これは何だと思いますか?
竜巻?宇宙…銀河みたいですね?
宇宙空間を駆け巡るワームホールのようにも見えますね!
ところで、私たち人間は、考える動物だということを知っていましたか?
古来、人間の定義は、さまざまになされてきましたが、動物学的に言うと“霊長目ヒト科”に属するホ乳類、ホモ・サピエンス(知恵ある人)なのです。
人間を表現したもので、最もよく知られているのは、フランスの哲学者パスカルの次の言葉でしょう。「人間はひとくきの葦(あし)にすぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である」つまり、人間の尊厳のすべては、考えることのなかにあり、考えが、人間の偉大さをつくるとしたのです。簡単に言えば…人間は考える動物だということなのです。
では、人間が考える時、頭の中はどうなっているのでしょう!
脳は自由に体を動かしたり、考えたり、話したり、感じたり、体や心を動かしています。
その時、人間の脳の中で、神経細胞がどのようにつながり、どのように働いているのかを明らかにするのは、簡単なことではありません。そうした難題に挑んでいるひとりが国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の山下宙人さんです。
「脳活動ダイナミクス推定法」と呼ばれる手法で、人間の脳が領域間でどのように情報をやり取りするのか、世界で初めて映像化することに成功させた科学者です。
山下さんが最初のテーマとして取り上げたのは、「私たちが人の顔を見た時」の脳の反応です。目から入ってきた信号が脳の一番後ろにある「視覚野」に伝わり、そこからわずか0.2秒ほどのあいだに脳の一番前にある「前頭前野」にまで広がっていく様子が鮮やかに浮かび上がったのです。
つまり、脳の中を見てみると電気が神経細胞を駆け巡っているということです。
電子を作り出しているのは神経細胞、細胞と細胞が繋がって、まるで隙間なく枝と枝が絡み合って先も見えないほどの森林のようです。
これは、実際に神経細胞から神経細胞へ電気が走る様子です。
こうやって電気信号を使って情報をリレーしているのです。
これが考えている時の頭の中です。
細胞と細胞の間をよく見てみましょう!
隙間が見えます。これでは電機が途切れてしまいますね!
この隙間はどうやって信号を伝えているのでしょう・・・電気が細胞の端にたどり着くと、たくさんの粒が出てきて、次の細胞に信号を伝えるのです。粒を受け取った細胞は、
また電気を作り出して次の細胞へと信号を伝えていくのです。
この神経細胞の繋ぎ目をシナプスといいます。
隣の神経細胞に信号が伝わるには、シナプスが元気に働くことが大事なのです。
1千億の神経細胞と数え切れないほどのシナプスが、考えたり、感じたりする力を生み出しているのです。
ところで、人間の想像力はどういうときに生まれるのかご存知ですか?
実は、“ボーっと”することなのです。
この状態をデフォルトモードといいます。“ぼんやり”と何もしない時に電気信号が自由に飛び交って、ものすごいヒラメキが生まれるのです。寝ている時だって、ちゃんと働いているということです。
脳は常に電気信号を送っている臓器なのです。しかし、体全体に指示を出す脳ですから、勝手気ままな“バラバラ”の信号を送られては困りますよね!
さて、ヒトはどうやってモノを覚えるのでしょう!
海馬とは、脳の中央に合って二本の角のような部分、海馬の中にはモノを覚える・・・つまり記憶を作り出す神経細胞があるのです。
ヒトの顔を覚えようとすると、顔の情報が電気信号になって脳の中を駆け巡るのですが、目から入った顔の情報は、視覚野から記憶を作り出す海馬にある神経細胞まで伝わります。これが記憶を作り出す細胞、電気が発生して次の細胞まで信号が走ります。
こうやって電気信号をリレーしていくと、ひとつのルート(回路)が完成するのです。
実は、これが記憶の正体なのです。
新しいルートが出来ると新しい記憶が生まれる。
こうして入ってきた情報をいろいろなルートに振り分けることで、記憶が次々に作られていくと考えられているのです。
海馬で作られた記憶は、やがて脳の表面に移されると長い間、忘れずに覚えていられるようになるのです。これは竜巻や宇宙ではなく、実は脳の中にある海馬だったのです。
まさに記憶のルートが作られている神経細胞の様子なのです。
まるで思い出を作るオーロラ!
物覚えが良くなりたい、賢くなりたい、そんな時は、運動すると記憶力が良くなると言われています。
それから、繰り返し覚えてシナプスを使うほど、信号が伝わりやすくなり、しっかり覚えておくことが出来るようになります。
特に楽しみながら覚えた事や大好きなことなどは、大人になっても…忘れることなく、よく覚えていると言われているのです。
好きなこと、楽しいこといっぱいしておくと…年をとった時に助けてくれるかも知れませんね!
みんなの身の回りを見渡すと、物忘れが多くなったお爺ちゃんやお婆ちゃんに出合うことが増えてきていませんか?
年をとってくると、記憶や判断力などの能力が低下して行く脳の病気にかかってしまうことがあります。ご飯を食べたことを忘れたり、今はいつなのか?ここはどこなのか?君たちのことすら分からなくなってしまい、慣れていたことも出来なくなってしまう病気です。
これは、認知症という脳の病気で、海馬の神経細胞が死んでいってしまう病気なのです。