2015年 日本介護福祉学会

専門職として就労した24時間定期巡回型訪問サービスの重要性

~学んだ介護から実践する介護へ~

 

〇長谷川可乃(9999)1)2)、鈴木靖之(3369)1)2)、梶原千津子(2131)1)、羽田野政治(2132)1)

1)認知症高齢者研究所 2)定期巡回・随時対応型訪問介護看護デリバリーケア


1.目的

高垣節子らは、社会福祉士や介護福祉士は、専門的知識及び技術を持って、心や体に病気や障害を持つ高齢者や認知症高齢者などに対して、日常生活動作(ADL)の自立、生活の質(QOL)の向上、また利用者の自己実現を目指しての実践者であると言っている。

しかし、学生の頃は介護福祉の知識に基づいて観察を行い、利用者のニーズを把握し、ケアプランを実行していくことは分かっていたが、実習では難しいものだと感じていた。

本研究では、24時間定期巡回型訪問サービスを通して、利用者の日常生活の援助・支援の実践に専門職として関わり、病気や障害を持つ利用者の苦悩や生活上の困難を軽減し、QOLを高めていく介護を目標にした。

2.方法

A氏、80歳、女性、介護度5、障害者自立度A2、認知症自立度Ⅲb、アルツハイマー型認知症、既往歴 膵腫瘍、子宮脱。高齢者世帯でA氏の在宅生活を継続するために、24時間定期巡回型訪問サービスを実践した。日常生活動作を保護的に介助、支援するKyomaiotnCareの流れに基づき、継続的なアセスメント評価を生活歴RDR、行動観察評価MENFIS、知的機能検査HDS-Rで実施しICTを用いた情報共有システムKCiSに記録した。

また、重度認知症評価FAST、睡眠・排泄パターン評価及びADLなども定期的に観察しKCiSに記録することで多職種間にて情報共有を行い、新人に対して的確な指示と指導および助言を行えるようにした。

3.期間

2015年6月3日~8月31日(90日間)

4.倫理的配慮

本研究に関する個人情報は事前に本人及び本人の家族、サービス事業所管理者に研究の目的・方法・趣旨を伝え得られた情報は演題発表以外には使用しないことを説明し書面にて了承を得ている。

5.結果

継続的なアセスメントにより、本人の趣味、嗜好など「その人らしさ」の情報が多職種間で共用化されたことによって、新人であっても声掛けに均一性を持たせることが出来、学生時代に難しかった馴染の関係の構築がスムーズに出来た。

また、介護職と看護職との連携による1日複数回のサービスが一体的に提供出来ることで助言なども含め安心して利用者と関わり、安定して援助・支援が混乱なく出来た。

この様に実践では様々な情報収集が行われ、多職種による1日複数回の訪問による継続的アセスメントに基づき、適切な食事の内容の確保や服薬の管理、排泄時の清潔保持などADLから残存能力を確認しつつ必要な量と内容のサービスを必要なタイミングに介入することによって、QOLの向上と共に利用者の生活に寄り添った介護の実践ができた。

スクリーニングデータは当日発表する。

6.考察

利用者の心身の状態の変化に応じて柔軟なサービス提供を介護職と看護職によるチームが、利用者の介護ニーズに適切に対応するために短時間の定期訪問と随時の対応を組み合わされた24時間定期巡回型訪問サービスは、在宅生活の限界点を確実に引き上げられると考察できた。

 

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