医療と介護の現場で認知症患者の情報を共有するため、県は「よりそいノート」を作成した。患者や家族が持ち歩き、医師やケアマネジャーらに見せて必要なことを記入してもらって、適切な治療やケアに生かすのが狙いだ。2万8千部発行し、市町村の高齢者担当窓口や地域包括支援センターなどで1日から無料で配っている。
ノートは本人・家族のページや医療機関のページ、薬のページ、介護・福祉のページなどに分かれ、それぞれが自由に書き込める。
患者本人や家族は、いまの症状や過去の病気に加えて、好きな食べ物やお風呂の習慣、性格・特徴やお金の管理能力など、暮らし全般について情報を書き込む欄がある。医師が一か月から問診しなくても、効率的に本人のことが理解でき、より的確な治療方針を立てられる仕組みだ。例えば、患者について「現役時代に時間に厳しい仕事をして来た」という情報がノートに書かれていれば、食事の時間などをきっちり守ろうとする気持ちを否定しないように家族に指導する。
医師は検査結果や受診の記録など、薬局は処方した薬などを記入。ケアマネジャーは要介護の状態などを記す。
医療と介護の現場連携を進めるため、共有したい情報や依頼内容を書き込む「関係機関連絡のページ」もある。「デイサービスでせきが続いています。明日定期受診とのことですので、先生に話すように伝えました」と介護関係者が記入すると、主治医が風邪薬を処方しました。薬の飲み忘れがないよう、そちらでも確認してください。」と返すといったやりとりが想定されている。
4月5日 朝日新聞より引用