認知症と地域包括ケアシステム

★地域生活・医療連携はどうしたら進めることが出来るのでしょうか?★
私達の研究の一つに、単身・重度の要介護者であっても、在宅を中心とする住み慣れた地域で、尊厳と個別性が尊重された生活を継続することが出来るような社会環境の整備についての研究と調査があります。
そんな研究の中から、「認知症と地域包括ケアシステム」について、研究所が実際に生活支援見守り事業、訪問介護事業、夜間対応型訪問介護事業、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業を運営し、現状の実態調査と実践研究を通して、結果と考察を報告していきます。
今回からシリーズで「地域生活・医療連携はどうしたら進めることが出来るのか」を考えていきます。
第1回目は、地域で生活する人にシームレスなサービスを提供するためには、第一に利用者ニーズに応じた「自立支援」に向けるサービスが根底にあるのではないかというお話です。
平成25年12月5日に成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」第5条2介護保険制度の中で、初めて「地域包括ケアシステムの構築を通じ、必要な介護サービスを確保する」という文言が載りました。
【詳細】
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25HO112.html
その中で、(イ)在宅医療及び在宅介護の提供に必要な当該提供に携わる者、その他の関係者の連携の強化。
(ロ)多様な主体による創意工夫を生かした高齢者の自立した日常生活の支援及び高齢者の社会的活動への参加の推進等による介護予防に関する基盤整備。
(ハ)認知症である者に係る支援が早期から適切に提供される体制の確保その他の認知症である者に係る必要な施策と法律に明記されたのです。
つまり、医療、介護、予防、生活支援、住まいの一体的な提供の取り組みが、法律的に実施されるという訳です。
そこで、地域包括ケアシステムを実現するために、必要な自立支援に向けるサービスをシームレスに提供するためには、医療職や介護職などの専門職間の協働・連携、チームマネジメント、チーム内での役割とゴールの共有、多面的評価と共通認識の共有が必要になって来る訳です。
この問題は今後語っていくとして、シームレスケアによる継続的なアセスメントは、在宅に於いて、適切な食事内容の確保や、服薬の管理、排泄時の清潔保持、心身の状況の変化などの確認などが可能になることから、認知症高齢者の心身の状況に応じた配慮を行いながら、認知症高齢者の在宅生活を支える上で有効性が期待できます。
2025年の高齢者社会を踏まえシームレスなサービスについて考えると、高齢者ケアのニーズの増大、単独世帯の増大、認知症を有する者の増加が想定されることから、介護保険サービス、医療保険サービスのみならず、見守りなどの様々な支援がシームレスに提供されることが必要になります。
しかし、現状では、其々のサービス提供は分断され、有機的な連携がなされていないのです。
もちろん「ただ、連携しましょう」と言うだけで可能になるものではないことも十分承知しています。
そこで、地域において包括的、継続的に繋いでいく仕組みとしての地域包括ケアシステムの重要性は大きいわけですが、その実現のためには、医療との連携、介護サービスの充実強化、予防、住まい、生活支援などの5つの視点での取組みが包括的に行われ利用者ニーズに応じた継続的なサービスとして、例えば入院、退院、在宅復帰を通じて多職種間によるシームレスなサービスの提供が行われることが重要と考えます。
そのためには、医療職や介護職などの専門職種間によるチームマネジメントを実現しなくてはなりません。
これを、一般的にはチームアプローチとかチームケアなどの言葉で呼びますが、私たち研究所では、あえてIPW:Interprofessional Workと呼びます。
IPWでは、利用者のニーズに応じて役割を分担しながら、必要なチームが形成され、その時々に求められる医療や介護のサービスを提供していきます。
ニーズの変化に応じてチームの構成や役割もまた変化し対応していくことが出来るということを意味しているわけです。
日本語では「専門職連携実践」「専門職連携」あるいは「専門職協働」と訳されます。ケア現場は24時間365日の体制で、停止することなく動いています。
ですからケア現場の職員は、必然的にチームを組んで仕事をせざるを得ない状況となります。
それだけでなく、任されたシフトの中では、どの専門職員も介護ニーズに応じて「同じ質のケア」を提供しなくてはならないわけです。
しかし、職員の知識、技術と言った能力に拠るところ、職員の意思、いわゆる、「やる気」に拠るところなど、ケア現場は専門職員が入れ替わるたびに体制を立て直さなければならない現状に追われ「ケアの質」を保つことに難しさを実感しているのも現実だと言えるのです。
そこで、「自立支援」の視点で作成されたケアプランを忠実に実行できるチー
ムでシームレスにサービスを提供するためには、利用者に必要な「アセスメン
ト」「ケアプラン」「記録」について、その構成内容や連動制に重点を置き自
立支援に必要な水分、栄養、排泄、運動において情報収集、課題の抽出、課題
の設定からケアプランの作成までのサービス過程の連動性を目指さなければ、
シームレスにはならないのです。
また、多職種によるチームについては専門職の協働や連携は一人の人物の指示により、チームの中で与えられた役割を果たすチームの階層構造にて行うのではなく、各専門職が協働・連携してチームの中で果たすべき役割を担いながら、目的・目標を共有して行うことが大切だということです。
このようなモデルをインターディスプリナリー(interdisciplinary model)と言います。
もちろん、各人でアセスメントは行うわけですが、アセスメントの結果はコミュニケーションやファシリテーションスキルなどを使ってチームに統合されることが重要になるのです。
つまり、IPW的に言うならば、地域の医療職と介護職が穏やかで柔軟な結合を図りつつケア現場では、サービス過程のプロセスが連動して記録されることが重要になるということではないでしょうか。
また、ケアプラン通りのケアが実施されていることも重要であると言えます。
そのためには、ケアプランが忠実に行われているかを確認できる記録の存在や実施確認のチェックなどが出来てこそシームレスなサービスが提供出来るのではないでしょうか。
次回は、シームレスケアを支える電子健康管理e-Health /m-Health Careのお話しです。
(参考文献)
篠田道子:多職種連携を高めるチームマネジメントの知識とスキルP15-21 2011.8.15 医学書院
埼玉県立大学編集IPWを学ぶ:利用者中心の保健医療福祉連携2009.4.15中央法規

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