第20回「認知症アセスメントRDR:生活歴と病歴の整理」

認知症と付き合う隠れ技 キョウメーションケア
認知症高齢者研究所 所長 羽田野 政治の連載コラム 今回は第20回「認知症アセスメントRDR:生活歴と病歴の整理」です。
認知症のアセスメントでは、その人の認知障害の現状の把握が重要です。
そこで支援開始にあたって、キョウメーションケアではできるだけ正確かつ詳細にその人の状態を把握することに努めているのですが、認知症の人は物忘れの自覚がないことから聴き取りでは、正確な情報を本人から聴取できないことが多いため、家族からの聴取が重要視されています。
また質疑の際は、家族の心理面に及ぼす影響を十分考慮して聴き取り調査を以下の10項目順に質疑応答形式で行っていきます。
①生活歴(環境変化)、②家族構成変化、③初発症状の発症時期、④発症の仕方、⑤病前性格、⑥羅病後の生活変化、⑦既往歴、⑧遺伝負因、⑨身体合併症。⑩趣味・思考・活動内で確認することで本院の初発症状や日常生活を知る手掛かりとなるだけでなく、進行程度や発症の原因、因果関係をも把握することができ、ケアに役立つのです。
認知症の初期では、記憶障害を含め様々な症状が出現します。家族は本人の記憶機能の低下に気付くのですが、初発症状に気付く時期は2~3年以上経ってからで、いつも一緒にいる家族では初発症状を見過ごす傾向にあるのです。
特に家族からの聴取で大切なことは初発症状の発症時期の確認です。以下のような質問から、発症していた時期を探っていくと比較的に正確な時期を把握することができます。
(Ⅰ)同じことを何度も言ったり、聞いたりする
(Ⅱ)慣れているところで、道に迷う
(Ⅲ)ささいなことで怒りっぽくなった
(Ⅳ)時間や日時不確かになった
(Ⅴ)以前はあった関心や興味が失われた
(Ⅵ)以前よりもひどく疑い深くなった
(Ⅶ)薬の管理ができなくなった
などが何時頃から、何処でどのように起こったのかを聴き取っていきます。
羅病後の生活変化では、認知機能障害によって日々の生活に支障を来たす日常生活動作を中心に確認をしていきます。排泄や食事、着替えや入浴など自分自身の身の回りのことを自分自身でどこまでできるか、電話や買い物、家事、洗濯、服薬管理や金銭管理など自立して社会生活を営むことがどこまでできるかを聴き取り、生活機能障害の状態を評価していきます。
身体合併症では骨折、浮腫、嚥下などの老年症候群やパーキンソンニズム、痙攣、運動麻痺などの身体症状、拘縮、尿失禁、便秘などの廃用症候群や循環器疾患を始めとする各身体疾患などが顕著に現れる傾向があるので、特に留意して確認しておきます。
また、趣味・嗜好・活動の聴き取りでは、好きな色や服装、髪型や呼んでほしい呼び名、得意なこと、苦手なこと、好きな食べ物・嫌いな食べ物、大切な人や大切な物なども一緒に聴取しておきます。
聴き取った情報は、時系列にシートなどに整理しておくとよいでしょう。認知症の人の症状や問題には、高齢になれば加齢に伴う生理的変化が重なっていることもあるので、判断が非常に難しいのですが、こうして時系列で見ていくと、認知症の症状がいつ頃発症したのか、また、きっかけになるような出来事があったのか(家族の誰かが亡くなったことや、脳血管障害など脳を損傷したことがあったなど)を把握できます。
医療的な背景情報も含めた把握は、認知症の進行状態の把握や、今起こりえるかもしれない状況を予測して援助や支援を行うのに役立ちます。特に、認知症の初発症状の時期を発見することは、現在、認知症がどの程度進行しているのかを知る鍵となり重要です。
聴き取りは、RDR(Retrospcct data research:レトロスペクティブデータリサーチ)という手法を用います。RDRはアメリカの精神科医ロバートバトラーの人生回顧をペースに開発したもので、過去の経験を連続的に意識に蘇らせて患者を治療する回想療法に習っています。キョウメーションケアでは、現在から過去へ逆向しながら時系列に回想していく手法を活用して、家族からアセスメントを行い、認知症ケアのために必要な情報を取得して生活歴や病歴を整理しているのです。
次回は、認知症の非薬物療法的アプローチについて学びます。

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