国際情勢を見渡すと、たとえばウクライナとロシアは、かつては歴史的にも近しい関係にありました。しかし、近年は価値観や政治姿勢の違いが目立つようになり、ウクライナが西側諸国の価値観に歩み寄ろうとしたことで、ロシア側はこれを裏切りと捉えるようになりました。そのため、まるで「信頼が揺らいだ親しい友人同士」が対立を深めているかのような印象を受けます。
また、イスラエルとパレスチナの問題では、宗教的な違いや長年にわたる相互不信が根底にあります。両者は同じ土地を「聖地」として重視しているものの、その所有権をめぐる争いが長期化しています。それぞれが「自分こそが正しい」という強い信念を持ち、譲ることができないため、対立が続いているのです。
イエメンの場合は、国内の権力闘争が発端ですが、これに周辺諸国が自国の利益を求めて介入したことで、事態はより複雑化しました。例えるならば、家族間のけんかに近所の人たちが加わり、争いがさらに混迷を極めてしまったような状況です。
こうして調べてみると、紛争って「大きな人間関係の問題」みたいに見えてくますね…。
心が平和で満たされる日が早く来るといいのですが***
生活でも「関係が最悪だ」と感じるような人間関係の悪化が話題になることがありますが、私は必ずしもそうとは思いません。どんな集団や関係の中にも、意見や価値観が大きく異なり、互いに歩み寄るのが難しいタイプの人がいるものです。
少しおさらいですが、「保守的な人」とは、昔からの習慣や伝統を大切にし、それを守ることで自分の信念を貫こうとし、相手と妥協せず、時に強い姿勢で主張を通そうとする人を指します。
一方で「リベラルな人」とは、「古い考えは捨てて、新しいことに挑戦しよう!」という革新的な考えを持ち、極端な方法は取らず、相手と協調しながら円満な解決を目指す人です。英語の「liberal(自由な)」や「liberty(自由)」といった言葉が語源となっています。
さて、あなたの周りにも、保守的な考えの人もいれば、リベラルな考えの人もいるでしょう。どちらのタイプに自分が当てはまるか、考えてみてください。
学術誌「Current Biology」に掲載された、バージニア工科大学カリリオン研究所のリード・モンタギュー博士らによる「保守派かリベラル派か」に関する研究では、83人の男女に赤ちゃんの笑顔や美しい風景、動物の死骸、うじ虫など、さまざまな画像を見せ、それぞれの写真についてどれくらい「ゾッとした」か?を評価し、そのときの脳の活動をfMRIで観察しました。
興味深いことに、写真への評価自体には保守的な人とリベラルな人で大きな違いはありませんでした。
しかし、どちらのタイプであるかによって、写真を見た際の脳の活動パターンには違いが現れたのです。具体的には、嫌悪感や感情の制御、注意力、さらには記憶に関連する脳領域の活動が異なり、その活動パターンを分析することで、その人の傾向を95%の精度で予測できたと報告されています。
あなたは、保守派ですか?それともリベラル派ですか?
現代において、人間関係が悪化していると言われる理由の一つに、利己的な行動が目立つことが挙げられます。忙しい生活や競争の激しい社会の中で、多くの人が自分の利益や目標に集中しすぎる結果、他者を思いやる余裕を失いがちです。しかし、利己的な選択が短期的には便利に見える一方で、長期的には信頼関係や協力の精神を削ぐ要因にもなり得ます。
一方、利他的な行動は、他者を支え、信頼を育み、人と人との絆を深める力を持っています。
例えば、日常の小さな「ありがとう」や「手伝いましょうか」といった利他的な行為が、社会全体の雰囲気を大きく変える可能性を秘めています。利己的な考えではなく利他的な姿勢を選びとることが、個々の幸福や人間関係、ひいては社会全体の成長に繋がることを理解し、日々実践していくことが重要と言えるでしょう。利他的な選択は、一滴の水が川に溶け込み、やがて海の一部となるように、広い影響を与える可能性を秘めているのですから***。
ところで、あなたは人間関係についてどう考えますか?
人それぞれ、さまざまな考え方や価値観を持っていることでしょう。
しかし、保守派とリベラル派の意見はしばしば交わることなく、互いに理解し合うのが難しいこともあります。
これは、脳の仕組みそのものが異なるためかもしれません。
そこで、fMRIを用いた実験が紹介します。
保守派とリベラル派、それぞれの被験者にシンプルな賭け事をしてもらい、その決断を下す際の脳の活動を観察したのです。
それぞれの被験者に百円を渡します。その百円は“キープ”することも“賭け”に使うこともできます。
勝てば2倍になり、負ければ全ての持ち金を失うという単純なゲームです。
実は、この実験には…勝ち負けは関係ないのです。
狙いは政治的関係とは無関係で、脳がリスクを処理する仕組みを観察することです。
驚くべきことに、保守派とリベラル派では、リスクを処理する脳の領域が大きく違っていたのです。保守派の脳は、全てを賭けるかどうかの決断で、常に扁桃体を使っています。
扁桃体は、直感や戦うか、逃げるかの反応を司ります。
保守派の脳は、賭け事のリスクを脅威として感じているのです。
一方、リベラル派は、賭け事の際に常に島皮質を使います。
島皮質は感情の認知を司ります。リベラル派にとって、リスクは解決すべき問題なのです。
もう少し詳しくいうと、島皮質は、意識的な感情を生み出す“心の体験”と関連していて、直感的な感情の体験である“気分の状態”をコントロールする役割を持つ領域です。
ゲームによる両者の出した結論は、ほぼ同じでした。
しかし、脳は全く違う体験をしていたという訳です。
実験でわかったことは、保守派かリベラル派かの違いが、目に見える全てを左右するということなのではないでしょうか?
一見、政治とは関係のない賭け事のような行為でさえ、世界の見え方や心の持ち方が、全く違うことは、驚くべき結果です。
ということは、私達が無意識に持っている…政治的思想は、生まれつき脳に組み込まれているということでしょうか?
まだ、はっきりと分かっていませんが、多くの研究家は、4歳から8歳までの未成年者の脳(ニューロン研究)を比較しながら、その啓示的な変化を使って、継続的に調査しているのですが、現時点で分かっていることは、人は20歳頃になると、保守派か!リベラル派か!によって、扁桃体と島皮質の大きさに違いが出るということです。
つまり、政治的思想が脳で固まるのは…、ほとんどの場合20歳迄だろうと言えるのではないでしょうか!
したがって、この先も保守派とリベラル派の意見の一致を見ることはまずなさそうです。
政治家や政治に熱心な人達は、反対の意見を理解することはできます。でも、脳が決して賛成はさせないということなのです。
マイアミ大学の心理学教授であるMichael McCullough博士によると、こうした保守派やリベラル派の感情は脳内で「目の前に達成感がある」といった感覚を生み出しているのではないかと言います。
それは、喜びや報酬よりも…むしろ、目標に向かって突き進む欲望を追及し、復讐心を掻き立てるものだとも言っています。しかも、怒りはやがて習慣になるとまで…
https://www.gizmodo.jp/2018/09/why-your-brain-holds-a-grudge.html
しかし、もしかすると進化の過程で、全人類の幸せを願い、互いに心を開くように脳の仕組みを変えられる方法が見つかるもしれません。
私が考える解決方法は、あなたと私が変わるために最善を尽くすことだと思っています。
怒りや復讐心は、進化の過程で自己防衛や生存のための重要な役割を果たしたと言えます。しかしながら、現代社会ではこの感情が関係性を壊したり、争いを生む原因となることもあります。だからこそ、私たちの未来には、怒りや憎しみではなく、共感や理解を基盤とした新しい人間関係のあり方が求められています。
進化的視点で考えると、人間の脳は変化し続けています。AIや脳科学の発展により、例えば感情をコントロールする技術が進化する可能性もあります。これにより、人々はより平和的で協力的な関係を築けるようになるかもしれません。例えば、脳内の特定の領域を刺激することで怒りを和らげ、ポジティブな感情を促進する技術が考案されることも想像できます。
さらに、AIやロボティクスを活用した未来の人間関係も注目すべきです。例えば、AIが感情認識技術を活用して、怒りやストレスを事前に検知し、争いを回避するような対話を提案することが可能になるでしょう。「人間関係の近未来館」として、感情に基づいた協力のためのプラットフォームや空間が設計され、人々が心を開き、互いに理解を深める手助けをする場が提供されるかもしれません。
これらの技術が実現すれば、感情に振り回されず、より安定した人間関係を築く未来が訪れる可能性があります。それは単に怒りを抑えるだけでなく、真の意味での幸せと調和を追求する社会を形成する手助けとなるでしょう。
こうした未来を描きつつ、私たち自身も小さな努力を積み重ねることが重要ですね。例えば、日々の会話の中で意識的に優しさを選び取ることや、怒りを感じた時にその根本的な原因を冷静に考える習慣を持つこと。その積み重ねこそが、未来の変化の基礎を築いていくのではないでしょうか。