人生40億回の鼓動
人生40億回目の鼓動、この記念すべき心拍数に達したら、幸運を祝ってほしい・・・ 人生に乾杯、そして、素晴らしい旅に祝福あれLIFE、それは一人の人間が歩む、素晴らしい人生の物語、しかし、私の懐かしき思い出は鼓動の響に逆向しながら落ちて消えていく・・・
そして、そのすべての瞬間は、私たちの内に刻まれた永遠の光となり、新たな鼓動を刻み続け、心の奥底に響く愛の旋律は、時を超え、未来へと続いていく。
~第4章 青年期~
今、思えば運命だったのだろう!
だが、もし1947年に私は京橋にあるスーパーに勤めていなかったら、もし彼女がスーパーに買物に来なかったら?
12億8100万42回目の鼓動、この時すべてが変わった。
科学的に言えば、この時様々なことが起こっていた。
高鳴る胸の鼓動は、アドレナリンの放出が、洞房結節に影響を及ぼしたせいだ。
私は無意識に彼女の品定めをする。
ふっくらした唇、ツヤのある髪、くびれたウエスト、彼女は健康で子孫を残せる女性だと判断した。科学的な話はここまでにしましょう!
肝心なのは、最高に賢くて楽しくて美しい人が、私に微笑みかけていたということ…
ずっと笑顔でいてほしかった。
まじめに働く必要を感じスーパーマーケットを辞め定職に就いた。
海外の食料品を扱う商社だった。物資が足りない日本では、毎日のように大型船が大井埠頭にやってきては砂糖や小麦、ジャムなどの食料品の積荷がおろされた。
今のようなコンテナがあるわけではないので、全部が人力によってチェーンを巻上ながら積み下ろしていた。あちこちで響くチェーンを巻く大きな音だ。
そのせいか耳鳴りが何時間も続いた。当時は知らなかったが耳鳴りは注意警報だった。
音を増幅させ、脳に信号を伝える聴毛は、大きな音によってダメージを受けるようだ。壊れてしまった聴毛は、もう音を伝えない。
だが、私には彼女しか頭になかった。性行為は楽しいだけでなく健康にもいいのだ。
セックスの時分泌されるホルモンは、ストレスを減らし血圧を下げる。痛みを感じにくくするホルモンもある。オーガズムの後には、安らぎを与えるホルモンや食欲を増進させるホルモンも分泌される。
1954年私は寿命を約2年半、伸ばす決断をしたのです。
…というのは、つまり、理想の女性と結婚した。
そして、彼女は妊娠した。
驚いたのなんのって、競争の勝者は男の子だった。名前を祐治と付けた。それまで味わったことのない感覚だった。
私達は生物学的な目的を果たした。遺伝子に組み込まれた子孫繁栄の行為を実行したのだ。
あとは大人になるまで面倒をみればいいのだが、それは容易ではない。家族と共に部屋数や借金も増え睡眠時間は減った。子供、仕事、勉強、生活費、毎日がまるで早送りのように過ぎた。30歳を過ぎると細胞の再生能力が衰えていった。
目など体のパーツに年齢の影響が出始める。だが、視力に関しては簡単な解決法がある。“メガネ”だ。
はっきり見えて少しの間は、いい気分だ!18億4万6012回目の鼓動、初めての白髪…髪の色は毛包で作られるメラニン色素の量で決まる。
年を取りメラニンが不足すると髪に色がつかなくなる。
髪は約10万本以上も生えているため、数本の白髪は大して気にならない。
それに最初のうちは簡単な解決法がある。。。。抜けばよいのだ。
アメリカのアポロ11号が月面に着陸、アームストロング船長が人類で初めて月面を歩いている様子をテレビで見ていると、一本の電話が母親から入った。
こうして人生最悪の1年が始まった。
テレビでは、一人の人間にとっては・・・
小さな1歩だが、人類にとっては大きな飛躍であると話していた。
1969年7月父が亡くなった。
いつかこの日が来ることは分かっていても、当然、ショックを受ける。
1年後、今度は母親が逝った。心不全だったが、悲しみが原因だと思う。愛する人の死はコルチゾールの分泌量の増加をもたらす。体調が優れなかった母には、ダメージが大きすぎたのどろう。両親は多くを与えてくれた。恩返ししたかったのに…
その1年後は、自分の子供達のために頑張る私、40歳代にしてはなかなかまだまだ20代の若者には負けない!
新しい職に就き、万事がうまく進んでいるように見えた。
だが、体はよくない方向に向かっていた。
1日の活動中、血管を流れる血液は、なんと約1万9000㎞も旅をする。
北海道から福岡を・・・日本を20回横断するのに等しい距離だ。
それには柔軟な動脈が鍵となる。
第5章は中年期のお話です。