(2013年11月)今月の認知症予報★気温が17度を下回るとBPSDも増えるってホント!★

今日の認知症予報
私達の研究の一つに、単身・重度であっても在宅を中心とする住み慣れた地域で、認知症の方が生活を継続する事が出来る可能性を調査するシームレスケア研究があります。
そんな研究の中から、天気とBPSDの関係について調査した結果を「今日の認知症予報」と題してご報告します。
私達は、2004年から、グループホームや認知症の方のご自宅の玄関先や居室に湿度計と温度計を設置してBPSDの発症と天気の関係を調べているのですが、認知症の方は気温が下がって寒くなってくると不安から抑うつ、物忘れなどの認知機能の障害が顕著になり、加えて拒否行動を伴ったBPSDが増える傾向になるから驚きました。
また、今年は異常気象で気温も高く32度を超える日が続きました。おかげで雨が近付くにつれ、特に不安、焦燥感、物忘れなどの症状が始まり、雨降りに伴ってBPSDの暴言・暴力行為や拒否を始めとする不快感を強く現す傾向が見られました。
例えば、雨が降り出す数時間前になると、かならず頭痛やめまいを訴える方や、低気圧が近づいてくると、腰痛や弾痕の古傷が痛みだすといった、気象予報士でもないのに、雨が降ることを的中させるのです。このような話は皆さんもよく聞くと思いますが、認知症の方はまず30度では無く32度以上になるとBPSDが頻回に発症することが分かりました。
健康な人でも、雨や曇りの日はうっとうしい気分になるし、晴れた日には身も心も元気ハツラツとしてくるものです。
このように、天気が変わったり季節の変わり目になると体調が崩れたり、あるいは、それが引き金になって異常を訴える症状を「気象病」と呼んでいるそうです。
さて、この時期は季節の変わり目でも有り冬構えの時でも有ります。天気予報的には紅葉を美しく演出する移動性高気圧は東の海上に移動し、次の高気圧との間に気圧の谷が伸びて来るのです。この気圧に大陸からの冷たい大気が吹き込み、寒冷前線となって地上の気温が急激に下がるのです。
すると認知症の方も、この秋特有の変わりやすい急激な気圧の低下に付いて行けず、急激な神経痛、関節痛、筋肉痛などの疼痛に合わせて不安から抑うつ、物忘れが顕著になりストレスから拒否行動を伴ったBPSDが発症するなど、認知症の方にとってこの時期は、まさに「冬構え」の怖い季節でもあるのです。
認知症の方にとって、急に寒くなって起こる怖い症状には、BPSDの他に高血圧と心臓血管系の病気が有ります。認知症の方は比較的高血圧の方が多く、高血圧の方の脳卒中は、やはりこの時期が圧倒的に多いのです。
皆さんもご存じの通り、脳卒中には二通りあって、一つは脳の血管が切れる脳出血であり、もう一つは脳の血管が詰まってしまう脳血栓です。つまり急に寒くなると、体の血管の末端まで血液を送るために、心臓が収縮するので血圧が上がり、これが原因でBPSDや脳卒中になるわけです。これを予防するには、認知症予報的に言いますと前日よりも気圧が下降し、雨の日よりも晴天の日で一日の温度差が最も大きい15時~18時で湿度が60%以下の日は、外出を避けて温かい室内に温かい服装で温かい飲物(水分)を十分に摂取するように注意し予防します。
ちなみに、このような気象条件は、まさに寒冷前線が通過した直後の寒波襲来のときなのです。ですから外気と居室内の温度差が20度以上となる時が最も危険な時と言うことなのです。
むしろ認知症の方が、よりはっきりと天気と関係した症状が現れて来るのです。BPSDは寒冷前線の通過と共に発症してきます。気温の低下に伴い認知機能の障害は朝と夕暮れから夜半にかけて断続的にON-OFF状態になり深刻化を増してきます。生活機能(ADL)の低下が目立ち、寒波に伴いレビー小体型認知症の方などは幻視やレム睡眠行動障害が顕著になると聞くと驚かれるかもしれませんね!
どうやら天気が認知症の人の健康や能力に大きな影響を及ぼしている事が見受けられます。
今年は急激に寒さもやって来るようです。健康な人でも気温が下がってくると無意識のうちに腕を組んだり、首を縮めて背中を丸めたりしますよね。
これは出来るだけ体を小さくして、体内の熱が外に逃げないようにする防御本能なのですが、問題は外気の温度よりも、体温の低下にあるようです。
低気圧が近づき気圧が下ると認知症の方は、体温の低下に伴い振戦などの不随意運動や神経痛を訴える方が増えてきます。そして、天気が崩れて来るに従い気管支ぜんそくのような咳きこみや誤嚥も目立ってきます。BPSDは精神不安から軽いうつ状態になり不快感からいらだち、焦燥感を持ちながらの拒否が顕著に認められるようになります。
このような時にバイタルを測ると自律神経のバランスが急激な気温や気圧の変化について行けずに倦怠感や頭重感、吐き気や動悸などを訴えます。そして、中等度の認知症の方では、遂行機能の障害や問題解決能力が低下している様子が見て取れます。
人間を始め動物は食べ物を食べて、活動エネルギーとして熱を発生させます。このエネルギーは運動や仕事に消費される以外に熱として体に蓄えられるのです。
ですから、外気温度が有る範囲内で変化しても体温は一定に維持する機構を備えているのです。これを恒温と言い人間は恒温動物なのです。
これは脳の体温調節中枢である視床下部と言うところで体内における熱の発生と環境への放散とを調整し平衡を保っているからなのです。
では、熱の生産は何処で行われているのでしょうか、実は、骨格筋と肝臓なのです。逆に熱の放散は、皮膚からの放射や伝導と対流のほか、発汗や呼気からの水分の蒸発によって起こっているのです。
視床下部に温かい温度と冷たい温度を感じとる2種類の特別な神経細胞が有り循環血液の温度センサーとしての役目を果たしているのです。そして、普段は36度~37度にセットされているのです。これを体温管理のセットポイントと言います。
このセットポイントよりも体温が下がってくると、指令が出て血管を収縮させたりして恒温を保つようにしているわけです。
では、どのように気温を感じるのでしょうか、皮膚表面の温度が約17度までの温度にさらされると涼しいか冷たいと感覚が受け取ります。
一方、約43度までの高温にさらされると温かいか熱いと言う感覚が生まれるのです。
また、17度以下や43度以上の場合は温度刺激が痛みのもとになってしまうわけです。
このように気温が17度以下に下がった日は、20度以上の温かい日の3倍近い頻度で不安と拒否を伴うBPSDが発症しているのです。
そこで、Kyomation Careでは、環境から受け取る放射熱で温かく感じるように配慮します。
視覚効果も有効で、暖炉やコンロ、コタツなどが有るだけでも精神不安は緩和されます。
皮膚に接触している衣服とそれに包含される空気の温度は体表温度と一致しています。大きめの服や薄着は禁物です。季節とその方のサイズに合った服装、長めの靴下やタイツだけでBPSDと脳卒中を始めとする心筋梗塞までをも防げることが出来るのです。
被服内温度は常温を保ち常に33度~36度程度にしておきます。年間を通して室内の気温や湿度に注意を払い室温25℃に保ち、加湿器などを用いて湿度40~60%に設定し、水分をしっかり取って空気清浄機などで室内のホコリやダストを取り除くなどして体調をコントロールして快適感を提供すると不安から抑うつ、物忘れなどの認知機能の障害が軽減され拒否行動を伴ったBPSDは消失することに驚かされます。
つまり、認知症ケアでは、朝の天気予報を確認して対応することが肝心なのです。「今日の天気は雨のち晴れ」は、午前中はBPSDに注意して下さいってことですね。
病は気から、気は天気から、そして、認知症も天気次第なのですね!
(注)シームレスケア研究の中で行われている天気とBPSDの研究調査は、現在も継続中であり、結論として結び付られたものではないことを付け加えておきます。

社団法人認知症高齢者研究所
Senior Dementia Institute

〒224-0032 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央20−14 松本ビルB館 4F
TEL:045-949-0201 FAX:045-949-0221
Copyright © 2011 Senior Dementia Institute. All Rights Reserved.


PAGE TOP