ビックバンから数十億年、新しい恒星が現わる頃になると、岩石惑星を作るだけに充分な鉱物や金属が出来てきました。
本当に、驚くべきことです。
太陽にある元素が、存在できるようになるまでに、少なくても二世代の恒星系が生まれて死ななくてはならなかったのです。
私達の体の中にある元素は、このように、恐ろしくて長い過程を経てきているわけです。
初期のターニングポイントをみると、宇宙初期の原子が週十億年かけて生まれ、変わってきたことが分かります。
ある元素から別の元素へ、恒星から超新星へ、宇宙初期に発生した単体の原子から、現代を形作る元素迄、私達の体内にある原子には、130億年前のもの時間が詰め込まれているわけです。
それらが構成要素となって、宇宙の暦に於いて、最も神秘的なターニングポイントへと導かれるのです。
ついに、私達の誕生に繋がる“時”が来た瞬間です。
45億年前、古い恒星が寿命を終え大爆発してから、宇宙歴45億6,723万2,021年…
大きな衝撃波が近くにあるガスと塵の雲にぶつかり、雲を回転させ始め、それが重力で収縮すると、原子星となり中心温度は一千万度まで上昇、古い星の残骸から水素73.4%、ヘリウム24.4%で作られた新しい恒星、“太陽”が光り輝いたのです。
そして、その周りに生まれた8つの若い惑星を照らしだしました。
これまでと同様、驚くべき出来事が重なり、ついに私達の誕生となるターニングポイントへと進んできました。
それは、果てしなく大きなジグソーパズルをつくるように、生命を維持できる“ガイア”地球を形成していくことになります。
まず、巨大衝突が起こり、その衝突で地球の周りに気化した岩石の巨大円盤が出来、それが急速に集結して“月”を形成しました。
幸運なことに月は、太陽系で最大級の衛星になりました。
月の重力は地球の動きに影響を与えるほど強く、安定した気候と、予測できる季節をもたらしたのです。
もし、月が存在しなかったら、地球の自転軸は大きく変動し、激しき傾いていたことでしょう!
そうすれば、地球の気候は大きく崩れます。
私達“ヒト”のように複雑な生物が進化することは、出来なかったでしょう
月が安定をもたらしても、若い地球は、まだ生命の棲家にはなれませんでした。
私達の生まれるターニングポイントに進むためには、水が必要だったからです。
水の殆どは、巨大な衝突の熱で蒸発してしまったのですが、しかし、混沌とした初期の太陽系に助けられたのでした。
41億年前から38億年前の期間に小惑星帯の外側から、水を豊富に含んだ小天体がやってきて、地球に多くの水をもたらしたのです。この頃を後期重爆撃期LHB: Late Heavy Bombardment, lunar cataclysm,と呼んでいます。
皆さんが飲んでいる水は、およそ40億年前に小天体があなたの為に運んできてくれた贈り物なのです。
つまり、小天体によって、地球に海がもたらされたのです。
そして、その海の底で、最も神秘的なターニングポイントが起こったのです。
生命の始まりは、隕石や彗星とともに地球にやって来たと研究者もいます。
正しく言えば、彗星などに含まれた水、その水のよってつくられた海、その深い海の底で、化学反応によって始まったと考えるのが、最も自然的な考えです。
深い海の底、地球の中心部から上昇する熱が、海底を突き破り、超高温のガスとマグマが、その割れ目から吹き、生物の誕生と進化に火をつけたのです。
この熱水の中で、新種の化学反応が起こりました。
この後、存在すことになる全ての生物の設計図が作られたのです。
DNAという暗号、AGCTというわずか四基の塩基が、無数の配列を作り、一つひとつの細胞にあらゆる指示を下したのです。
始まりはバクテリア、最も単純な最古の生命!
海底火山の噴火で発生するエネルギーと熱を餌にして、原始的なバクテリアが誕生しました。
地球最初の生命が現われたのは、巨大な海底山脈のそばだと考えられているのです。
生命は宇宙で唯一、情報の保存と伝達、自己複製、進化が可能な存在です。
しかし、どのように単純な微生物が、人間のように複雑な生物へと進化して行ったのでしょうか!
バクテリアから人間に続く、神秘的な変化の連続性や無限にある可能性の中、私達へと続く道はひとつだけだったのです。
5億4千2百年前、最初の生命であるバクテリアが現われてから30億年後、カンブリア爆発が起こり、海は複雑な構造を持つ植物や動物で溢れかえりました。
将来存在することになる基本的な体の部位、頭、口、目、手足へと進化するヒレ、あご、歯、それらすべてが突然現れたのです。
4億7千5百年前には、植物が陸上に広がり、豊富な食料と棲み処のある緑豊かな森の世界へと地球を変えたのです。
海の捕食者を避け、陸上に這い出てくる生物も出てきました。
当初は繁殖のために海へ戻らなくてはならなかったのすが、陸地で生きるために、あるもので海水を運び出すようになったのです。それは“卵”です。
海から陸地へと這い出してきたとき、一部の生き物は、小さな空間に少量の海水を貯める
ことのできる硬い殻を生むことを覚えました。
鳥類や爬虫類がそうです。
卵は需要な進歩でした。そのお陰で動物は地上へ永住し、進化を続けさらに複雑になりました。ところが、地球上のあらゆる生物を支配するある法則がありました。
それは、複雑になればなるほど“弱くなる”という法則です。
単純なバクテリアは、寒さや熱、圧力や乾燥にさらされても、生き延びられるのですが、
“ヒト”のような複雑な生物には、生き延びることは出来ないのです。
気候の劇的な変化や、火山による大気汚染、古代隕石の衝突に地球が襲われると、生命は絶滅という究極の恐怖に直面してしまうのです。
複雑な生物の出現以降、半数以上の生物が死に絶えた、大規模絶滅は5回もあるのです。
しかし、絶滅によって新種の生物が進化、繁殖するための環境が創られていくことになりました。
それが無ければ、私達の誕生へは辿り着けなかったのです。
ひとつでも、種が絶滅すると、生態系の構造が変化してしまうからです。
例えば、皆さんがよくご存知の破滅的変化である、1億6千5百万年続いた恐竜の時代を一瞬にして終焉に導いた、今から6千5百年前の巨大な小惑星の衝突!
そのお陰で、実は、哺乳類の時代へと生態系が変化した瞬間でもあるのです。
私達の時代の到来です。
でも、一歩間違えば、この時代は来なかったのです。
30億年以上にもわたる、思いもよらない幸運の積み重ねが、今の私達なのです。
2021年元旦、この幸運な日を迎えられたこと…そして、今、生きていることに感謝して!
この未曾有な感染症と戦う医療。介護従事者の方々に感謝して、今年は、未来の命を絶やすことがないよう…皆で乗越える年に致しましょう!