Science Park
一回限りの現象を扱う科学 第2回
~ブラックマーブル~
自然科学の中でも宇宙起源論や生命起源論は、何か基準になる場合との比較は問題になりません。
特定の個人の行動の歩みも同様、それ自体はただ一回限りの現象で、反復可能なことを証明できる現象ではなく、一例一例の現象を丹念に観察して分析することは、科学の研究には必要なのです…
様々な角度から一回限りの現象を科学するシリーズ…今回は、ブラックマーブルについてです。
今や私達の世界は、構築されたネットワーク網が繁栄をもたらし、世界を複雑に結びつけています。
まず、私たちのイマジネーション(想像力)は、いかにこの世界を創ったのでしょうか…未来のために、創造力をどう使うのか、人類の歩みを見ながら一緒に考えていきましょう。
私達の世界は、化学技術が行き届き、人々をつないでいます。この先どうなるのでしょうか!
2011年10月28日、ヴァンデンバーグ航空基地NPP衛星を乗せたデルタ2の打ち上げがありました。
NASAが打ち上げたスミオNPPは、気象観測用の衛星です。
これに高感度のカメラが搭載されたことによって、世界のつながりが明らかになりました。
第2回はブラックマーブルについてです。
衛星が地球を312周して撮影した写真を合成して、作成された画像がブラックマーブルと呼ばれる地球です。https://www.youtube.com/watch?v=t4gxp-ckV9o
地球上のほぼ全土で、明かりがついています。ブラックマーブルを見て、私は圧倒されました。
インパクトのある驚くべき画像です。地球全体が電気に覆われています。
帯状に光り輝くナイル川が、カイロで扇状に広がっているのもわかります。
http://livearth.space/blog/?p=1607
領海を航行するトロール漁船の船灯が、国境線を浮かび上がらせます。韓国が明るく輝く一方で、隣の北朝鮮の国土は、暗闇に包まれています。
朝起きて仕事に行き、夜 布団に入るまで、ほぼ全ての行動に電気が関わっています。誰が現代の世界に、照明をもたらしたのでしょうか?
1879年12月3日、ニュージャージー州メロンバーグ、発明家のトーマス・エジソンは、改良した電球を発表しました。
彼はフィラメントを竹と炭素で作りました。かつてないほど明るくて、長持ちしたその電球は、10000時間以上点灯し続けたと言います。
日没後、家で電気を使うには、発電所から電気を送る必要があります。
それには別の発明が必要なのです。
あまり知られていませんが、エジソンは電球以外にも重要な技術を発明していました。
彼は、送配電システムも考案していたのです。
エジソンは送配電用のケーブルを作り、数百個の電球に電気を流すことに成功しました。これが世界初の送配電線です。
エジソンが発端となり、送配電線はわずか100年で巨大なものに成長しました。この線が都市をつなぎ、世界中の人に電気を供給しているのです。
日本では、送配電線は10の電力会社がそれぞれ電力系統をもち、沖縄電力を除いた9電力会社の電力系統は近隣のいずれかの電力系統と接続されています。送配電線520万Km、 総電力量 1,018億kw、1億2000万人以上の人に電気を供給しています。
送配電線は、非常に複雑な技術です。こんなに大規模で高機能な技術は他にありません。どれほどの規模なのか、調べる事すら困難です。これは月平均軌道半径の13倍以上に当たるので6往復半は可能な長さなのです。
送配電線は、世界中に張り巡らされています。世界中で、送配電線から電気を受け取る人の数は総人口の80%にも及ぶのです。一人の人の構想から、驚くべき世界を私達は作り上げたのです。送配電線は複雑で難解なシステムですが、人類が作り上げ広めたものなのです。
電気は現代社会においては、様々な情報を送る神経伝達物質であり、送配電線は神経と言えるのではないでしょうか。供給が断たれれば、その重要性を痛感するでしょう。
突然、全てが止めてみました。
インターネットや照明は使えません。電気が使えなくなって気付くのです。電気がどこにでもあるから現代の社会が機能していると…
電力を維持するために、私達は2つの資源をあてにすることになりました。
私達は資源に依存しており、資源なしに世界は成り立たないことに気付かされます。
アメリカ、ワイオミング州のパウダーリバー盆地は、アメリカ最大級の炭鉱です。
掘られた地面の幅は、1,6キロ以上に及びここで使われる巨大な機械は、1日に数千トンもの石炭を掘ります。
あまり知られていませんが、石炭火力発電の割合は少なくありません。特に中国は石炭火力に頼っているのです。
石炭は発電に使われる主要な燃料源です。
1985年から2015年までのウェストバージニア州のホベット鉱山の拡張。バンクーバーほどの面積をゼロから掘り返してきたのです。
この広大な炭鉱でさえも、アメリカの電力需要の半分も満たないのです。石炭への依存は、世界中で重要と供給を生み出し、石炭の産出国であるインドネシアは、毎年3000万トンの石炭を日本へ輸出しています。
オーストラリアの石炭2100万トンで中国は発展しました。
ヨーロッパの大半の国はロシアから2100万トンの石炭を輸入しているのです。
石炭は発電において頂点に立つ存在です。だが石炭だけでは重要を満たせないのです。
世界中での1日あたりの電力使用量は、一般家庭で使う電力の500万年分に相当するからです。
55兆kWです。
この需要を満たすため、発電所を増やしてきました。2300以上の石炭発電所で電力の41%を発電しています。一方、439の原子力発電所で電力の10%を発電、天然ガス発電所は約3000ヶ所あり、そこでは電力の20%を発電しています。
しかし、これらの天然資源よりももっと重要な天然資源があります。
石油です。
1859年8月27日アメリカのペンシルベニア州タイタスビルで、当時は地表に滲み出ていた石油を採取していました。
そんな中、エドウィン・ドレークは、石油は掘れると主張し、掘削を始めました。
しかし、すぐに問題が発生しました。
深く掘り進めると水脈にぶつかり、水が溢れかえるという惨事に見舞われたのです。
一度も成功しなかったため、人々は彼をバカにしました。だが、彼は諦めず、石油井戸の壁を鉄パイプで強化しました。
その結果、20メートルの採掘に成功し。さらに石油も採取できたのです。人々は彼を見直しました。
その当時、石油の用途は暖房や照明に限られていました。
ドリークは、少しの創意工夫により、人間の活動の幅は大きく広げられると証明しました。
石油の採掘が可能になり、活動の幅が広がったのです。
ドレークが石油の採掘技術の開発に成功したことは、人類史上における転機となりました。
今日、石油探索は世界中で行われています。北はアラスカから南はオーストラリアまで、シベリアの凍土やサウジアラビアの砂漠、世界中で3500もの掘削機が6億3590万リットルを毎時間採掘しているのです。
1分間あたりだと約1065万リットルになります。たった150年の間に159兆リットルもの石油を私達は採掘してきたのです。私達は石油に依存しています。
飛行機はもちろん、車や船が絶え間なく世界中を移動しているのです。石油はただの燃料ではありません。
ドレークも思いつかなかった活用方法を私達は見出したのです。
身の回りのほぼ全ての製品に石油が使われています。石油の影響力は大きく、人類の古くからある習慣を支えています。
貿易です。
世界を結びつけるそのネットワークは、些細なことから始まったのです。
シンプルな金属の箱が規格化され、私達の生活を一変したのです。
この世界は、巨大なネットワークに包まれています。
果てしない道路や鉄道、世界中を飛び回る飛行機、海を進む船舶、こうした物流網を通してものが運ばれるのです。
次回は、世界中をつなぐのに欠かせないネットワークについて考えてみましょう。