第13回 レビー小体型認知症への対応2

認知症高齢者研究所 所長 羽田野政治の連載コラム 第12回目はレビー小体型認知症への対応②です。
幻覚受け入れ冷静対応を
今回はレビー小体型認知症のBさんを通して対応を学びます。
絵画教室で倒れ、病院に運ばれたBさんは軽度の脳梗塞と診断され、身体的変化は特に見られずそのまま帰宅しました。しかし、徐々に自分の思い通りに行動が出来なくなり、パーキンソンニズム(筋強剛、振戦、小刻み歩行など)が見られるようにもなりました。
それに伴い、「テレビの上に猿がいる」など幻覚を訴え始め、日中はソワソワとして落ち着きが無く興奮状態になる事が増えました。
 
一方で、ボーっとしている事も見られるようになりました。受け答えに対する話の内容は一貫しない事が多くなり、夜間には大声で叫ぶ様子や日ごとにパーキンソンニズムも強く表れ前屈姿勢から転倒も多くなりました。
このようなレビー小体型認知症の対応では、幻覚から「子供や小動物が見えた」と言った時には、まず様子観察13項目の態度と表情で確認します。態度では見えているものを拒否しているかどうかを確認し表情では怖がっているかどうかを確認します。
次いで、幻覚が起こる場所や時間を確認します。場所ではいつも同じ場所か、不特定の場所なのか時間は何時なのか光の加減や気圧や気候も合わせて確認します。大切なことは、幻覚で見えている子供や小動物を特に拒否する様子がない場合、その対象になる幻覚に興味や好意を持っていると考えることです。
まず本人の言葉を受け入れて指示に従います。介護者は「見えているのですね」などとは答えず相槌を打つだけにして、落ち着いて「お茶でも用意しますか」「お菓子でも持ってきましょうか」と尋ね、返答を待ちます。その間必要に応じて光や明りを調整します。カーテンを開閉したり照明を点灯したりするのです。部屋の湿度や温度も大事な要因です。そして本人を幻覚の見えているところに連れて行き挨拶と接触を持たせます。「子供は何処へいったのですか?」と声掛けると多くの場合が消滅します。
次にパーキンソンニズムでは動作が鈍くなり前屈姿勢と呼ばれる前かがみの姿勢が認められます。筋肉や関節が固くなり靴下が履けなくなりボタンが止められなくなります。すり足や小股で歩くようにもなります。歩き出すと止まれなくなり、逆に凍りついたように歩きだせなくもなります。その上、表情が乏しくまばたきが少なくなり誤嚥性のむせ込みなども増えてきます。
このようなパーキンソンニズムなどでは正面からの手引歩行は禁物です。すくみ足から腰が引けてしまい一歩を踏み出せず転倒などに結び付いてしまうからです。介護者は横から脇を抱え耳元で「いち、に、いち、に・・・」と声掛けしながらフォークダンス姿勢で手引歩行します。その際、少し両腕を広げるようにするとバランスも保て歩きやすくなります。
また、午前中の体操も有効です。自分のペースで出来るだけゆっくり大きく体を動かしラジオ体操を見習いながら腕を上げたりおろしたり手を振ったり握ったり開いたり背筋を伸ばしたりなどを毎日10分程度行うだけでも改善が見られます。夜の興奮や奇声が10分以上続く場合は起こしましょう。その際は揺さぶって起こしたり声掛けして起こさないようにします。目覚まし時計などの音を使い覚醒を促します。目覚まし音は声掛けより有効で覚醒度が上がるからです。どちらにしても適切な「薬物療法」「経過に沿った適切な介護」「転倒予防」の3大ポイントが認知症への対処方法なのです。
次回は、診断できても治せない病への挑戦、介護にゆだねられたピック病(前頭側頭型認知症)の症状と対応について学びます。

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