いま私たちの生きている世界は、様々な問題にぶつかっています。
それらを解決に導くのは、最先端の科学技術と、優秀な人材の想像力によって生まれる革命的な変化なのです。
それをINNOVATIONと呼びます。
そう、人間の想像力は全てを可能とするのです…
貴方だってきっと考えたことがあるはず、明日何が起こるのか?来年どうなっているのか?10年後の自分は幸せなのか?
それとも、未来を知りたいとき、先人たちが頼ったのは、霊媒師や預言者の言葉、でも今は、統計学者やソフトウエアエンジニアが未来を占っているのです。
彼らは膨大なデータの中から、あるパターンを見つけ出し、正確に未来を予測します。
もう不安を抱く必要はないのです…
新たな形の人工知能AIが、あなたの未来を教えてくれるのです。
でも、問題の解決は、新たな問題を生むもの…そう水晶玉に写るのは、人間を置き去りにしたMachine(機械)によって導かれる世界かもしれない。
Predicting The Future 人工知能が予測する未来
1999年7の月…空から恐怖の大王が降ってくる。
この言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
16世紀フランスの預言者、ノストラダムスが未来について書いた預言集を発表したのです。
予言は星の配置と未来からの啓示に基づくもので、疫病や戦争、地震に洪水、この世の終わりについてまで書かれていました。
でも、この預言の大半は、いつ起こるか書かれていないのです!最後の預言から400年以上たった現在でも、世界の終わりはまだ来ていません。
しかし、未来を知りたい人は、今もたくさんいるはずです。どんな未来が待ち受けているか、もちろん知りたいですよね!
現代の予測は昔と違って、アルゴリズムに基づいているのです。
アルゴリズムって何だかわかりますか?
一言でいうと…コンピュータで計算するときの計算方法のことなのです。
現代は、まさに洪水のごとく膨大な量のデジタル情報が生み出されているわけです。そんな、溢れ出る情報の中から、あなたの足跡を精査して、未来をはじき出す計算方法なのです。
そう、認知症ケアでいえば、毎日のモニタリングとアセスメントを統合して分析することで、未来の状態や日常生活を予測して適切なケアが行えるようになるということ…つまり、これから何が起こるか、事前に予測するケアが始まることになるのです。でも、即席の分析には問題もあります。
それは、情報にはシグナルとノイズという2つの情報があり、それらを判別することが重要になるということです。
それが出来れば、あなたも先の読める介護者になれるし、現代の預言者にもなれるでしょう。
シグナルは、私たちに実社会の真実を見せて、異なる事柄同士の関係性を示してくれます。
一方、ノイズは…役に立たない邪魔な情報です。真実を知るには、ただの妨げにしかならないとシングルとノイズの著者であり現在の預言者である統計学の専門家ネイト・シルバー(Nathaniel Read Silver)は言います。
シグナル&ノイズ 作者ネイト・シルバー 日経BP社
世の中の情報量は1~2年ごとに倍増していますが、有益な情報が同じ割合で増えているとは限りません。
現在の情報の多くは、十代の子が送り合うメールやネット上にアップされる写真です。ですから、年々、シグナルを見つけにくい環境になり、予測の形態も変化しています。
気が付いていないかもしれませんが、私達人間は予測するMachine(機械)なのです。無意識のうちに他人の行動を予測して、自分の行動の結果も予測しているのです。この先どうなるか?常に計算して動いているということです。
身近な現象でそれを実感することも出来ます。
例えば、東京渋谷の路上では、人々が常に道を渡れるか予測している映像を見ます。信号を見ず、車と衝突せずに道を渡れるか?人ごみの中、人と接触せずに歩きながら通話できるか?徒歩とタクシーどちらが早いか?など・・・このように人は、日常的に予測をしているのです。
認知症ケアでも同様です。ベテランになると気づきが増えて対応方法を予測しながらケアを行っていけるようになれます。
これを、「気づき力」と呼びます。
しかし、これでは預言者にはなりません。
ネイト・シルバーは、ポーカーや野球や政治、人間の行動や生活習慣などの予想は,意外にも似ていると言っています。
そして、何と言っても「確率」というものを実感するには、ポーカーが最も適していると言います。
たとえば、アメリカの大統領選挙を考えてみた時、ヒラリー候補が勝つ確率は70%だとテレビや新聞では予測していました。
つまりトランプ候補は30%だということになります。
しかし、多くの人は70対30の確率を実感できないのです。
ポーカーでは、トランプの数が決まっているため一定の確率で「手」がそろいます。 たとえば、あるフラッシュの手は、30%の確率で揃うとします。
大事なのは親とプレーヤーの立場で「この手」は繰り返されて経験することです。
そうすれば、確率とは何か考えることなく本能的に理解でき、次に私にフラッシュの手が来ると感じるのです。
政治も人間の行動も同じだと言えます。そして、数学的に分析することもできるという訳です。
ネイト・シルバーは、2008年のアメリカ大統領選挙で49の州における勝者を正確に予測、2012年の時は50州すべて当てました。
信じられますか…?
情報を継続的にアップデートするのが彼のやり方で、一つの予測に固執しない事も特徴、データが増えれば、彼の予測も変わっていくのです。
大切なのは、自分に見えた世界に信念を持ち、その信念に挑むことだと言います。
そこで、ネイト・シルバーが試されたのは、2016年の大統領選挙…
トランプが大統領選への出馬を決めた時、彼は勝利の確率を50分の1と予測、でも投票日が近付くにつれて、彼はトランプ候補の勝利の確率を上げていきました。
当時のこと覚えていますよね!私たち日本人だって、トランプ候補が勝つなんて誰も思っていなかったはずです!
「ネイト・シルバー予測を誤る」など、米国のテレビや新聞で彼もその時ひどい評価を受けていたのです。
それでも彼は、こう言っていました…自分の信念は曲げにくいものです。
政治の分野や専門分野において、一定の評価を得ている場合は、特に頑固になりがちになる。…と
つまり、シグナルとノイズの区別こそが、予測の神髄です。褒めそやして騒ぐことではありません。
皮肉にも予測に失敗するようになって初めて、人は理解を深めます。
認知症ケアも一緒です。
予測とは透視や確信ではなく確率なのです。
平均より少し正確でいたくても思うようにならないのは、世の中は複雑だからです…
さて、統計学を使って人間について言えることは、ただ一つ、100%誰もが死ぬということです。!
でも、いつ死ぬかはわからない、だからそこでビジネスをしている人たちがいるのです。
それが生命保険会社、かつて死期を測るのには、ただ年齢を聴くだけで済みました。
年齢は?それで十分でした。
しかし、次第により有効な項目が加わりました。
それらの小さな情報を集め始めると、生命保険会社はより多角的な生命表の作成が可能になりました。
私達は、既に各年齢における、死亡率を示した生命表を持っています。
生命保険契約を結ぶ時に私たちがすべきことは、被保険者の持つリスクの評価です。性別は男か女か?タバコは吸う喫煙者か非喫煙者か?健康状態も確認します。コレステロール値やBMI値など…
リスクが低ければ保険の契約が可能です。
貴方は、亡くなるリスクの低い人間か、リスクは対象者の余命を平均と比較して評価します。
評価ミスや不慮の事故で亡くなった場合は、当然保険会社が損することになりますが、平均すれば利益が出ているのです。
これは、単純に経験的確率と理論的確率が一致する数の問題で「大数の法則」と言います。
http://ill-identified.hatenablog.com/entry/2015/05/04/231315
つまり保険の加入者が増えれば増えるほど、保険会社が支払う金額が理論上の数字に近づいていくということです。
どんな数理が働いているのかを理解することが大切です。
私自身の計算をしたことはないのですが、
自分の寿命を知りたいという人はたくさんいると思います。
でも、すべて確率で…測ることは難しいのです。
望まないけれど、突然、事故に遭うこともあるからです。
保険業界で使われる死のモデルは、予測分析とデータ科学を組み合わせたものです。エリック・シーゲル(Eric Siegel’s)は予測分析の第一人者です。
予測分析とは、情報化時代における最も新しい進化と言えます。
https://www.sas.com/ja_jp/insights/analytics/predictive-analytics.html
各個人のためにどう予測するか?経験として生かせるデータから学ぶビックデータ技術の1つです。
目に見えないパターンを見つけるのが、予測分析です。
膨大な量のデータから、未来を占う…
たとえば、「オムツを買う男性はビールも買う」という調査結果はよく知られています。
寝起きにトイレに行く確率は女性より男性が圧倒的に多い、
また、集中力に欠ける雇用人は集中力のある雇用人より効率よく仕事をするなどなど…完璧に予測する必要はないのです。憶測より正確なら十分です。
すべてのプロセスが予測分析によって向上すると言っても過言ではありません。
少しの予測だけで変わるのですから、価値ある予測の力は、さらに大きな進化によって躍進するでしょう。
そう、人工知能AIの新しい形態への発展へと…今、劇的な変化が起きようとしています。
コンピュータと人間がチェスで勝負をしたら、どっちが勝つと思いますか、
同じように将棋や碁は…
実は1990年代以降、コンピュータは人間に一度も負けていないのです。
先を読む力は飛躍的に向上していて、2016年に囲碁の人工知能を開発し、プロの棋士に勝ったというグーグルが偉業を成し遂げたことは記憶に新しいですね。
囲碁のとても複雑なゲームで、1手に対しての返し手がチェスの32に対し、250も存在するのです。
コンピュータで予測するには、返し手が多すぎるのです。
そこで、開発されたのが、人の脳に似たディープ・ニューラル・ネットワークを用い、データの特徴をより深いレベルで学習するディープ・ラーニング、新たな人工知能AIです。
開発にあたって、最初に大量の対局パターンを与え、そのあと何度もコンピュータ自身に対局させたのです。
するとあっという間に上達し、洞察力に似た能力を獲て、人工知能AIは飛躍的に向上しました。
でも、それって人間にとって何の意味があるのでしょうか?
人工知能は、私たちの世界をどう変えるのでしょうか?
第2章では、人の脳と同じで、パターンの認識が得意なディープランニングのお話です。