Science Park2020特別編

★人間に住む微生物との闘い(後編)★

新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々、またご遺族の皆様に謹んで哀悼の意を表するとともに、罹患されている方々に心よりお見舞い申し上げます。

また、認知症高齢者研究所とご縁のある皆様におかれましては、同感染症に対する対策で大変な状況の方も多いことと拝察いたしますが、ご自愛のほどお祈り申し上げます。

感染症は個人の病気を超えて、社会全体の病気です。

今回のサイエンスパークは、現在問題になっているCOVID-19(コビット19;新型コロナウイルス)対策を意識して、感染症に関して考えてみました。

まずは、COVID-19(新型コロナウイルス)の特徴についてお話します。

コロナウイルスは、これまでは、次の6種類が知られていました。

一般的な風邪のウイルスの4種類で、2003年に中国を中心に流行した重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、2012年になって初めて確認された中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は時々、今でも確認されています。

そして、今回の新型コロナウイルス(ウイルス名:COVID-19)は、新しいコロナウイルスになります。

新型コロナウイルスは、主に呼吸器に感染するウイルスで、ウイルスに感染した人の全てに自覚症状が出るわけではなくて、無症状の人もいると考えられています。

感染者の症状としては、発熱、咳、筋肉痛・倦怠感、呼吸困難が多く認められ、頭痛、痰、血痰、下痢などを伴う人もいるようです。

感染経路は、飛沫感染と感染者からの痰など分泌液を触る事による接触感染で、空気感染は否定的と考えられています。

詳しくは、2020年2月13日に発表された日本環境感染学会「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第1版」を参照にしてください。

http://www.kankyokansen.org/

今回のサイエンスパークには、不快な画像や内容などが含まれていますので、苦手な方はご注意ください!

中国の武漢から発生したCOVID-19(新型コロナウイルス)対策は未曾有な社会問題となっていますが、日本政府はどの国よりも早く日本人の救出にチャーター機を飛ばしたことは称賛すべきことです。

今回の様な、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染症は特別ですが、一般的に、その飛行機の中でどんなことが起きるのか、考えてみましょう。

飛行機にはたくさんの人が乗っています。

それぞれの乗客の体に生き物が住み着いています。

過去に乗り合わせた何人もの人達が、世界各地から様々な寄生虫や病原菌や微生物を持ち込んできているのです。

乗客が媒介となって、菌を持ってくるのです。

これは、飛行機という空間で何が起こっているかを知ることで、今後の行動に生かしてほしいと考えてのことです。

私たちを取り巻く全ての生き物に意識を向けることで、リスクを把握できるのです。

飛行機の中で不衛生な部分は、格納されているテーブル、シートのポケット、しかし、飛行機の空気はフィルターを通して頻繁に循環されているので比較的きれいなのです。

問題は後部席の乗客です。前席の人が至近距離から咳やくしゃみをして、後部席の人にウイルスや細菌などの微生物を空気に乗せて飛ばすこと、それが問題なのです。

咳やくしゃみは機内に病原菌を広げます。では、咳とくしゃみでは、どちらが迷惑なのでしょうか?咳を分析すると、咳は数万の微生物を2m先まで飛ばし、時速およそ90Kmの速さで感染させます。続いてATP測定器で微生物の数を調べると数値は35以上で不潔で危険な状態です。

では、くしゃみはどうでしょう!咳との違いは吐き出す微生物の出てくる場所や強さや飛び散り方が違うのです。

くしゃみによって、1秒間に5000個の飛沫が放出されます。それぞれの飛沫は数十の微生物を含み時速160Kmの速さで飛んできます。

ATP測定機では45以上の微生物が確認され、直ちに消毒が必要とされる完全な汚染段階です。

150人の乗客が1回ずつ、くしゃみをしたら、数千万の微生物が飛ぶことになります。

また、飛行機には細菌やウイルス以外にも生き物がいます。

乗客が持ち込む、頭ジラミや毛ジラミもいます。そして、顔ダニもいるのです。

人のおでこの脂腺や眉毛や産毛の毛穴に住んでいる寄生虫です。

詳しい生態は不明ですが、交尾や産卵の時には、表に這い出してくるのです。

顔面が繁殖地なのです。

眉には毛穴が密集しています。顔ダニは毛穴に潜り込み皮脂を吸って生きています。額全体で5000匹が生息可能です。しかも、顔ダニがいる確率は2人に1人です。

では、どうやって駆除するのか?残念ながら駆除する方法は今のところ分かっていません!でも平気です悪さはしないのです、むしろ皮脂をたべて綺麗にしてくれているのですから・・・

では、最後に安息を与えてくれる寝室はどうでしょう!

たとえば、ベッドの上にはヒョウヒダニと呼ばれるチリダニが20000匹程度、繁殖しています。

そして、一般的な住居では、一晩に約3000万個のチリダニの糞が出るのです。物凄い量です。しかも、そのチリダニを食べるツメダニも、その他にコナダニやイエダニも一緒に生息しているのです。


チリダニは人間が落とす垢やフケのかけらを食べているのです。人の肌の老廃物とダニやその糞で、枕は毎日重くなっていくのです。

平均的に人の体からは、1時間に120万の皮膚のかけらが剥がれ落ちるので、チリダニに食べてもらわなければ、アカとフケまみれになってしまうということです。

それだけではなく、人の体に住む生き物はまだまだ居るのです。

たとえば、血液を摂取する寄生生物でヒゼンダニと呼ばれる人ダニで疥癬を引き起こす吸血生物です。

人ダニは人の血を吸う時、肌から血管の中へと口を突き刺して、血液の流れを良くする化学物質を出します。血液凝固抑制剤と同じ成分です。

人ダニは、驚くべき進化によって、病原体も媒介するのです。

その一つに、ライム病など野ネズミや小鳥などに寄生するマダニ(Ixodes)によって媒介される人獣共通のスピロヘータ感染症になる可能性もあるのです。

昔は、このスピロヘータ感染症で脳症(梅毒性脳症)になると、今でいう認知症とされていた時期もあったんです。

でも、免疫システムをしっかり鍛えれば、全てのものに対処できるのです。

免疫システムは実に頼りになるのです。

免疫細胞には、まず第1段階として、真っ先に病原体を食べて応戦する好中球があります。防衛軍の歩兵的な役割を果たします。

次にマクロファージと呼ばれる細胞が病原体を手当り次第に食べて、その病原体の情報を免疫システムの司令官ともいえるT細胞(CD4陽性リンパ球細胞)に伝えます。

T細胞は、システムの司令官としてさまざまな指令を出します。

たとえば、T細胞から指令を受けたB細胞は、病原体を攻撃するミサイルを作り出します

攻撃指令を受けたB細胞は盛んにミサイルを作り出し、病原体を攻撃します。

このミサイルが抗体と呼ばれるものです。

抗体は特定の病原体にしか有効ではありませんが、このようにそれぞれ異なる役割を持った白血球が、すばらしいチームプレイを行って免疫システムを成り立たせているのです。

実際にはもっと複雑な免疫システムのネットワークがあり、病原体との戦いが繰り広げられています。細胞は、病原体を攻撃するミサイルを作り出し続けるのです。

その免疫力は、日常生活のちょっとした心がけで、高められるのです。

最期に、私たち介護職が認知症を始めとする免疫力が低下した高齢者のために出来ることを考えてみました。

まずは、体を温める。低体温だと免疫細胞の活動性も低下してしまいます。

お腹や腰が冷えていてリンパ球減少症の人が、睡眠中や日中に湯たんぽや温熱湿布で胴体や四肢を温めたところ、免疫を上げるリンパ球が大幅に増加するのです。汗をかかない程度に体をほどよく温めることで、免疫力がアップするわけです。

次に適度な運動は、ウイルス感染の抵抗力が上がります。

風邪に罹った頻度と運動頻度の関係を調べたところ、運動する日数が多いほど風邪をひく日数も少なく、重症度も低いという結果になりました。

激しすぎる運動や、運動不足も免疫を落としますが、汗を軽くかく程度の適度な運動は積極的に行なって免疫力を高めましょう!

食品にも免疫を高める働きがあります。

例えば、全粒穀物摂取量と疾患リスクについて解析すると、1日当たりパン2枚とシリアル1皿以上摂取すると、摂取しない場合に比べて感染症やがん、心疾患などの発症リスクが低下する報告があります。

また、緑茶成分であるカテキンや、テアニンを摂取するとインフルエンザ発症率が低下したのです。乳酸菌食品やメカブなどでも同等の報告があります。

そして、10人の男女(平均年齢22.9歳)を対象に、コメディアンによるユーモラスな映像を見た場合と教訓的なビデオテープを見た場合とで、唾液中のIgA濃度を比較したところ、教訓的なビデオの後のIgA濃度は変化なしでしたが、ユーモラスな映像を見た後のIgA濃度は有意に上昇したのです。つまり、日々の笑いは、免疫を高めてくれ流と言うことです。

詳しくは、https://www.otsuka.co.jp/b240/mechanism/raise1.html

免疫力をアップすることで、COVID-19新型コロナウイルスにも抵抗する力を持つことが大事なのですね!

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