人の思考を解読してリアルタイムで文字に変換する「心を読むマシーン」があるとしたら・・・
人工知能(AI)で今、最も注目されている技術の一つが「認識技術」です。
画像認識、音声認識、表情認識など、画像や音声といったデータから何を意図しているのかを抽出することが出来る技術です。
この認識技術で人間の行動や生体情報をセンシングして認識することによって衰えてしまった意欲や失ってしまった思考を…もう一度…記憶から想起させることを実現しようという研究です。
たとえば、認知症の人でも、ほんの少しの時間でも記憶が維持できれば、次にやることが分かるのです。これだけでも自立力や自己実現能力は向上します。
認知症の人にとっては夢のような機械でしょう。
ただし・・・使い方次第ですが、認知症の人が何を考えているのかを知りたいと思うことは介護者には…まぁまぁあるわけで、その人の仕草や表情から感情や考えていることを読み取ってケアを行う一種の読心術は、介護現場で昔から行われている支援技術なのです。
技術革新が進んだ現代は、認知症の人の心を読むのは介護者ではなく機械となりそうです。もっとも読心テクノロジーは言葉が話せなかったりする人々に再びコミュニケーション能力を取り戻してくれる一方で、自分の思想が暴露されてしまうという危険性もあるようですが・・・!
忘れてしまった過去の出来事や思い出を覗ける時代はすぐそこに来たということでしょうか。
すでに科学者たちは思考のメカニズムを解明し、心を読むマシーンを実現しつつあります。
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1741-2560/13/5/056004/meta
まずは、人の思想を読み取る読心マシーンの仕組みについてです。
5年ほど前に、自転車用のスマート・ヘルメットが開発されて話題になえいました。乗り手がリラックスしている時や神経を使った時に、ヘルメット内に埋め込まれたセンサーが脳内の電気信号を測定し、その記録データを専用のスマホアプリに転送し、GPSによってマッピングしていくことで、安全でストレスのない走行ルートが浮かび上がってくるシステムで、まさに新境地開拓のアイテムでした。
実はこの「人の心(脳波)を読み取るスマート・ヘルメット」は、アメリカのフォード・モーターのレーシング部門「フォード・パフォーマンス」により、レーシングヘルメットとしても開発され実用化されています。
いままでは、そうした芸当は、脳に電極を当てたり埋め込んだりして、脳が送信する電気信号をコンピュータに接続して解読することで反応の変化から読み取るという方式でした。
現在のマシーンは人が脳内で思考を形成する時に使う母音と子音を解釈するのです。人が脳内で文章を作る時に使う母音と子音の組み合わせを登録し解釈するので、外傷や脳損傷などが原因で話せない人が、再び話せるようになる日が来るかもしれません。
文章は神経信号に基づき解釈され、それがリアルタイムで文字に変換されるということです。
https://www.afpbb.com/articles/-/3222561
人の話す言葉をマシーンが理解して文章に変換することは既に社会実装していますが、今回は言葉を思っただけで文字に変換されて画面に表示するのです。ですから、初めて出会った言葉でも世界中のどの国の言語でも変換可能となるわけです。つまり、言葉ではなく思考を解読するということです。
しかも、その精度は90パーセント以上だといいますから驚きですね!
もともとは、この最新の心を読むマシーンは、人の思考を解読して画面に文字を表示するというもので、認知症や失語症、ALS(筋委縮性側索硬化症)の人など話すことが困難だったり、体が動かなくなった患者を支援する目的で開発されたのです。
これまでにも“読心デバイス”が開発されたことはありますが、今回のマシーンは他と一線を画しているようです。
米カリフォルニア大学の開発リーダーのデビッド・モーゼス博士は次のように話します。
「これまで発表されたものには神経信号の文章をリアルタイムで分類するものはありません。その性能と応用の可能性を鑑みると、私たちが提案する会話補助デバイスのプラットフォームとしてきちんと機能するだろうことに自信を持っています」・・・と話します。
他者の思考に潜り込めたら、人間のコミュニケーションのあり方は、現在とは全く別の次元へと進化するでしょう!
遠くない将来、思考を読むマシーンが完成し、人と人との心の壁を壊し始めるかもしれません。
ニューヨーク大学の神経化学センターでは、心を読むデバイスの製作が進められています。
このデバイスは、思考の正体を電気化学の視点から解析するというもので、成功すれば、どんな秘密であろうと引き出せるようになるといいます。
黙ったままの相手の頭の中を知る。
ものすごい騒音の中で情報を伝える場合などでは、心で会話できれば便利ですね!たとえば、雑音の中で口を開かず意思疎通できる小型デバイスあればどうでしょうか!
他人に悟られることなく会話ができます。
マシーンが読み取った脳波をデジタル信号に変換して、別のマシーンへ送信、相手はその内容を再び変換して理解する仕組みです。
音のない思考の世界のお話です。
しかし、脳が発信する膨大の信号の中に、ある高度なテレパシーシステムがあることが分かってきたのです。遠心性コピーと呼ばれているシステムです。
たとえば何かを話そうとすると、その運動信号のコピーが感覚器官にも送られるのです。頭の中で、それを黙読すれば発話の内容がわかるということです。
https://jp.techcrunch.com/2018/04/07/2018-04-06-mits-new-headset-reads-the-words-in-your-head/
つまり、私が「お腹がすいた」という言葉を話そうとした場合、実際に口を開く10分の1秒前に「お腹がすいた」という言葉が聴覚を司る部位に送られているわけです。
人は何か言葉を発しようと頭の中で考えただけで、表情にも現れないうちに脳からの遠心生コピーが耳に発信されているのです。
ということは、もしその情報をリアルタイムにキャッチできれば、思考を読むことが可能になるのではないかと考えたわけです。
脳の活動は基本的に電気信号のやりとりですから、脳の発信している磁場を測定すれば、信号を解析できます。
脳地図は脳の活動の様子を視覚化できる数少ない研究の一つなのです。
計測には160のセンサーを取り付けた装置を使い被験者が言葉を浮かべるたびに脳の活動を記録しました。
神経細胞の発する信号の磁力は非常に小さく…冷蔵庫に貼ってあるようなマグネットの1000分1程しかありません。
1msつまり1000分の1秒単位で脳全体の活動を記録します。
しかもセンサーは160カ所、その膨大な情報をAIでふるいにかけて意味を見出すのです。
目標は人が思い浮かべた言葉の遠心生コピーだけを正確に取り出すことです。
実際には、その言葉自体の発音だけでなく、その言葉に関連する情報が全て引き出されてしまうのです。
たとえば、「家に帰りたい」言いたいとしましょう!
家という言葉の他に、昔、家で飼っていた猫や台所で茶碗を割ってしまったことなど、膨大な情報が押し寄せます。
その中から家に帰りたい本当の理由を探すのは、1万個の干し草の山から、針を探すような作業なのです。
しかし、この研究が進めば、思考をスキャンする装置で心の奥の秘密さえも暴露されてしまう可能性もあります。認知症の人と家族や介護者、医師などとの関係性が大幅に変わることでしょう!
しかし、無条件に個人の思想に入り込むことはできません。
この装置や検査を受け入れるかどうかは、それぞれが選択できるようにするべきですし、意思疎通の難しくなった認知症やALSの人などとのコミュニケーションツールとしてのみ使用することが原則となるでしょう。
当初、脳地図の検索は部屋いっぱいの機材が必要でした。
しかし、コンピュータがビル一つ分のサイズから、携帯電話へ進化したようにこの技術もポータブルなものになるでしょう!
そうなれば思考を読む技術は、政府や企業のものだけでなくなり誰もがテレパシーを利用するコミュニケーションの新時代が訪れるのではないでしょうか?
昔は人は薪や火を囲み語り合ってきました。今、それはインターネットでありソーシャルメディアで変わりました。
そして、次の時代には、言いたいことを声に出すのではなく、心で語り合うコミュニケーションツールが登場することでしょう。
しかし、人の心を読む技術には、なんらかの規制を設ける必要があるでしょう!自由に思考する権利は、いつの世になっても守られるべきです。
誰に思考を開示して、誰の思考を読み取るのか・・・・などなど?
たとえば認知症の人の心が読めたら…相手の妄想の世界に入り込めたなら…!
もしも相手が嘘をついているかどうかを、高い精度で知ることができたら、人間の定義は変わってしまうしょう!
人間は、前頭葉がある限り常に嘘をつくもので、それはある種の本能だからです。もし、イヤーポッズ(Ear Pads)程度の装置で心を読めるようになって、携帯電話のように普及したら、嘘のない素晴らしい世界になる…?
しかし、誰もがあなたの心を読めるということは、あなたも他人の心が読めてしまうということで、あなたが誰の思考を読み取り、誰があなたの思考に入り込むのか…?
それを選べないと、頭の中は何千何万という思考で溢れかえってしまいます。そうなれば、正気ではいられないでしょう!
そこで、人の心の思考性のシステムを解明するために認知科学の視点から研究しているカリフォルニア大学アーバイン校のマイケル・デシムラ博士の研究を紹介します。
デシムラ博士は、人間が常に意識をどこかに向けているのは、最もベーシックな本能的コミュニケーションの一つだと言います。
通常は目の動きや表情、態度や仕草などの身体を使いますが、私たちは脳波からそれを読み取ろうとしているのです。
カクテルパーティ効果と言われる不思議な現象です。
みんなが口口に喋っているパーティ会場でも、私たちは自分の隣にいる友人が何を言っているのか聞き取ることができます。
周りの人が叫んでいても!ザワザワしている集団の中で自分の名前を無意識に聞き分けられることです。これが、カクテルパーティ効果です。
これを可能にしている脳の信号があるのです。
たとえば、カクテルパーティ効果は多くの人に自然に起こるものですが、補聴器の利用者にとっては、無関係の雑音に対処することが難しく非常にフラストレーションを伴う場合もあります。
そこで、そんな状況を一変させる可能性のある新しいシステムをデシムラ博士は開発したのです。
このシステムは、ユーザーが声を聞きたがっている相手を感知し、その人の声を増幅させることが可能なのです。
聞き手の意図を把握するために、このシステムは音を処理する機能を持つ脳の聴覚野(耳のすぐ内側にある)に取り付けた電極を使用します。
脳がそれぞれの声に集中すると、システムはそれぞれの話者に対応する電気的な個別のシグネチャーを生成するわけです。
つまり、異なる声を区別するよう訓練された深層学習アルゴリズムが、このシグネチャーを、その場にいるさまざまな話者のシグネチャーと比較し、一致度の最も高い声を増幅させ、聞き手が聴こうとしている声に集中するのを助ける仕組を生成したのです。
指向性にまつわる脳の仕組みが明らかになれば、相手を選んでテレパシー通信ができるデバイスの実現に1歩近づきます。
実験にはEEGと言われる脳波を測定する特殊儀実を利用します。
電極のついたキャップをかぶり、脳が発生する電流を測定するのです。
小さな電極一つ一つから集めた信号はコードを通じて増幅器に送られます。
そこで増幅された信号が最終的にコンピュータに送信されDeep Learningを行います。
被験者の周囲には。6台のスピーカーを設置、そして、音声を一斉に流し、パーティのように騒がしくします。
そして、ある一つのスピーカーだけに集中してもらい、その時の脳の活動を記録します。
その様子は、1つの音として得られた音波を、耳の蝸牛が一つひとつ識別し、それぞれのシグネチャーとして脳に認識させながら送っているのと同様に…
一方向へ意識を向けている時の被験者の脳波の特徴を観察して、その特徴を深層学習アルゴリズムにかけシグネチャーを生成していきます。
近い将来的には、脳波のデータを見るだけで、被験者がどの方向、どのスピーカーに集中しているのか分かるようになるでしょう。
指向性は誰もが備えているのもですから、人が集まる場所に行けば、会話するべき相手のシグネチャーを無意識に選んでいるわけです。
それは心の会話でも変わらないでしょう。
しかし、誰に心を読み取らせるかを制御できても、知られたくない不適切な考えまで伝わってしまっては、困ったことになります。
心を読むデバイスのような革新的な技術は。使うものに新たな能力や力を与えてくれるでしょう。
いつか子供達は、こう言うでしょう!
ママ、パパ、昔の人は口も聞けない、おうちによく住んでたね!
本もずっと黙ったままだし、テレビもお話ししてくれないんでしょう!
そんな暮らしとても信じられないよ!
スマートフォンならずスマートホームやハウスは、実用化に向けて動き出しています。
心を読めるヘッドセットやイヤーポッズは既に社会実装が始まっています。
ただし、プライバシー保護を訴える人たちは、数多くの電子デバイスは監視ツールとなんら変わらないと、警鐘を鳴らし続けることにはnot able to change変わり得ないでしょう・・・