今年と来年は、実は桃太郎の伝説にいわれる鬼退治の年周りです。
桃太郎伝説によれば、144年ぶりの鬼退治の年周りで、今年と来年が「鬼」身についた罪や汚れを意味し「禊」とは川や海で身を洗い清め鬼(邪鬼)退治に就く年周りだそうです。ご存知の通り、桃太郎が退治した「鬼」は、丑と寅の間の方角(北東)にある「鬼門」やってくる「鬼」と考えられています。
そこで、桃太郎は、それに対抗して「申」と「酉」と「戌」いう「裏鬼門」に位置する動物を率いて退治に行ったというのです。
実際には、「裏鬼門」に位置するのは「未」と「申」ですから、その前後も交えての決戦への熱意が感じますね。一説によれば、「未」は桃太郎がまとった陣羽織が未だったとか、皆の食料(キビ団子)として役立ったとの説もあるようです。
陰陽五行説では、「申」は「智」、「酉」は「勇」、「戌」は「仁」、そして「「未」は身になり「力」になったというようです。
よくよく考えてみると、鬼の角は「牛の角」であり、衣服が「虎柄」なのは「丑」と「寅」の干支にまつわっているのかも知れませんね!
ところで、この伝説をちょっとふり返ってみると1872年(明治5年)12月30日、まさに申と酉の年、阿蘇山が大爆発を起こし、大量の硫黄流出が起こり犠牲者も出ました。
そして今年、4月には熊本大地震で家屋が倒壊し犠牲者が出ただけでなく、10月8日には阿蘇山の中岳で爆発的な噴火が発生したのです。
実に144年ぶりなのです。また、同じような話は浅間山の噴火でもあります。
まぁ、桃太郎のお話はここまでとして、私たちも「鬼退治」の準備のため「禊」で自分を清め「邪鬼」を退治しましょう!
それでは、今年の干支である「申」と来年の干支である「酉」の「禊」の様子を見てみましょう!
まずは「申」です。
かつては、賢い動物だけが道具を使うと考えられていました。猿や類人猿は、知能の高い動物です。
道具を使えるだけではありません。ノミを捕るという衛生的な習慣を、仲間づくりの手段に進化させたのが、猿や類人猿です。
なぜなら、猿、類人猿、人間の共通点の一つは、毛に寄生虫が付くことです。
中でも多いのがシラミとノミです。
他にも多くの共通点があります。手には爪があり痒いところをかくのに使います。背中の真中をかくのが大変なことも知っています。だからこそ仲間同士、世話をしあいながら、お互いの絆を深めるのです。英語では、これをケアと呼んでいます。
つまり、猿が衛生面よりはるかに重視するのが社会的な関係です。
もちろん寄生虫がたくさんいる体の部位をある程度清潔に保つのは、生きるために欠かせませんが、あらゆる動物の中でも、特に知能的に発達している霊長類は、毛繕いを本来の目的以外に行うようです。
衛生上の習慣が仲間同士のかけ引きや集団の序列を守るための儀礼になったのです。
群れや家族間での秩序は、毛繕いによって維持されます。
尊重されるのは群れの支配者(高齢者)や赤ん坊です。
序列を無視するものがいれば、暴力沙汰となります。
規律を破ったものは上位者の毛繕いをして事態を納めます。服従の姿勢を取り、自分の序列を受け入れたことを示すのです。体の手入れは個々の健康を守る手段です。しかし、霊長類には仲間同士の関係を築くコミュニケーションの一種であり、喜びを得る手段にもなります。
こうして社会という概念が、生まれてきたのですね!
一方「酉」はどうでしょう!
自然界に生きる動物は、身づくろいに多くの時間を費やします。
体を掻いたり、なめたり、砂をつけたり、羽をとかしたり、毎日丁寧に水浴びをしたり、体の手入れは、寄生虫を防ぐだけではありません。
隠れたり、ある種の匂いを出したりして、身を守る手段でもあるのです。
また、生き物同士を結び付ける役目も果たし、共生関係を生み出すこともあります。
身づくろいは飢えや恐れなどの本能と同じように、動物に備わる大事な習性です。
体をきれいに保つのは、生き抜くためなのです。
羽を清潔に保つには、手間がかかり、一枚ずつ手入れが必要です。
まず羽を洗い、乾かして、仕上げにとかします。くちばしをもつ鳥ならではの方法ですが、特に厚い羽に覆われているのが、水鳥で、例えば鴨は平均1万から1万2千枚の羽を持つと言われています。
白鳥には2万枚以上あるとされ、その多くが首と頭に集中しています。
それでも毎日のように大量の羽根を洗い、乾かして、膨らませ、一枚ずつとかします。
その一方歯を磨く必要や耳の後ろを洗う必要は無いようですね!
そんな水鳥の中で、沼に生息するカンムリカイツブリは、潜水が得意です。
魚を食べない鴨と、明らかに違う点は完全に肉食であることです。
カンムリカイツブリの羽は、一説には1万枚ほど、でも、この鳥が正直に自己申告したら、もうちょっと少ないかもしれません。
通常、水鳥は羽をとかすだけでは不十分です。カンムリカイツブリは、あまり飛ばず陸にもほとんど上がりません。
数週間、時には数か月、絶えず水の上にいます。それでも体は汚れません。肌がふやけることもなく、羽は常に乾いています。
頻繁に水中にもぐるのに、みすぼらしくもなりません。なぜなら羽が防水性の物質で覆われているからです。
カンムリカイツブリは、尾の付け根に特別な皮脂腺を持ち、水をはじく油を分泌しています。その油をくちばしで体中に塗り広げます。おなかの羽には特に念入りに、こうして防水性の層を作ると羽は完全に保護されます。
水中で狩りをする準備が整いました。カンムリカイツブリの主食は、魚なのです。
また、魚を食べると厄介な問題も起こります。
羽には魚の粘液が臭いと共についてしまいます。
ついてしまった魚の粘液をどうやって落とすのでしょう!
当然、水の力だけでは落としきれません。サギも魚を食べるため、カンムリカイツブリと同じように、魚の分泌液で体が汚れてしまいます。
しかし、サギなどは魚の粘液に特化した洗浄成分を体に備えています。
食事が終わると、サギは画期的な方法で羽を綺麗にします。この場合最も効果を発揮する洗浄剤は、水ではありません。
水が豊富な北海道の湿地帯などに住む渡り鳥も、必ずしも沼の水で体を綺麗にするわけではありません。
こうした沼での水浴びは、羽を綺麗にするためには役にたたないのです。
魚の免疫には水には溶けない成分であり、サギは石鹸を持っていないからです。
そこで、サギは進化の過程で、効果的な代用品を手に入れました、それは、ぬるぬるした魚の粘液が羽の間にこびりつくのを防ぐ画期的なものです。
サギにはボロボロと崩れやすい羽毛があり、それをくちばしでこすってきめ細かい粉を作り出すのです。
この粉が汗を吸い取るベビィパウダーのように粘液を吸い取ってくれます。
食べかすがたまって一番汚れやすいのが、首です。ここは長いつま先を櫛のように使って掃除します。首に粉が行き渡るように、とかし終えると、そのまましばらく放置します。
その時間を利用して他の部分も綺麗にします。
粉が完全に乾き、粘液がすっかり吸収されたら、力強く羽をとかして粉を払い落とします。こうして羽の間のべたつきを取り除くのです。
この方法は、羽の汚れを取り除くだけではありません。腐った魚のような臭いが付かないようにしてくれるのです。
生物の中でも特に綺麗好きな鳥は、食事が終わると好みの場所に陣取ります。
全く身の危険がなく、静かで気温も快適な場所です。そして体を隅々まで丁寧に綺麗にします。作業に没頭するにつれ、物思いにふけり、次第にリラックスしていくのです。
見つくろいしながら恍惚状態に陥っていくのです。
つまり、見を清めることは、我々生物にとっては大きな喜びだと言えるでしょう。
今年は、酉年です。
私たちも鳥に見習って清潔を保ち、身を清めて行きたいものですね。
桃太郎は、川を桃に包まれて清められ流れついたわけですから、まさに来年は
鬼退治「決戦」の年にしてください!感染予防は「禊」からと言います。