未来では、小さな機械が血管の中に入り、細胞に薬を届けて治してくれるのです。凄いですよね。
なによりも自分たちの遺伝子暗号に変更を加え、殆どの病気を消滅させて、かなり寿命が延びることになります。
今より数世紀、いやそれ以上長生きできるかもしれません。
実は、この150年で寿命は2倍に延びたのです。
勿論、ワクチンや衛生学、そして病気の仕組みを解明したからですが、かなり驚異的な数字です。
しかし、頭の中のコンピュータに未だに邪魔されているのです。人間の脳が私たちを制御しているという面があるからです。
しかし、いくら技術が発達したからと言っても、新たなウイルスが出現し、細胞は衰えていきます。
それに転んで頭を打って、二度と意識が戻らないこともありえます。
今でさえ機能していない臓器を交換したり、修理したりできます。例えば、手足や腎臓、肺がなくても生きられますが…その中で、絶対に欠かせない部分が一つだけあります。それは、必ず脳や心の動きに対処しなければならない限界にぶち当たるということです。
そこで、行きつくのが心のアップロードなのです。
永遠に生きたければ、人は部分的にも“デジタル化”するしかないようです。
長寿と不死を隔てる亀裂を繋ぐためには、脳をデジタルネットワークにアップロードすると言う大きな一歩を踏み出さなければならないかもしれませんね。
世界では、科学の領域をこじ開ける、数十億ドル規模の計画が始まっています。次の大きなプログラムは“コネクトームプロジェクト”脳全体の地図を作成するものです。
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/コネクトーム
http://blog.goo.ne.jp/pkcdelta/e/1d0779c777339727c59a4f840266e1a1
心のアップロードの最初の段階では、瀕死の人や死亡直後の人などを延命するために使われることになります。
記憶や人格をまるごとコピーして、デジタルメディアに転送しスーパーコンピュータの中に命を移し入れるという考え方です。
つまり、エクサスケール時代の幕開けには、コンピュータ人間が存在するということです。
なんだか現実味のない話ですが、これを実現すべく、科学者たちは既に問題に取り組んでいます。
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/hyouka/haihu103/siryo6-2a.pdf
脳から情報を取り出すというのは、誰も解いていない問題です。生きている脳に入って調べようとすれば壊しかねませんから、現在は脳から接続性のパターンを受けコピーやアップロードが出来るかを解明するという前の段階です。
まだまだ、やることがたくさんありますが、この分野は確実に実現するでしょう。
間違いなく科学はその方向に向かっています。
実は、南カリフォルニア大学のセオドア・バーガー博士は人工記憶装置を開発し、BCI(ブレイン・マシン・インターフェース)を新しい次元へ引き上げようとしているのです。バーガー博士が目指すのは、短期記憶を長期記憶へと変換する海馬の一部をBCIで置き換えることです。
バーガー博士の装置は、単純な短期記憶をエンコードする電気的活動を記録し、これをデジタル化するものです。
デジタル化されたシグナルはコンピュータで処理した後、脳に再入力され長期記憶として固定するわけです。
既にマウスやサルの実験では成功しており、現在は人間で研究が進められています。
現在では、脳の記憶をアップロードして記録力を高める段階まで来ています。
この方法は、近い将来、アルツハイマー病の患者やアルツハイマー型認知症の方に行うことになるかもしれません。
https://gigazine.net/news/20150629-transfer-consciousness/
脳にチップを押し込むと記憶が海馬になだれ込むのです。
初期の段階で行われるのは、神経回路をコンピュータソフトウェアに模倣し代替として動作させるエミュレーションを行うことです。
エミュレーションとは、一般的には異なるプログラムは共用できないわけですから、プログラムを異なる環境で動かせるようにするのは、プログラムの一部やすべてを書き換えて作り直す必要があるわけです。これを移植と言います。
エミュレーションでは、基本的にはプログラムを書き換えずに、エミュレーターというソフトウェアを介して、疑似的に別のコンピュータの環境を作り出すことでプログラムを動作できる仮想化ソフトなのです。この手法を利用して神経回路をコンピュータのプログラムにエミュレーションを返して模倣していくわけです。
http://e-words.jp/w/%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3.html
脳のエミュレーションの方法は、脳を薄切りにして、スキャンするやり方です。
この結果から神経回路網を模倣して再構築するとエクサスケールコンピュータ上で動き始め、仮想身体に接続されます。
肉体を脱ぎ捨てれば、脳をコピーしたコンピュータとして存在することになります。
なかなか想像はつかないと思いますが、サーバーに保存されているデジタル情報が貴方なのです。
しかし、血や肉で出来ていなくても人間と言えるでしょうか。
心のアップロードは、人間からポストヒューマンに移行する、分かりやすいステップかもしれません。
ポストヒューマンとは、どんな仕組みで、どんな見た目なのでしょうか…
人間の多くの特性を保ちつつ、生物学上の秩序を断ち切って生き続ける完全にデジタル化された存在です。
ポストヒューマンと言っても、冗談を聴けば笑い、愛することも、肉体のあった子供時代を懐かしむことだって出来ます。
ただし、アップロードされたポストヒューマンというのは、人間のように死ぬことがなく自分自身をコピーしたり脳を編集したり出来ます。
考えてみてください、この体で触れて感じて味わってみたって、その感覚は、科学的な電気信号の変換が脳内のシナプスで起きているだけなのです。
ポストヒューマンとして生きられるのではないでしょうか。
たしかに理屈ではそうかもしれませんが、でも肉体が懐かしくならないでしょうか。
実体が無いのに感じるとはどういうことなのでしょうか。
人間の定義の追及は、高いレベルでの意識に達します。例えば、肉体のない心だけの存在の方が、ある意味、より意識的なのでしょうか。それとも体は人間であるための要素でしょうか。
エクサスケール時代の筋書きでは、人間の意識を肉体から解放することにより、永遠の命を獲ることが出来ます。
これは、人類の終焉もしくは幕開けでもあるのではないでしょうか宗教で天国と呼ばれるものに人類が突入したという見解もあります。
我々の種が、最初から求めていた目的地、死後の世界です。
最後の状態を思い浮かべてみてください。
天国に登るか、涅槃の境地に辿り着くのは、果てしない至福の状態です。
楽園で永遠に暮らすのです。文明の最後の境地かもしれません。
これまで、何千年も天国や死後の世界として描写されていたものと気別つかない状態が出来てしまう技術なのです。
地上の天国、どちらかと言うとクラウドコンピュータ上の天国ですが、天使が舞う天国ではありません。こちらの天国は、デジタルの楽園での永遠の命です。
今、人類は、其処へ向かっていますが、それでいいのでしょうか…
第4章は、現時点で不死を夢見てやまない人々にとっての唯一のチャンスである自分自身を液体窒素で零下196度以下の低温で冷凍保存(Cryonics)して、近未来のコネクトーム時代が訪れるのを待っているというお話です。
https://www.microsofttranslator.com/bv.aspx?from=&to=ja&a=https%3A%2F%2Fwww.alcor.org%2F