24Hアセスメントで定期巡回の効果実感

医療・看護・介護職など多職種協働で根拠に基づく実践的な認知症ケアについて研究活動を続けている「Kyomation Care(キョウメーションケア)研究会」(羽田野政治会長)は23日、東京都内で実践事例発表会を開催した。24時間、1週間にわたって在宅生活の様子をアセスメントし、近隣住民の助け合いを活用しながら必要なサービスを定期巡回・随時対応型訪問介護看護で提供し、在宅生活が維持できている事例などが発表された。
研究会は2011年、横浜市で定期巡回サービスやデイサービスなどを運営する認知症高齢者研究所の羽田野政治代表が中心となって発足。有料老人ホームやグループホームなどの介護・看護職、在宅医療に携わる医師などサービス種別や職種を超えた様々なメンバーが「根拠のある介護」の確立を目指して研究活動などを続けている。事例発表会は日頃の現場での成果を伝え、方法論を共有する場である。
認知症高齢者研究所でケアマネジャーを務める梶原千津子さんは、定期巡回サービスでのケアマネジメントを通じて把握した地域住民の助け合いを活用しながら、効果的な短時間サービスを実践した事例を発表した。
82歳のAさん(男性)は妻と二人暮らしで要介護3。狭心症・骨粗鬆症・低カリウム症の既往がある。まずはAさんとの信頼関係を構築するために、1日3回60分ずつ食事づくりと介助、排泄介助などを入れながら、1週間にわたってバイタル測定、睡眠や排泄のパターン、服薬の様子・管理状況、記憶障害の状態など生活全般にわたってきめ細かくアセスメントを実施した。すると、朝と夜の血圧が大きく変動するなどの自立神経症状や摂取する水分量も少ないこと、記憶に関しては特に近時記憶に低下が見られることなどが把握できたという。
「さらに、Aさんには食事作りや身の回りの世話を交代で近隣の知人たちもいて、貴重なコミュニティがあることも分かりました」(梶原さん)
そこで、家族と住民、ヘルパーそれぞれの役割分担を行い、Aさんの残存能力も見極めた上で短時間のサービスに移行。家族や知人たちにも出来ていなかった服薬管理を毎日10程度の訪問で対応し、習慣化したことで検査数値が改善するなどの効果が出てきたという。梶原さんは「通常の訪問介護のケアマネジメントでは、週単位でサービスの流れを考えていた。定期巡回サービスによって24時間の状態をアセスメントしたことで、残存能力やインフォーマルサービスを生かしながら専門職による支援を本当に必要な時に提供できるようになった」と言い、施設と同様の経過観察を行いながら柔軟なケアマネジメントが実施できるのが、定期巡回サービスの良さだと報告した。
このほか、他人との交流に強い恐怖感を持つ認知症の女性に対し、マンツーマンでの対応から徐々にグループでのケアに移行してデイサービスを安心してデイサービスを安心して利用できるようになり、家族の介護負担軽減と在宅生活の維持に効果を上げたデイサービス(舞浜倶楽部)など9事例が発表された。
2013年8月30日 シルバー新報より引用

社団法人認知症高齢者研究所
Senior Dementia Institute

〒224-0032 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央20−14 松本ビルB館 4F
TEL:045-949-0201 FAX:045-949-0221
Copyright © 2018 Senior Dementia Institute. All Rights Reserved.


PAGE TOP