Science Park3

★認知症高齢者の重篤な感染症を引き起こすアデノウイルスとの戦い3!★
Science(サイエンス)は、日本語に訳すと科学と訳されますが、私たちの認知症高齢者研究所では自然科学を意味しています。また、認知症ケアの本質を探る場合においては自然科学的知識と位置付け、根拠に基づくKyomation Careの体系の根幹にもなっています。
そして、Science Park(サイエンスパーク)では、認知症高齢者研究所が独自に集めた認知症ケアに必要な情報や研究、開発などから、認知症ケアに必要なアイデア・ソース(対人援助技術やケア方法の発想)として活用して頂けることを願って提案しています。
いよいよ人類史上最高ともいえる戦争の「ある壮大な一戦」の最終章です。
今、体中に感染を広げる危険な軍隊の青写真となるアデノウイルスのマニュアルを与えられたDNA装置は、それを基に大量にアデノウイルスのクローン作りの指令を発しました。
その指令を受けた※リボソームは、普段の通りにタンパク質を製造するかのようにアデノウイルスの軍隊の部品を製造し始めたのです。
出来上がった部品は、一つひとつアデノウイルス軍を形成するために決められた形通りに折りたたまれ、別の場所に運ばれ組み立てられます。組み立て工場は細胞核の中にあるのです。
新たなアデノウイルス軍の組み立て部品は核膜孔を通り、細胞核へ吸い込まれ、組み立ての準備ができるとDNA装置は、通常の作業を一切やめアデノウイルスのクローンの生産に専念しはじめるのです。いよいよ細胞核の中でアデノウイルスのクローンの生産が始まりました。
これでもう一巻の終わりです。アデノウイルスは増殖し、いよいよ感染が始まるのです。
しかし、細胞核の機能がアデノウイルスの生産に入る前に、救助を求めて一つのモータータンパク質が重要なメッセージを携え細胞の表面を目指し動き始めたのです。これは周辺の細胞にアデノウイルスの感染を警告するためです。
また、細胞は普段、正常なタンパク質のかけらを表面に運び細胞が正常であることを外界にアピールしているのですが、アデノウイルスに感染された細胞は、運ばれているのがアデノウイルスで、細胞が感染されていることを※ダイ・インメッセージのように人体の免疫システムに対してアピールするのです。
もし、パトロール中の白血球がこのメッセージに気づけば、アデノウイルスに感染された細胞は、白血球により細胞ごと破壊されるのです。
気づかなければ、細胞から細胞へと次々に感染が広がっていくのです。
24時間後、アデノウイルスは一日で皮膚細胞を完全に制圧しました。
また、アデノウイルスの殻は、部品が自ら集まって作られるのですが、その表面には既にモータータンパク質に結合する部分が新たに備わっています。
新しい突起は、他の細胞の扉をあける鍵なのです。しかし中身がなければ、殻は単なる入れ物にすぎません。
ついに何千というアデノウイルスのDNAの複製クローンが届きました。
クローンの長さは殻の200倍以上あるため、一つひとつきちんと折りたたまれて狭い殻に収納されます。
そして、アデノウイルスのDNAは、ここで新たな細胞の核に侵入できる時をじっと待ちます。
このアデノウイルス軍は、1つのウイルスによって運ばれた、たった一本のアデノウイルスDNAから生まれました。
かつて細胞の中枢だった核は、今や総勢1万のウイルスの巣と化し、それらは、皆いつでも散らばって出来るだけ多くの細胞に感染する構えです。
ウイルスが体内に入って2日が経ちました。
新しい軍隊は、新種の宿主から脱出する準備をします。
ここから抜け出すには、二つの障害を克服しなくてはなりません。
核を取り巻く壁と細胞の膜です。
そのために情け容赦ない手段が編み出されました。
アデノウイルスはタンパク質の合成装置に指示を出し、その準備をさせます。
まずはアデノウイルスのDNAに指示されたタンパク質が、細胞の形を維持する骨組みを攻撃します。その結果、細胞に大異変が起きます。
表面の膜が崩れ始めるのです。
一方、核を取り巻く壁を壊すことは、至難の業です。
そこで今度は、この厚い膜を攻撃するタンパク質が作られます。
その名もアデノウイルスデスタンパク質、核膜に穴をあけて進むタンパク質です。
もろくなった核は、これ以上膨れ上がった軍隊を抱えきれません。
核が崩壊します。
アデノウイルス軍が解き放たれました。細胞はすっかり荒れ果ててしまいます。
ほんの48時間前まで、調和の取れた活気あふれる場所だったことがウソのようです。
もはや、アデノウイルス軍を止める手立てはありません。
ウイルスは周辺組織になだれ込み、細胞を攻撃して体中に感染を広げるでしょう。
この皮膚細胞は、戦いに敗れました。
しかし、戦争が終わったわけではありません。
アデノウイルス軍が細胞の攻撃に没頭する間に、大量の抗体が組織を立て直し、アデノウイルス軍と戦うために戻ってきました。
どんなに大量にいても、すべてのアデノウイルス軍を止めることは不可能です。
しかし、戦うのは抗体だけではありません。
細胞が発した警告は、無駄ではなかったのです。
頼もしい味方が到着しました。
巨大な白血球が、ウイルスを次々と飲み込みます。
白血球は念のため、近くにいる感染しやすい細胞まで飲み込みます。
細胞の中には、感染の拡大を阻止するため自ら崩壊するものもいます。
そして、私達が体内で起きている戦いに気づくのはこの段階です。
血流が増し、より多くの白血球が戦場に送られます。
すると今回の場合、鼻の組織がはれ上がります。
これがいわゆる鼻づまりです。
体内の免疫システムが力を合わせ、遂に感染の拡大を食い止めました。
やれやれ・・・今回は人体の勝利です。
戦場のかなたには、戦争とは無縁だった細胞もあります。
その中には全く同じDNAのコピーが収められています。
これが最新の命の書です。
数え切れないほどの世代にわたり、親から子へと代々複製されてきました。
このDNAは30億年以上、時を遡り、最初に誕生した細胞に私達をつなげてくれます。
人類よりも哺乳類よりも、恐竜よりもずっと前に存在していた細胞、地球上のあらゆる生き物や植物の祖先です。
有史以前に生まれたデオキシリボ核酸、4つの化合物からなる二重らせん状のDNAを持つたったひとつの細胞、すべてはそこから始まりました。
実は、アデノウイルスもその子孫です。
だから私達の防御を破れるのです。
この凶悪な遠い親戚は、私達とともに進化してきました。
果てしない軍備競争は、単なるいたちごっこではありません。
そのおかげで私たちは互いに強くなってきたのです。
この大昔からの敵との終わりなき戦いが無ければ今の私達は無かったでしょう。
ウイルスとの戦いは日々絶えず地球上のあらゆる人の体内で起きています。
気づくことは殆んどありませんが、私たちは、いつ、いかなる時も、ウイルスと闘い影響しあい、そして互いに高め合っているのです。
認知症では、どんな戦いが脳の中で起っているのでしょう!
卵の白身のようなアミロイドβタンパクの形成、リン酸化タウ蛋白、細胞内信号経路、星状グリア細胞の中で・・・すべてはそこから始まるのですね。
※リボソーム:メッセンジャーRNA(リボ核酸)の塩基配列を基にアミノ酸からタンパク質を合成するための細胞小器官で、タンパク質とRNAの大きな複合体です。
※ダイ・インメッセージ(die-in)核兵器廃絶運動などで、死体を模して大勢で地面に横たわり講義する示威運動のこと。1960年代にアメリカで生まれた。

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