進化論は生命体の成り立ちを探るオキシトシン効果

Even if you have dementia, “be like that person”

私達の心の中に於いては。神が私たちの肉体だけでなく倫理までも想像したと考える人が多い事でしょう。

人の脳内に倫理観を植え付けたのは、進化でしょうか、それとも心の中に潜む神でしょうか。

脳内の化学物質は、人の判断にどう影響するかを調べてみました。神経科学のお話です。

今回は、人が持つ倫理観の起源について調べてみました。

人が人を見守り、人が人を援助する…道徳に多様性はないのでしょうか?善悪の違いは、どこから来るのでしょうか?

認知症介護や対人援助をするうえで、それが知りたくて、研究に取り込んでみました。

人の倫理観には、鍵となる物質があるのではないでしょうか?

その候補に挙げられているのが、オキシトシンという脳内物質です。

「幸せホルモン」「恋愛ホルモン」「抱擁ホルモン」「信頼ホルモン」「絆ホルモン」「思いやりホルモン」「癒しホルモン」など、数々の異名を持つこのホルモンは、“幸せな気分”にしてくれる物質なのです。

・脳・心が癒され、ストレスが緩和する。

・不安や恐怖心が減少する。

・他者への信頼の気持ちが増す。

・社交的となり人と関わりたいという好奇心が強まる。

・親密な人間関係を結ぼうという気持ちが高まる。

・学習意欲と記憶力向上、心臓の機能を上げる。

それだけではありません‼感染症予防につながるオキシトシンは、10年ほど前まで、出産や母乳の分泌にだけ役立つだけの物質と思われていました。

女性特有のものと言われていましたが、実際は男性の脳でも作られているのです。

それには、、、なんらか理由があるはずです。

オキシトシンは、生殖だけでなく思いやりや愛情、信頼感の形成にも役立っているのですから、介護をする上では重要なホルモンと言えます。

分泌量を増やすにはどのような方法があるのでしょうか…それを証明するには、長期に渡る実験が必要です。

まずは、オキシトシンと自律神経の関係を調べてみました。心電図を装着してCVRRで継続的に自律神経の状態を把握してみましたが、介護現場では、有意な変化は見られませんでした。

そこで、究極の実験をしてみました。

まず、オキシトシン効果があると言われるマッサージ、リフレクソロジー、タクティーㇽ等の施術を施します。

次に、不安感を解消するオキシトシンの分泌量を測るため、恐怖心と安心感の両局面のスポーツでもあるタンデムスカイダイビングを体験して、脳内にどういう変化が起きるか、調べてみたのです。

他人に命を預けるという状況でも、オキシトシンが役立つのかどうかというテストを実際にしたわけです。

まずは地上で血液を採取し、血中に含まれるオキシトシンの量とスカイダイビングを終えた後のオキシトシンの量を比較したのです。

二人の人が一つのパラシュートを使うタンデムスカイダイビングに信頼は欠かせません。

インストラクターに命を預けるわけですし、インストラクターとは初対面です。

彼と一緒に高度3800mから飛び降ります。

誰がパラシュートのパッキングを用意したのかも知らない状態です。スカイダイビングに於ける事故原因は、パラシュートの不適切なパッキングや検査での見落とし、テクニックの未熟さなど、人為的なミスがほとんどだそうです。

見ず知らずの人を信用するという究極の不安です。

地上に着くとすぐに血液を採取しました。

他人と一緒に、あんな高いところから急降下するなんて、すごい体験ですが、人は人をどのぐらい信用するのでしょうか?

血液を分析し、強い信頼の気持ちが脳内物質の量に現れたかどうかを調べたのです。

その結果は、、、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールがおよそ約5倍の500%増加していました。これは想像通りでもありました。

勇気と関連づけられるテストステロンの数値にも増加が見られました。

では、スカイダイビングでオキシトシンが活性化するのでしょうか?なんとオキシトシンは17%増加したのです。微量ではありますが、オキシトシンが不安感を解消する物質と言えるかもしれませんね!

※ご興味がある方は、タンデムスカイダイビングNPO法人スカイ大分藤岡

TEL0570-02-5390 e-mail:xebmaster@skydivefujioka.jp

別の調査で、ある結婚式で花嫁を調べたときは、28%の増加が見られました。

つまりインストラクターへの信頼感は、新婚カップルの半分を超えていたのです。決して悪くない状態です。

オキシトシンのレベルは、信頼のほか、教会や寛容といった社会的態度にも強く結びついているようです。

オキシトシンが人の倫理的行動を操るのだとしたら、この分子はどこからきたのでしょうか?道徳ある社会を願う創造主のデザインでしょうか?

進化が始まる前のことはわかりませんが、神様がいたらいいなと思います…オキシトシンが神の物質なのかは分かりませんが、私には、信仰の問題に口を挟む余地はありませんが。。。

脳内にあるオキシトシンは、聖なる神が私たち”ヒト“を作った印なのでしょうか?

それとも協力しあって生きる人類のために作り出された“進化の産物”なのでしょうか?

オキシトシンが私達に、信頼や寛容の心を与えてくれるのなら、異なる意見を持つ人々が、手を取り合うことも夢ではありませんね。

認知症の人への介護に役立つオキシトシンの量を増やす方法を見つけたいものですね。

認知症の人と接する時には、「どのように接すればよいのだろうか?」「話が通じるだろうか?」という不安や恐れがあったり、「認知症」という表現に先入観や思い込みを抱いてしまいます。そのため、不可解な言動を目前にすると途方にくれ、介護者側の立場で対応してしまいます。

落ち着いた穏やかな接し方は、認知症の人に安定感をもたらすことは介護者は分かっています。そこで、関わり方に大きく影響を与えてくれるのが、オキシトシンでもあるのです。

認知症の人だけでなく、認知症の人との関係で悩んでいる人には、オキシトシンを多く含む食事を摂るようにするだけで、関わり方に安定性を持ってケアが出来るようになるから不思議です。

ドイツ・マックスプランク研究所のローマン・ウィッティグ博士の研究によると、チンパンジーは仲間と食べ物をシェアしているとき、仲間同士で“毛づくろい”しているときに比べて2.5倍も多くオキシトシンが分泌されているそうです。

この考えでいくと、1人で食事をする「孤食」よりも友人や家族、パートナー、介護者と仲間たちと食事を分け合いながら楽しく食べたほうがオキシトシンを多く分泌するというのです。

また、オキシトシンは、神経伝達物質のセロトニン作動性ニューロンの働きを促進することでストレス反応を抑えると考えられています。実はこのセロトニンの原材料となるアミノ酸「トリプトファン」は食べ物から摂取することが可能なんです。

オキシトシンには、抗ストレス作用があると言われています。

オキシトシンには、人間関係構築など社会的行動について不安なときに分泌されるストレスホルモンのコルチゾールの分泌を抑制する効果があると考えられているのです。

また、抗不安作用にも効果があるのです。

オキシトシンが分泌されることで副交感神経の働きが活発になり、自律神経のバランスが整うのです。副交感神経が優位になると血管が緩んで血圧が低下し、心身もリラックスした穏やかな状態になるので、気分が落ちつき不安な気持ちが和らぐので、介護者にとっては有効な食事なのです。

ドイツ・レーゲンスブルグ大学のノイマン教授らはオキシトシンに抗不安作用があることを見出しています。

トリプトファンは以下のような食品に含まれているので、ぜひ、介護者はEnjoy!してください。

①豆腐②納豆➂みそ④しょうゆ⑤チーズ⑥牛乳⑦ヨーグルト⑧米⑨ごま⑩ピーナッツ⑪バナナ‥等。介護する前にヨーグルトを食べてから援助に入ってみてはどうでしょう!

オキシトシンの効果を最大限に発揮したい際は、これらの食品を意図的に摂取するのがよいかもしれませんね。

ちなみに、オキシトシンは9個のアミノ酸で構成されるぺプチドホルモンの一種で、脳の視床下部で生産され、脳下垂体から分泌される物質です。

社団法人認知症高齢者研究所
Senior Dementia Institute

〒224-0032 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央20−14 松本ビルB館 4F
TEL:045-949-0201 FAX:045-949-0221
Copyright © 2018 Senior Dementia Institute. All Rights Reserved.


PAGE TOP