Science Park2

★認知症高齢者の重篤な感染症を引き起こす。アデノウイルスとの戦い2!★
Science(サイエンス)は、日本語に訳すと科学と訳されますが、私たちの認知症高齢者研究所では自然科学を意味しています。また、認知症ケアの本質を探る場合においては自然科学的知識と位置付け、根拠に基づくKyomation Careの体系の根幹にもなっています。
そして、Science Park(サイエンスパーク)では、認知症高齢者研究所が独自に集めた認知症ケアに必要な情報や研究、開発などから、認知症ケアに必要なアイデア・ソース(対人援助技術やケア方法の発想)として活用して頂けることを願って提案しています。
今回は、人類史上最高ともいえる戦争の「ある壮大な一戦」の続編です。
戦いに勝ち残ったアデノウイルスは、細胞内を自由に浮遊し核に到達するという使命と目標に一歩近づきました。
何十億年に渡る細胞とのイタチごっこの結果、自力では動けないアデノウイルスはモータータンパク質という輸送を担うタンパク質を引き付ける正確な結合装置を作り上げたのです。こうして、アデノウイルスはモータータンパク質に手助けさせて核へと向かうことを可能にしたのでした。
1分間に6000歩も歩くモータータンパク質はアデノウイルスを、本当に核へ運んでしまうのでしょうか、核に運ばれたアデノウイルスは一体どんな使命を果たすのでしょうか、プロテアソームという酵素複合体の最終防衛ラインは、アデノウイルスの侵入を阻止できるでしょうか、なぜアデノウイルスは私たちの防御を破れるのでしょうか、敵との終わりなき戦いの続きをお話しします。
モータータンパク質は、まさに自然界の脅威といえます。
その実際は1分間に6,000歩の速さで進んでいます。細胞の核への旅は、人間でいえば、ほぼマラソン2回分、84kmをオリンピックの短距離走者のスピードで走るようなものなのです。
そうした驚異的なスピードで、細胞内の幹線道路である微小管を核へ向かって進みますが、その途中は障害物だらけです。実は、モータータンパク質は、一方向にしか荷物を運べないのです。
ですから、微小管が交差している場所などで、モータータンパク質の行く手を別の微小管によってはばまれると、モータータンパク質は、その時点で身動きができなくなってしまうのです。
アデノウイルスはまたも窮地に陥ったようです。
しかし、最近の発見により細胞の輸送システムに関する認識が見直されました。
モータータンパク質の脚は、一組だけでなく、他にもあって逆方向に進めることが分かったのです。
この特殊な脚が二組あれば、殆んどの障害物を避けて通ることが出来ます。
アデノウイルスが再び前進し始めました。
何百という仲間が、後に続きます。アデノウイルスが鼻の粘膜であるこの皮膚細胞を攻撃し始めてから、まだ一時間も経っていません。
後一時間もすれば核に到達しクローンの大軍が作り出されるはずです。
ウイルスの大軍がここまで侵入したら、もはや打つ手はないと最近まではそう考えられていました。
しかし、新たな研究に、これまで知られていなかった防衛ラインが発見されたのです。
細胞の幹線道路網の傍に、特殊なタンパク質がいて抗体を付けたものを待ち伏せしているのが分かったのです。
待ち伏せしていたタンパク質は、標的を見つけると抗体に付着します。
すると連鎖反応で他のタンパク質も引き寄せられ、それがこのウイルスを破壊すべきだと言う印になるのです。
そして※プロテアソームという酵素複合体が派遣され、ウイルスを破壊するのです。
抗体を目印に、特種なタンパク質とプロテアソームの連合チームは、わずか数時間で大量のアデノウイルスを始末しました。
しかし細胞を滅ぼすには、ウイルス一つで程足りるのです。
つまり、抗体が付いていないアデノウイルスは、プロテアソームによる発見をまぬかれてしまうということです。
抗体が付いていなければ、プロテアソームには見えないのです。
もはや、このアデノウイルスを止めるものは何もありません。
アデノウイルスはあと1,000分の1㎜で核に到達します。
しかし、目的を果たすには、核の中に入らなくてはなりません。細胞の中心にある核は、ウイルスと比べると桁違いな大きさです。
また細胞膜に似た膜に守られていて、ウイルスがそれを突破するのは、細胞膜の時以上に困難なのです。核の中に入る道は、ただひとつ、※核膜孔と呼ばれる通路しかないのです。
モノの出入りは、すべてここでコントロールされています。
腕のように伸びたタンパク質が、核膜孔に引き入れる分子を探しています。
この通路を通り無数のメッセージや指令が、DNAと細胞の間でやり取りされるのです。
アデノウイルスが仕事をやり遂げるには、核の中に入らなくてはなりません。
しかし、これには許可が必要です。なんとアデノウイルスは、ここでも偽造した適切な許可書を携帯しているのです。
核膜孔を守るタンパク質は、アデノウイルスを引き裂きます。
アデノウイルスにとってこれは一見悲劇のようですが、実は大成功なのです。
その結果、引き裂かれたアデノウイルスの中身が、細胞の核の奥へと放たれるからです。
アデノウイルスは、細胞の防御を破る際には必ず細胞自身の仕組みを巧みに利用しているのです。
この戦略を使い次はいよいよ戦いで勝利を収めるつもりです。
核の中身は、私達の体の取り扱いに関するマニュアルを準備するDNA装置があります。
マニュアルを読み、特定のタンパク質を組み立てるため設計図を作る装置もあります。
この装置は、細胞のDNAとウイルスのDNAを見分けられません。
何も知らないまま、装置はウイルスの遺伝情報からアデノウイルスのマニュアルを作り始めます。
それが体中に感染を広げる危険な軍隊の青写真となるのです。
アデノウイルスの情報を基に作られたマニュアルは、核膜孔を通り核の外へ出ます。
そこには、リボソームという動くタンパク質工場が大量にあり、このマニュアルを捉えます。
普段、この工場は、人の細胞にとって必要なタンパク質を製造しています。
それが今、アデノウイルスのマニュアルを与えられ、新たなアデノウイルスの軍隊を生むための部品を作り始めました。
新たなアデノウイルス軍は、細胞に欠かせないDNA装置によって、大量に作られてしまうのでしょうか、軍隊を形成するための部品は核膜孔を通り、細胞核へ吸い込まれてしまいました。
次回は、人類史上最高ともいえる戦争の「ある壮大な一戦」の最終編
人体の免疫システムに対する警告を伝えるダイ・イン(die-in)メッセージは、頼もしい味方を呼び寄せることが出来るのでしょうか、人体の勝利のため、戦いはまだまだ続きます。
※プロテアソームproteasome:動物細胞の細胞質に存在する円筒構造の超高分子で、細胞質での内在性蛋白質を分解する主役であり、ポリユビキチン化(プロテアソームによる分解の目印になる低分子)の蛋白質を認識して円筒内に移送して分解するなどの処理を行う。
※核膜孔(カクマクコウ)核膜に開いた直径50~100nmほどの小孔(小さな穴)のことで、核内外の物質輸送は、すべてこの穴をとおって行われる。核膜孔の縁には、物質を選択的に核内ないし核外へ輸送するための装置があると考えられている。

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