Science Park 一回限りの現象を扱う科学 第3回

 

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一回限りの現象を扱う科学 第3

~サンタの贈り物~

1985年に出版された絵本「ポーラー・エクスプレス」をご存知ですか、クリスマスイブの夜、サンタクロースを信じられなくなった少年達を乗せた蒸気機関車が、サンタに会いに北極点へと向かうというお話です。

その蒸気機関車「ポーラー・エクスプレス」は、さまざまな大陸、海上を走り続けながら、その最中に起こる数々の事件や不思議な出来事を通じて、少年たちは自分に必要なものに気づいてゆく物語です。

クリスマスになると思い出す言葉が…この物語の最後のくだりにあります。

かつては、僕の友達にも聞こえた鈴の音が、時が経つにつれ、誰にも聞こえなくなった!妹でさえ、ある年のクリスマスを境に、聞こえなくなった。

だが、大人になった今も、僕にはちゃんと聞こえる。

心から信じていれば、聞こえるんだ…

私の大好きな物語のひとつですが、実際にサンタは北極点に住んで居るのでしょうか…そして、サンタはどうやって私たちの心に生まれたのでしょうか!

科学的に検証してみましょう。

まず、ポーラー・エクスプレスの名前にあるようにポーラースター(pole star:北極星)についてです。

自然科学の中でも100年前の人々が考えた宇宙は単純でした。永遠で、不変で、単一の銀河からなり、目に見える数百万個の星を含んでいる宇宙でした。

しかし現在の宇宙像は、より完全で、ずっと豊かです。

宇宙起源論では、宇宙は137億年前のビッグバンから始まり最初の1秒に満たないわずかな間に宇宙は最も基本的な粒子であるクォークとレプトンが混ざり合った無定形の熱いスープになったのでした。

そして、その宇宙が拡大して冷えるにつれ、階層的構造が1つずつ発達してきたわけです。まず、第1階層では、中性子と陽子ができ、第2階層では、原子核ができ、原子ができました。第3階層では、星ができ、銀河ができ、銀河団ができたのです。

そして、第4階層では、私たちが住む超銀河団ができたのです。

宇宙のうち、私たちから観測可能な部分には、現在1000億の銀河があり、それぞれが1000億個の星と、おそらく同程度の数の惑星を含んでいると言われています。

そして、2018年は宇宙起源論の究極の答えに迫りつつあった年でした。

宇宙は空間的にも時間的にも大きいことは分かりますが、人類史の大半において観測装置と想像を超えた存在だったことが認識された年でもあるのです。

宇宙に関する状況は劇的に変わったわけですが、この進歩は,強力な知識と強力な装置が両輪となって進んだ科学的研究によるものでした。

そして、現在、暗黒物質(ダークマター)が通常の原子とは異なるものでできているという認識や暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の発見など、宇宙のインフレーションやマルチバース(多宇宙)といった大胆な考えの登場によって、進歩のペースは加速的に変化したのです。

一方、北極星は、地球の自転軸を北極側に延長した線上近くに位置しているため、地球上から見るとほとんど動かず、北の空の星は北極星の周りを回転しているように見えるわけです。

よく星の名前だと言う人がいますが、実は、北極星は陸地の見えない外洋で天体を観測することで船舶や航空機の位置を特定する航海術である「天測航行」を行う際に正確な測定をするための固定点となり得る星のことを言うのです。

現在の北極星であるポラリスはこぐま座α星を指し、21世紀初頭では北極点から1度弱離れたところに位置していました。

また、北極星は満月3個分程度の円を描くように振れる歳差運動のため、約25,800年周期で移行する恒星でもあります。

つまり、サンタは毎年引っ越しをしていることになるので、住所不定だということです。

しかも、各恒星の固有運動があるために正確な繰り返しではなく、例えば紀元前58,000年頃には「うしかい座α星のアークトゥルス」が北極星でした。

「過去・現在・未来の北極星」のうち赤緯89度以上に達するのはポラリスとりゅう座α星ですが、実は最も北極点に近づくのは「りゅう座α星」ということになります。

サンタの本籍地は、りゅう座α星で、年齢は今年62,200歳程度ではないかと推測できます。

様々な角度から一回限りの現象を科学するシリーズ…今回は、サンタの贈り物についてです。

そして、サンタは、最近、地上20,200キロメートルにGPSという別荘を持っているというわけです。

今や北極星に代わったGPSを活用した天測航行によって、サンタはネットワーク網を使ってクリスマスイブに8頭のトナカイと共に果てしない道路や鉄道、世界中を飛び回る飛行機、海を進む船舶に乗って、世界中を駆け巡れるということです。

 

 

ちなみに、トナカイの列の先頭から2頭ずつ紹介すると、 Dasher(ダッシャ-)と Dancer(ダンサー)、 Prancer(プランサー)と Vixen(ヴィクセン)、Comet(コメット)と Cupid(キューピッド)、そして Donder(ドンダ-)とBlitzen(ブリッツェン)です。実は世界初のジェット旅客機はコメットといいます。欧米の飛行機や船、列車に彼らの名前が多く使われているのには、きっとこんな思いがあるのかもしれませんね!

これらの元気で力強いトナカイによって、サンタはクリスマスイブに贈り物を送れるのです。

私たちが手にする全ての物は、世界中からやってきます。 もう少し、サンタからの贈り物を現実的に見てみましょう・・・

文献に残る世界規模の物流網のルーツは、1,000年前まで遡ります。発祥は中国内陸部、貿易の先駆者は中国人でした。

ご存知の通り、漢王朝は何百年かけて9,600キロ以上におよぶ交易路を建設しました。

それがシルクロードです。

だとすると、最初のサンタの贈り物は、漢王朝(特に後漢)から始まったということになります。

大陸を横断するシルクロードは、最古の交易路としても広く知られています。

当時、ローマ帝国では、運ばれてきた贈り物は見たことのない品物ばかりだったことでしょう…

絹が伝わる前のローマ帝国には、麻とウールしかなかったので、人々にとって柔らかく夜空の星のように銀色に輝く絹はとても貴重でした。

そして、貴重なものがもう一つ運ばれていました。

当時のヨーロッパには、衛生面や水の汚染によって、疫病が蔓延していたので、薬や漢方薬は重宝されたのでした。

しかも、長い旅を安全に保つために薬草は、効果が持続するよう加工されたのでした。これが近代薬学の始まりではないかとも言われているのです。

しかし、国を横断する貿易は危険を伴いました。戦争が行われていた影響で、1,400年代の中頃まで、シスクロードは通行不可能となりました。

サンタの贈り物は、滞ってしまったのです。

しかし、幸福をもたらすサンタの贈り物は、廃れることはありませんでした。

代わりとなるルートが北極星の導きで始まりました。

149283日スペイン南部、クリストファー・コロンブスが最初の航海へ出発したのです。

コロンブスは、極東への航海を見つけるべく、大西洋を西へ進んだのですが、彼がたどり着いた先は、アメリカ大陸でした。

逆に新大陸の発見は、黄金時代の幕開けになりました。そして、全世界を巻き込んだ貿易が始まったのです。

 大航海時代とも言われるこの時代のサンタはコロンブスだったかもしれません…その後150年に渡って世界を航海した船が、北極星のお陰で、新大陸への航路を地図に書き残したのです。

この頃のサンタの贈り物は、胡椒だというのです。

胡椒の効果は言うまでもありませんが、刺戟剤や強壮剤、防腐剤など万能薬として使われ、香辛料はその殺菌力によって肉の貯蔵に有効で、また肉や魚のにおいを消しました。

船員たちは、サンタの世界でいう妖精トントゥに仕事ぶりが似ています。

そして、コロンブス、ディアス、バスコ・ダ・ガマ、 マゼラン、彼らが順じサンタとなって贈り物を世界中に配って行ったわけです。

彼らが求めたのは黄金ではなく、ナツメグやメース、クローブにシナモンなど、抗菌作用や精神作用、消化促進や下痢止めなどに効く薬でした。

大航海時代を経験してヨーロッパの人は、地球の裏側に眠る富に気づいたのです。当時、450グラムのナツメグが高級品とされていました。

こうした航海が都市に影響を及ぼしたのです。

ロンドンやパリなどの港では、紅茶やスパイスが売買され、コーヒーが世界に普及したのです。最初に伝わった港には富がもたらされました。

そして、サンタは姿を変えて今日の世界貿易網の基礎が構築されたのです。

だが、今日の大量消費市場は、まだ数百年先の事だったのです。

1956426日、ニュージャージー州ニューアーク・エリザベス港にある貿易会社に勤めていたマルコム・マクリーンのアイデアが貿易に革命をもたらしたのです。

トントゥの仕事である荷物の積み降ろしは、コストと時間がかかる作業でした。穀物を積み込むのにトントゥが何百人も必要だったからです。

そこで、マクリーンはコンテナを規格化し、輸送に使うことを提唱したのです。

 マクリーンは、トントゥのリーダです。

コンテナはサンタの「そり」と一緒で、ただの箱ですがサイズを統一することで、世界の貿易の規格(サンタの袋の統一)となりました。

その結果、サイズに合わせた船や運送トラックを用意すればいいだけになったのです。サイズが統一化されたコンテナは積み降ろしのコストを1トンあたり6ドル(当時1ドルは固定相場で360円)から16セントに削減したのです。

日本では、当時、大卒初任給8,700円、ラーメン40円、コーヒー50円、菓子パンが10円時代でした。

効率が飛躍的に上がり、輸送コストが下がったため国際貿易は安価になりました。今日では4兆ドルの市場にまで成長し、毎年、1.2億個以上のコンテナを何千隻という貿易船が運んでいます。

膨大な数の船が移動する様子は、人工衛星でも確認できるようになりました。

https://www.shipmap.org/

何千もの航路帯が海を覆っているのです。4,500以上のコンテナ港をつなぐ世界的なネットワークです。

では、最近のサンタは私達の生活をどう変えたのでしょうか?

その答えはスーパーで分かります。

日本いながら、アメリカン産のオレンジとエクアドル産のバナナ、アルゼンチン産のラム肉やオーストラリア産の牛肉、モロッコ産のアーモンドに、日本のお株であった魚介類は今や中国から輸入されているのです。

昔には考えられなかった様々な商品が買えるようになったのは、トナカイたちの「そり」がコンテナ輸送に変わったおかげですね。

東京は世界最大の都市です。

現在100以上の異なる言語がこの街で話されています。この言語的な多様性は、多くの外国人がここに集まるためでもあります。

私達の先祖がアフリカを出るのにも、世界を一周するのにも、数千年を要しましたわけですが、今では、毎日、数時間でそれをやってのけています。

移動が容易になったのは、技術革新のおかげですね。

そして、2040年にはグローバル時代がやって来ます。

人工知能のおかげで言葉の壁もなくなり人々は世界中で同じような生活や医療、介護を受けることもできるようになるでしょう。

サンタは日本語で贈り物をくれるでしょう!

あなたが信じるならば、あなたの望むものを…メリークリスマス

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