★永遠の結果と100歳時代の死生観★
無意識のうちに、人は死を意識しています。何をする時でも、例えば、進学、就職、結婚、引退、これらすべてには一つの前提があるのです。いつか必ず死ぬということです。
寿命はとてつもなく伸びるかもしれません。1000年とか…
1000年…なんて想像すらできませんよね。
未来の科学者が、取るに足りない加齢という「寿命の延長」に成功した時、歳を取るということは無くなります。
社会も劇的に変わることになるでしょう。各々が世界との新しい交流方法を見つけ、技術を開発し、新しい関係を築くでしょう。
現代の人間関係は、死が我らを分かつまで生涯を共に過ごすという前提になっています。
しかし、無限になれば、そこまでは続かないのではないでしょうか。
結婚生活が1世紀続いても、みんなが幸せであるとは信じたいですが…
でも、50年間の結婚でも感情には負担が掛かっているのではないでしょうか…人間関係はより自立したものになっていくのではないかと思います。
人々は好きなように付き合い、好きなように家族を作る。おそらくそうなるのではないでしょうか。
あらゆる関係が無限になる。その考え方に乗る人も多いはずです。
では、ここで寿命の延長がもたらす良くないほうの可能性にも目を向けてみましょう…社会が直目する…であろう危機、それは、螺旋階段のように物事すべてが停滞し“ぐるぐる”と同じ場所を徘徊してしまうことでしょう。
死ぬかもしれないという考えこそが人生で起こす行動に関して緊急性を与えてくれるのではないでしょうか
永遠に生きたって退屈で仕方ないと多くの人は言いますが、本当でしょうか…
むしろ選択肢がありすぎて困るのではないでしょうか。あらゆる方法で世界とつながって、遊んだり、学んだり、関係しあうことが出来るのですから、ゴルフをするにしろ、ギターを弾くにしろ、家で寝転がるにしろ、極端に伸びた寿命には問題が付きまと思います。
また、死がなければ、この世界は人口抑制の問題に直面するでしょうし、寿命の延長の厄介な部分です。
現在、WHO世界保健機構では、生き延びている100歳の人々で地上を溢れさせないようにするためには、どうやってこの惑星の人口を管理するのか、真剣に考える必要があるといっています。
突然70億人が居座ったら、子供を産む必要がありますか、もし子供が生まれ続けたら地球は人口を支えきれるでしょうか。
大人しかいない世界になったら、どうなるでしょう…子供が姿を消したら…それが良いとは思えませんよね。
たしかに、寿命が長くなれば、当然、人口過剰などの問題が生じるでしょう。
介護の問題は、なお深刻化の一途をたどることになります。
でも、その頃には何らかの方法で対処できるようになっていると安易な考え方を持っている人も多いようです。
しかし、100歳時代のこうした問題の解決は、かつての死と同じぐらい恐ろしいかもしれません。
例えば、このままいくと50年後の世界では、文化が変わり、誰が子供を持つのかを取り締まる機関が出来ていると思います。
人間が今よりずっと長生きするようになれば、人口を抑える必要がありますから、嫌気がさしますが、これは序の口でしょう…もっと嫌な話になります。
不平等になるのではないかという声があるのです。その現象は、格差社会の形成として既に始まっていると…裕福の人から権利を得ていくということです。
寿命を延ばしたくても、それが大富豪にしか手を出せない技術だとしたら、どうなると思います。実は、これは今の世の中のことなのです。
延命方法は既にあるレベルまで達しているのです。定期的な診察も延命です。
ヘルスケアも延命です。
格差の問題はすでに起きており、解決法を見つけておかないと状況はさらに悪化します。今、すべきことは、公平性の確保ではないでしょうか…
そうすれば、延命によって人類は良い暮らしが出来るようになるでしょう。
実際、私達は並外れて潤沢の世界に向っています。
世界中の情報にグーグルでアクセスできるし、メガビット接続もできる貧困層も含めて80億人全員が10年以内にこれらにアクセスできるようになります。
人類は物質を捨て、通貨を捨て、民主化を獲ることは未来への希望です。
寿命をどんどん伸ばして永遠に辿り着いたとしたら…必ずそれと同じ速度で、社会自体も発展させなければなりません。
さもないと大変なことになるからです。
「永遠の命」この問題を認識し、私たちの住んでいる地球や環境を超越した場所での人間の存在意義という基本的な質問に立ち返りましょう。
この野望は人を開放するのか、それとも壊すのか…
つまり質問はこうなります。
死が迫って来たら、あなたはどうしますか?
最期の一歩は、完全なパラダイムの変化です。私達の世界は完全にデジタル化したメタバースと言われる空間になってしまうでしょう。
そこは、今の環境よりも1000倍も激しい仮想世界に肉体を離れて暮らすようになるのではないでしょうか、まるで映画のマトリックスのようではないでしょうか。
でも、その世の中は確実に迫ってきているのです。