第4回「衝動的で抑制できない感情状態(興奮)の対応」

認知症と付き合う隠れ技 キョウメーションケア
認知症高齢者研究所 所長 羽田野政治の連載コラム 今回は第4回目「興奮への対応」です。
以下、記事内容
~興奮の原因探りケアの対応明確に~
人は、誰でも、自分の要求が通らずに思い通りに物事が運ばないと感情が高まり興奮を引き起こすと言われています。
今回は、自分の要求が通らないと物を壊したり暴力を振るうことに発展してしまう認知症の方への対応についてのお話です。
従来、興奮への対応では叱らず、興奮が収まるのを待つことが基本とされてきましたが、見守るだけでは、奇声や暴力が続発されてしまい周囲の方に迷惑を掛けることが多いのです。
キョウメーションケアでは、まず始めに認知症の方の興奮の原因を明確にします。なぜならば、介護者にとって興奮の原因の捉え方が明確であるほど、とるべき有効なケアの対応が明らかになるからです。
まず、興奮はどのくらいの頻度で起こるのか、いつ起こるのか「起床時・朝食中・午前中・昼食時・午後・夕方・夕食中・入浴中・就寝時・夜間・睡眠中・レクリエーション中・排泄時など」、どこで最もよく起こるのか「居室・居間・廊下・玄関・台所・トイレ・浴室・その他」を行動観察13項目に付け加えて記録していきます。誰がいるところで起こるのか「集団行動時・外出時・孤立時・人前・特定人物前・介護者・医師・看護師・介護士・療法士・家族」は態度や表情項目に、起っている時間の長さや場所は見当識項目に付加して記録しておきます。
介護者は、最低1~2週間の期間にわたり、行動観察13項目で観察し記録していきます。そして、興奮が起こる前後についても明らかにします。
介護者は、よく興奮が「突然」起こるという印象を抱いているかもしれませんが、興奮行動の直前の出来事を注意深く観察すると、引き金(トリガー)となる要因を認めることがよくあります。興奮が単純であることは滅多にありません。通常は、記憶、認知の障害によって、人的関係や環境、心の迷いや不安などの複雑な要因が興奮行動に関与しており、介護者がこうした要因間の関係について理解することで、介入がうまくいきやすくなるのです。ここで、興奮への具体的なケアを示します。
昼食時から夕方にかけて集団行動時に自分の要求が通らず大声をあげて興奮する場合には、姓名に呼びかけ、介護者は表情を観察しながら自分の名前を名乗り、側についているから安心するよう5分間隔で度々伝えます。表情が和らいで来たら側に付き添い受容し味方である姿勢をとり落ち着かせます。
また、居室に入室した介護士に対して自分の領域や行動を侵されることに警戒して興奮する場合は、温かい声掛けを行い、愛着のある日用品を手元に置くなどして安心できる環境を作ります。また、嗜好品などを掲示し気分転換させるのも有効です。
対象者の出身地のご当地ソングや懐かしさが連想される曲を聞かせると言語能力がない人も首や体でリズムを取ったりする行動が見られ興奮が緩和することがあります。
入浴や排泄時に興奮する場合は多々あります。恐怖感や違和感などの不快感が原因といわれています。入浴の恐怖感を取り除くため浴槽の湯量は少なくし安心してまたげるよう工夫します。また、トイレ内は照明を明るくし、貼り紙に絵や文字を使って手順を示すだけでも興奮は軽減します。
興奮は寂しさや孤独感、自己決定の抑制によることが多いので介護者は言葉だけではなく、優しいしぐさや温かい眼差し、手を握る、肩を抱くなどのタッチングを利用して日頃から感情面に働きかけることで興奮の頻度も軽減します。
 
 次回は、暴言・暴力の対応方法を学びます。

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