~パンスペルミア説~
小惑星探査機はやぶさ2が目指す小惑星1999JU3の名前が、「Ryugu(リュウグウ)」に決まりました。
浦島太郎の昔話に出てくる「竜宮城」にちなんだ名前だそうですが、生命の誕生を解き明かすMissionは、夢とロマンに満ちていますね!
小惑星の物質が入ったカプセルの地球帰還を目指すことになるわけですが、パンスペルミアと呼ばれる仮説によれば、生命の存在する惑星に隕石や小惑星が衝突すると、岩石の破片などが宇宙空間に飛び散り、それが、ほかの惑星に到達することがあるそうです。
この岩石の破片のひとつが、「Ryugu(リュウグウ)」ということですね。
地球には時々火星から隕石が飛来します。
つまり、宇宙規模でモノの移動は実際に起きているわけです。
ただ、火星を始めとする太陽系惑星には、生命の存在は確認されていませんが、完全に生命がいないとは判断出来ておらず、もしかしたら、極部の地域や地下などに見つかるかもしれませんし、木星の衛星である氷に覆われたエウロパは、木星の強大な潮汐力によって生じる摩擦力で内部に熱が発生し、熱い氷の下には熱で溶けた水が有り、生命が存在するかも知れないのです。
同じように最近確認された、土星の衛星のひとつであるエンケラドスは、やはり氷に覆われている。しかもセンセーショナルなのは氷の裂け目から、間欠泉と思われる氷が確認されたこと、これは、この星の下に熱せられた熱い水が有るのではないかと想像が膨れ上がります。
そして、最も有力な土星の衛星、タイタンです。
厚い大気に覆われて、太陽系で唯一、地球に似たような環境をもつ星でもあります。しかし、地表の温度はマイナス200度前後と、普通に考えれば生命なんてとても生きられる環境ではありませんが、地球の環境をベースに考えるのではなく極寒の環境でも適応できる生命体がいるかもしれません。
それが、トランスポゾン配列を持つ細菌やウィルスかもしれないからです。
それでは、私達の太陽系の外から、生命が飛来する可能性は、考えられるのでしょうか…
細菌のような生命体が飛来してくるとしたら、その生命体は岩石に包まれているはずです。
ある程度大きな岩石は、極端な温度や宇宙線に対する防壁となります。
防壁となりうる大きさの目安は、テニスボール程度の隕石です。
2つの恒星系で岩石が受け渡されるためには、片方から岩石が放出され、さらに、それが、もう片方の重力圏に入らなくてはなりません。
小惑星の衝突によって飛び散った岩石が、その恒星系を飛び出すことは、充分考えられます。しかし、それが、別の恒星系に辿り着く確率は、非常に低いです。
なんと言っても宇宙は広大ですから、極めて難しいでしょう…
銀河系における恒星系間の平均距離はおよそ5光年…50兆キロ離れた惑星に岩石がたまたま届く確率は、どれだけ有るのでしょうか。
では、テニスコートで試してみましょう。
テニスコートの1面が1光年に相当するとしましょう。
もし、選手の一人が、テニスボールをコート5面分の距離をサービしたとしても、狙いを定めずに打ち込んだボールが、5面先で待っている選手のラケットに当たる確率は、ごくわずかです。
問題は他にもあります。
銀河系に存在する数々の恒星系は、なんと音速の120倍のスピードで互いの周りをまわっているのです。
岩石が別の恒星系にたどり着いたとしても、スピードが速すぎて、惑星の重力に捕らわれない場合もあります。
数百メートル先から、猛スピードで飛んできたボールを走りながら打ち返すことは出来ますか、その力にガットは破れてしまうでしょう。
そこで、ほかの恒星系から、地球に岩石が飛来する確率を試算してみました。
地球と、その恒星系との距離や各天体の動きも考慮して計算したところ、ほぼ“0”となりました。
しかし、これは現在の話です。
45億年前の状況を考慮してみると、当時の地球からは、ほかの恒星系がよく見えていたことでしょう。
恒星間の平均距離は、現在のおよそ10分の1です。
誕生して間もない頃の太陽系は、ほかの恒星系に囲まれていたのです。
恒星同士の距離が近いうえに、動きも遅いので、岩石を受け渡すのは簡単です。
数十億年前の地球では、地球外生命体が飛来していたのかもしれません。
トランスポゾンは、こうして宇宙から飛来し、現在の私達の遺伝子の半分を構成するまで侵略し続けたのでしょうか…だとすれば、認知症は宇宙病のひとつだと…納得できるかも知れませんね!
もしかしたら、はやぶさ2が持ち帰る「Ryugu(リュウグウ)」からの情報が、アルツハイマー病を治療するヒントを与えてくれることに期待しましょう…!
ところで、宇宙から来た地球外生命体は、今も、地球の大気の中を浮遊し、地球に降り注いでいるというのです。
地球の生命の祖先は、数十億年前に宇宙からやって来たというのは、なんとなく分かります。
パンスペルミア説は、数十億年前の地球に小惑星や隕石によって生命がもたらされたという説です。
しかし、新たな説としては、地球の対流圏の上にある成層圏でも生命は存在しているという説です。
次回は、アルツハイマー病のApoE4をもたらしたトランスポゾンは、過去のパンスペルミア説なのか、近年の成層圏から飛来したトランスポゾンないかというお話です。