8月18日に行われた羽田野杯について、高齢者住宅新聞やケアマネドットコムなどで紹介されました。
ご参加いただいた皆様、会員の皆様、誠にありがとうございました。
ケアマネジメントオンライン(http://www.caremanagement.jp)より
8月18日に行われた第6回羽田野杯Kyomation Care研究会事例発表会では、10人の研究発表が終わった後、基調講演として東京女子医科大学名誉教授の岩田誠氏が講演を行った。「介護の誕生と言葉の役割」をテーマに、動物と声、言葉、そして介護の関係について、興味深い話を聞かせてくれた。・・・・
65日間入浴拒否の入居者の入浴に成功!――セミナーレポート1
8月18日、「平成23年度第6回羽田野杯Kyomation Care研究会事例発表会」が、あすか製薬株式会社本社ホールにて開催された。今回のテーマは「認知症介護の理論と実践の融合で、認知症介護における実践に基づいた工夫について、10人から発表が行われた。Kyomation Care研究会会長 羽田野政治氏
トップバッターとして登壇したワタミの介護の松本彩さんは、照度環境を工夫して施設入居者の生活リズムを再構築した事例を紹介した。ある認知症の入居者は、入居前からもともと夜型の生活を続けており、入居後も、昼夜逆転傾向で、朝食は食べないことも多く、体重もBMIも減少、日中には部屋を暗くして、ベッドに横になっていることが多かった。そこで、朝7時に「おはようございます」とカーテンを開けて明かりをつけ、夜の10時には明かりを消すということを、毎日徹底したところ、夜間に居室から出てくる回数が次第に減り、細切れになっていた睡眠時間が改善された。さらに、午前11時からのレクリエーションに参加するなど、日中は居室から出てくることが増えてきたという。以前は多く見られていた介護拒否や興奮などのBPSDも改善され、「かかわる職員の心理的負担も減った」と松本さん。また、「日中の活動と睡眠との関係は?」との会場からの質問に対し、共同研究者である碓井信輝さんから「生活リズムが整うことで居室から出て、他の入居者さんと話す機会も増えました。まずは、出るということが大事」と回答した。トラストガーデン用賀の杜の中尾博信さん、土橋壮之さんは、65日間入浴していないこともあったという入居者の事例を紹介。その入居者は、アルツハイマー型の認知症で、「入浴拒否が強く、入浴誘導時にスタッフに対する暴力行為もあること」、「飲水量が少なく、主にジュースで水分を採っていたこと」、「日中傾眠傾向があり生活リズムが一定でない」などの課題があったという。そこで、次のようなことを行った。○生活リズムをつくるため ・起床時間を同じにして毎日同じ声かけを行い、定時に散歩に誘う ・1日のスケジュールを書いた紙を渡し、本人に不安を解消し生活リズムをつくる○飲水量を増やすため ・薬を飲むタイミングを分け、食前食後に水を飲んでもらうようにする○定期的に入浴してもらうために ・スケジュールを理解してもらい、入浴しやすい環境をつくる ・表情が穏やかなときに声かけをおこなうようにするこうしたことを行った結果、発表者が介助した際に入浴に成功。ただ、全スタッフが入浴に成功している状況ではないため、引き続き研究が必要と語った。この日、最優秀賞を受賞したのは、「在宅介護におけるターミナルケア」について発表した、認知症高齢者研究所の鈴木靖之さん。末期がんが発見され、自宅での看取りを希望した男性の事例を紹介し、「KCIS」というシステムを活用し、遠隔ネットワークで医療者、介護者が随時、状態変化の情報を共有し、適切な対応を行うことができたことを発表した。ターミナルという随時状態が変化していく状況のなかにおいても、医師からリアルタイムに情報がくることで、「新人職員でも安心してケアにあたれる」と説明。他職種での情報共有、コミュニケーションの重要性を語った。