより唾液量が多いのです。

さて、本題に戻りましょう神経細胞の周りにある細胞、グリア細胞。神経細胞を繋ぐ細胞です。神経の働きを助ける細胞です。

末梢から脳までものすごくたくさんあるのです。

そして、熱いか暖かいかが分かるだけでグリア細胞の存在が分かるのです。

温度が伝わる神経は複数ありますが、暖かいと伝わる神経は遅い経路、熱いと伝わる神経は速い経路です。

この速さの違いにグリア細胞が関わっているからです。速いと言う経路は危険という経路でもあり、グリア細胞が神経細胞についています。ですから逆にのんびり伝わる細胞にはグリア細胞がついていないのです。

感覚などの情報は、神経細胞に電気信号が流れることで脳に伝えられます。

情報を伝える電気の通り道が神経細胞の枝、軸策と呼ばれる神経線維です。

軸策を覆っているのがグリア細胞なのです。

軸策の周りを何十にも巻いているのがグリア細胞です。

どうしてグリア細胞があると信号は早く伝わるのでしょうか、グリア細胞があると一秒間に100mの速度で伝わります。

脳は神経細胞の集まりです。グリア細胞は脳の大脳皮質や海馬に多いのです。

大脳皮質にはグリア細胞がニューロンの神経細胞の2倍あるのです。

かつては脳の中の神経伝達は神経細胞だけが行なうと考えられていました。グリア細胞による別のネットワークがあることが分かってきました。

神経細胞と同じように興奮することが出来、情報を周りの細胞に伝えることが出来るのです。

グリア細胞のネットワークは、神経細胞が過剰に興奮するのを抑え安定した状態に保つと言う働きをしています。

神経細胞とコミュニケーションを行い、脳の機能を維持しているのです。脳は興奮したり抑制したりを交互に繰り返しています。グリアが全体として抑制している状態を利用しているのです。

神経細胞とグリア細胞は互いに関係しあっています。

神経細胞は電気を使って非常に早くピンポイントで情報を伝達しますが、グリア細胞は電気を出さないで物質だけを使って情報を伝達するので、非常に広範囲でゆっくりと情報を伝達するのです。

グリア細胞は神経細胞に向けてたくさんの腕を伸ばして、神経細胞の突起スパインを掴むように絡みついています。

私たちの脳の中では神経細胞が複雑な経路を作り、電気信号によってやり取りしています。

記憶は電気信号の経路が新たに作り出されることによって生まれると考えられているのです。

その経路を決めるのが、神経細胞同士の接点に当たるシナプスで、信号のやり取りをします。信号を受け取る側の突起がスパインです。

グリア細胞はスパインに絡みつくように接することで、スパインは長時間存在することが出来ます。

スパインの成長を促し、記憶の形成に関わっているのです。グリア細胞との接触が強いものほどシナプスは成熟し安定するのです。

グリア細胞が記憶や学習をコントロールしていて、グリア細胞がよく働くと脳の記憶力がよくなるということです。

グリア細胞は記憶そのものに関わっているわけです。

神経細胞は病気や怪我などに会うとSOS信号を出すのです。その信号をいち早くキャッチし神経細胞に近づいていく細胞が、ミクログリアと呼ばれるグリア細胞の一種です。

ミクログリアは神経細胞を守る働きをしています。脳を常に監視し守っているのです。

そしてまた、死んでしまった細胞を食べてしまう働きもあり、脳の中の免疫とも言われています。

アルツハイマー病の方は記憶を司っている海馬にたんぱく質の塵、アミロイドβが蓄積しこれがたまるとアルツハイマーを発生します。ミクログリアはこのアミロイドを食べてくれるのですが、ミクログリアの活性化がアルツハイマー病の進行を早めている可能性もあり、ミクログリアの活性化を抑える免疫抑制剤によって認知症の進行を抑制できるかもしれないと、研究が始まっています。

アルツハイマー病だけでなく、統合失調症やうつ病もグリア細胞の影響ではないかと考えられています。

内向的か外交的かという特質は生まれたときにすでに定まっていますが、性格の様々な側面が形成されるのは誕生してからの数年間です。

親たちは一緒に遊んだり物を教えたりすることによって、赤ちゃんの脳の発達に物理的な影響を与えることが出来ます。

幼少期は性格の発達にとって、最も重要な時期なのです。

幼少期の体験が将来の性格を左右するのはなぜでしょう。

それは、脳の働きに関係しています。

子供たちの脳の成長振りは、驚くばかりです。すべては、ごく小さなレベルで進みます。

幼い時期ニューロンと呼ばれる神経細胞は、次々と突起を伸ばしては結合されていきます。

その一方では不要になった突起や結合が、同じだけの速さで刈り込まれていきます。

これは成長にしたがって性格の様々な側面が育っていくことを意味します。

子供たちの脳にこうした絶え間のない結合と刈り込みを促すのは周囲で起る出来事やそれに対する反応です。

子供時代の特定の経験が性格のある側面を形作ることもあります。その過程を見てみましょう。

子供時代の経験から性格が形作られていく課程は小麦畑の中を歩くにも似ています。

よきにつけあしきにつけ目新しい体験をすると脳内ではニューロンの新たな結合が形作られます。

すなわち新たな回路が出来るのです。

そうした回路は子供たちの行動に後々まで影響します。

始めは目立たない回路かもしれません。

小麦畑を始めて通ったような痕跡のように、しかし子供時代に何度も同じ経験を繰り返していると、その行動は次第にパターン化し始め、脳の回路も・・・より確かなものにと変わっていきます。

したがって、その回路は幹線道路のようになり正確に新たな側面が加わるのです。

子供の頃に身についた特質は、たいていの場合その人が一生を終えるまでついて回ります。

人間がもつ様々な特質の中には、好ましいものもありますが、一方では好ましくないものも存在します。

怒りに我を忘れてしまう回路です。・・・体の血は滾り、怒りに任せ悪態をついてしまいます。体は動いているのですが、頭は10秒ぐらい真っ白になってしまいます。

怒鳴ったり、叫んだり、罵ったり一瞬のうちにそうなってしまう回路です。

その後も2時間ぐらいはずっと怒っていますが、後になって恥ずかしくなるんです。

話を変えると、心理学的には、怒りは一種の現実逃避だといえます。

怒った後は自己嫌悪に陥ります。脳の構造改革を通じて心の働きを変えていきます。

怒りの引き金を引くのは、脳の奥深くの偏桃帯と呼ばれる領域です。

脳には衝動的行動を抑制する領域があります。

それが前頭葉です。

いわば脳のコントロールセンターです。

前頭葉の影響力を高められれば、怒りを押さえ込めるようになるかもしれません。

怒りと言うものには何らかの引き金があります。理論的には前頭葉の影響力を高まればいいのですが、怒りの引き金は、どんな行動をするのでしょう。叫び、怒鳴り、興奮状態におちいるのかもしれません。

頭では状況を把握できないので、物にあたったりします。壁を叩いたりもします。

いわば脳内の戦いなのです。

意識の領域では自分の感情や行動をきちんと認識しています。一方、習慣を司る部分は、反射的に働くだけなのです。

肝心なのは、怒れる偏桃帯を前頭葉に押さえ込ませること。強調したいのは頭を冷やす時間をとると言うこと、例えば何か気に入らないと言う場面に直面したら、その場をいったん離れる。

性格と言う観点から見ると、ある意味、脳はオーケストラに似ています。

オーケストラは様々な楽器が一つのパートになって音楽を奏でます。

脳もまた性格を形作る様々なパートを持っています。指揮者の働きを果たすのは前頭葉、指揮者が様々な楽器の奏者に指示を出すように、前頭葉も性格の様々な面をコントロールします。

前頭葉の指揮が確かなら、私たちの性格も調和が保たれ美しい音色を奏でます。

また、お会いしましょう

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