2008年 第55回 日本栄養改善学会学術総会 「ハーブ活用による便秘症状改善の1事例―認知症高齢者共同生活介護施設の取り組みー」

【はじめに】

便秘症状は不眠や腹痛などを引き起こす要因となる。本研究所では便秘症状対策の一つとして副作用が少ないハーブを取り入れている。ハーブティ摂取により便秘症状が軽減された事例を報告する。

【対象】

神奈川県内認知症高齢者共同生活介護施設の入居者。A氏:女性、82歳、AD。2005年7月より慢性的な便秘傾向。失認と実行機能障害があり排泄時は全介助。日中少量の排尿が頻回にある。夜間トイレ覚醒時は体動によるサインがみられる。睡眠障害、幻視、幻覚がある。便秘症状改善には薬物療法のほか、2006年3月より定時のトイレ誘導、運動、腹部のマッサージをケアプランに取り入れたが改善せず、ハーブティの導入が検討された。

【方法】

2007年11月より継続的にハーブティを1日1回180ml摂取。介入前1か月(非介入期:2007年10月)と、ハーブティ摂取開始後4カ月(介入期:2007年11月~2008年2月)で排便のない日数と頓服薬の使用頻度、睡眠時間と排泄のパターンを比較検討した。ケア記録から夜間の睡眠の状態を検討した。

【結果】

排便のあった日数を比較したところ、介入前1か月19日、ハーブティ摂取開始後1ヶ月目25日、2ヶ月目28日、3ヶ月目28日であり、開始後に排便回数が増えた。頓服薬の使用については介入前1か月6回、ハーブティ摂取開始後1ヶ月目9回、2ヶ月目5回、3ヶ月目2回であり、開始直後に一時的に増えたもののその後は減少し維持していた。睡眠時間と排泄のパターンでは、夜間トイレ誘導以外での浅眠時間が減少し、まとまった睡眠が取れるようになり、日中の傾眠が減少していた。

【考察】

A氏の便秘症状はハーブティ摂取により改善された。便秘症状改善に伴い、排尿リズムが整い、睡眠障害も軽減されたと考える。

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