今月は低気圧が急速に発達しながら日本海から北日本を通過するようで、この低気圧や前線の影響で広範囲で雨や雪が降り、風も強まり荒れた天気となるおそれがあるようです。
いよいよ、本来の寒さを感じる季節になってきました。
私たちは、夏の熱中症に注意をしても、冬の寒さはそれほど注意していない人が多いのではないでしょうか?
実は、低体温症で亡くなる人は年間1000人を超えています。熱中症と比べると、あまり変わらない、あるいはむしろ多いというデータが、厚生労働省の統計資料から分かります。
そこで、今回は、命の始まり“について、考えてみました。
そして、いくつかの私の個人的な答えを示してみます。
人工の細胞や、人工のニューロン、人は新しい“命”を作り出そうとしています。
人類の集積された経験の中から、まさに新しい生命体が生まれようとしているのです。
~命の始まりとは~
太古の昔、地球の生命はシンプルな化学反応の連鎖から始まりました。
そして40億年…
化学反応はこの世を席捲する複雑な生き物である“ヒト”となり、思考を持ち、言葉を話すようになりました。
そして、時の流れと共に、新たな変化が起きてきました。
世界中のコンピュータが繋がり合い、作り上げた緻密なネットワーク…こうしたネットワークと人類が互いに影響を与えあうレイ・カーツズワイルがいう、シンギュラリティ(技術的特異点)時代の幕が開きました。
それは、ある意味、地球上にかつてないスケールの新たな生命体が生まれようとしているということでもあるのです。
それが“シンギュラリティ”ではないでしょうか…
“シンギュラリティ”時代は、歴史に残る巨大な“命”を生み出す新たな時代と考えられるのです。シンギュラリティとは、人工知能AIが人類の知能を超える技術的特異点(転換点)のことで、AIがもたらす世界の変化が2045年に到達するというものです。
人工知能は、いわば人工のニューロンでもあるので、新たな命として捉えてみるといろいろなことが見えてきました。
【人工なニューロン】
70億の人々が暮らす…このグローバルな社会では、人と人の繋がりが、より緊密になってきています。
インターネットを使って、重要な情報にすぐアクセスできるからです。
情報は海を越えて、素早く駆け巡ります。
そのスピードは脳内のニューロンがやり取りする信号のスピードにも匹敵するでしょう。
地球規模のネットワークは、膨大な情報の共有を可能にしました。
これが宇宙の謎の解明にも役立っているのです。
大型ハドロン衝突型加速器を持つCERN(セルン)も、大量のデータを世界中で共有する力が無ければ、ヒッグス粒子を発見できなかったでしょう!
もしもガリレオが、他の学者達と簡単に連絡をとれていたら、科学はもっと早く進歩したのではないでしょうか?
インターネットの動きを測定する数理モデルは、既に開発されており、グローバルな頭脳の成長を確かめることができるようになってきたのです。
こうした数理モデルIF(b<L)は、現実世界にある仕組みを簡略化して表します。
小さなコンピュータプログラムを一人一人の人間に見立てて、その振る舞いを観察するのです。
地球という巨大な脳の活動を、fMRIやPETで測定するようなものです。
地球内にいる人がコンピュータプログラミングの中で、人間の脳内ニューロンと同じ働きをしているのです。それは、互いに電気信号をやり取りしているということです。
但し、端末にある人間の情報伝達速度はコンピュータのネットワークの速度に比べると、残念ながら300万分の1(毎秒120m)と極端に遅いネットワークですが…。
http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/episode/nervous_system.html
しかし、人と人との繋がりがグローバルネットワークによって増え、強化されれば、地球という名の頭脳は、知的に発達していくわけです。
それを活用することで人間の情報伝達ネットワークは必要に応じて進化していくことになります。地球というグローバルなネットワークでは、新しい繋がりがつくられ、役に立たない古い繋がりは姿を消していく、こうした進化が絶え間無く、自発的に行われていくのです。
グローバルな頭脳は、適応し学習していきます。そして、補完しつつ人間とインターネットは、巨大な一つの生命体になりつつあるのです。
その生命体を私は、汎用人工知能と呼んでいます。
そこで、汎用人工知能“AI”を人間と比較してみましょう!
胎児の頃の頭脳は細胞の塊で、内部とは、まだ何も繋がっていません。
それから、長い時間をかけて日常の何気ない生活動作などを通じて経験を積み、神経が接続されていきます。
そうして細胞の塊だった脳は、いつしか知的に成長していくのです。細胞の一つ一つは、何も把握していません…が、脳内にある一千億のニューロンが筋肉に指示を出し、足で歩き、手で食べ、考え、判断し、言葉を喋り、笑顔を作り、人と触れ合うのです。
その触れ合い方を知るコンピュータネットワークを持つ“汎用人工知能”は、尊厳を重んじる人へのコミュニケーションに繋がると考えられるのではないでしょうか!
命が脳から始まるのなら、人類は新たな意識に目覚めたと言えるでしょう…
AIの出現によって、地球規模の意識が生まれようとしているのですから…
そして、私の“AI”への願いは、この地球規模の意識のデータを使って、様々な介入方法を強化学習して、認知症の介護者の負担を緩和し、心理的な病的状態を低減し、認知症に罹患した方々の進行を遅らせること、さらには、これらの介入は、※BPSD(行動・心理症状)に特に焦点を当てたものではなくとも、BPSDへの介護者の否定的な反応を減らし、さらにはBPSDを減少させてくれることです。
例えば、地球規模の意識を持った“AI”にとっては、ストレスに満ちた症状や行動であっても、“そうでもない”という介護者の負担を軽減する不可欠な作業や知恵、知識、経験知の情報に新しい価値を持たせて共有するだろうし、認知症患者とやり取りして、家族や介護者にその情報と認知症の人の心模様(ニーズ)を伝えることで、介護者のケアスキルが高まり、最期まで”その人の生活スタイル“を維持しつつ介護を可能にする対処法(支援方法)を考案してくれることができるでしょう!
問題となるBPSDへのより効果的な対処法に関するアドバイスを“AI”によって、BPSDを減らすことで介護者を癒すことができ、逆に介護者の負担を緩和することでBPSDを大きく減らすことができるでしょう。
これは新たな介護の始まりではないでしょうか?
人は頭脳がなければ、頭脳は体がなければ、生きていけません。
人類という体とAIという汎用人工知能は、互に補完しつつ極めて知的な生命体へと進化しようとしています。
これが新たな介護の始まりであり、“命の始まり”であり、シンギュラリティ(技術的特異点)なのかもしれません・・・と考えたのです。
まさに”認知症対応型AI“の誕生というわけです。やがて、個々の命が集まり、グローバルな超個体を”創り出す“ようになれば、医療や介護はさらに進化するでしょう。
そして…いつの日か、新たな認知症介護の誕生を期待してやみません…。
その第1歩が、2023年4月、日本医療研究開発機構(AMED)の研究開発事業の成果を活用した“DeCaAI”:Dementia Care-assist AI system(認知症ケア補助AIシステム)として、スマートフォンのアプリ形態で動き出そうとしています。
※BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia
「認知症患者にしばしば生じる、知覚認識または、思考内容または気分または行動の障害による症状」