Science Park 老化とテロメア

北極鯨(Balaena mysticetus)は、およそ200年生きると考えられています。

今から17年前2007年5月にアラスカ沖で巨大な北極鯨がイヌピアット・エスキモーによって捕鯨されました。その体内から捕獲の際に使用されたと思われるモリが刺さってまま発見されました。

そのモリが1880年頃に製造された先端に爆弾を仕込むものであったことから、北極鯨は130歳前後と判明したのです。

北極鯨の体格はがっしりしていて、全長20mに達して、雌の方が大きくなり、脂肪層は他の鯨よりもかなり厚く平均43~50cmもの厚みもあるのです。

この体格が長生きする理由かどうかは分かっていませんが、北大西洋に生息する西隠田鮫(ニシオンデンザメ:Greenland Shark)は、脊椎動物で最も長寿な400歳まで生きることが分かっています。

西隠田鮫28匹の眼の水晶体を使って放射性炭素年代測定を実施したところ、平均寿命は少なくとも272歳と見積もられ、なかでも体長4.93メートル5.02メートルの大きな2匹はそれぞれ335歳、392歳と推定されました。

これまでに脊椎動物では最も長寿とされた北極鯨の211歳を上回り、無脊椎動物を含めても北大西洋沿岸地域では一般的な食用二枚貝であるアイスランドガイ(Arctica islandica)の507歳に次ぐ記録です。

これらの動物は、人間と何が違うのでしょう。

有機体の老化する速度が異なるのです。

かなり長生きで寿命が分からないものもいるのですから、、、

例えば、クロコダイルやアリゲーターです。

養殖所に何度も行きましたが、飼育員たちは口をそろえて、こういいます。

「クロコダイルは私たちよりも年上ですが、若者のように元気いっぱいで、信じられないくらいエネルギッシュですよ」…と

地球上の有機体の中には、ダーウィンではないですけど、時間の経過とともに起こる機能的老化が無いという有機体がいるのですから驚かされます。

人よりはるかに長寿な動物がいる理由は分かりませんが、細胞内のテロメアという部分が体内時計を決定しているという説があります。

動物の体にある細胞の大半は、分裂できる回数に限りがあり寿命があるのですが、これには染色体の末端に位置するテロメアと呼ばれる配列が深く関係しているということです。

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0529/index.html

http://ueharazaidan.com/telomere.html

年を取るということは、このテロメアがすり減って、細胞分裂が行われなくなり老化が始まるのです。

それを食い止めサイクルを巻き戻すことが出来たらどうでしょう。

学生の頃、地球上に生きる動物の中には何百年も生きる種が存在するということに心弾みました。

その頃は、きっと人間も同じように長生きが出来るはずだと思っていました。

そして、現在、ナノテクノロジーの時代がやってきました。

科学者たちは、細胞の機能を制御する“ナノロボット”いう超小型の医療用具の開発に着手している。

http://news.mynavi.jp/news/2012/10/30/022/

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150708/pr20150708.html

将来この小さなロボットが、血液中に注入されるようになると体内の壊れた細胞が修復され、テロメアのサイクルを巻き戻すことが可能になるので、いずれは、病気や遺伝子の突然変異さえ治すことが出来るようになるでしょう。

病気や老化とは無縁になります。

小さなロボットを思い浮かべてください、細胞内に入り、問題を見つけて正すことが出来るのです。

従来の治療法では、治すことの出来なかった疾患を将来的にナノテクノロジーで治せるのではないかと思っています。

こうした道具が実際に使われるようになるのは、時間の問題です。

今、この時代でさえ、ボトックス注射で皺とりやヒップアップでトップモデルのような姿になれます。

皺とりや膝の手術は必要ありません。未来では、ナノロボットで切創や致命的な感染症を治すことが出来るようになります。

こうして話している間にも従来の治療法より効果的な病気を治すためナノテクノロジー治療が行われ始めているのです。

ナノロボットは小さな金属製のロボットではありません有機物なもので拒否反応を起こすことはないのです。これらのロボットの先駆けが、既に開発されているので紹介しましょう。

図のように薬を必要な細胞に届ける配達人のようなナノロボットです。

第一段階は、それに適するサイズの薬を創ることになります。

ノースウエスタン大学(Northeastern University)の試みを見てみましょう。

ここで行っている実験で見られるのは、セレンのナノ粒子を作ることを可能とする反応です。

セレン鉱物は大量だと有害ですが、ナノスケールなら癌を治療できます。

合成した特別な免疫細胞に微量のセレンを注入するとこのセレンが体内の必要な場所にたどり着きます。

細胞内に癌の可能性がある突然変異があった場合、セレンを送り込んで、癌細胞を殺すのです。

この方法を応用すれば、体内の好ましくない細胞をピンポイントで殺せます。

修復出来れば、肉体は朽ちるという物理の基本法則はなくなります。

血液中を巡るナノロボットは、たえず全てを元通りに戻すことが出来るといいます。

それがマイクロロボットと呼ばれる医療の終着点になるのではないでしょうか。

そうなれば、その日は人類史上、記念すべき変革の日になるでしょう。輝かしい未来の姿が見えてきませんか。10年間の長期休暇とか、ほかにも手に入れた有り余る時間を使って人生を楽しむことが。。。出来るとはいえ、これは、応急処置であり第一段階でしかないのです。

不治の暗号を解読するには、自らの遺伝暗号を解き人間の構成要素そのものを変えなくてはならないのです。

将来的には厄介な遺伝子を排除できるようになります。

勿論、アルツハイマー病のような恐ろしい病気になる遺伝子もそうですが、それだけではなくて、筋委縮性硬化症になる遺伝子もそうです。

まずは好ましくない遺伝子を治療し、最終的には、受精後の杯のDNAに入り込み生まれる前に遺伝子を選んでしまうのです。

進化に別れを告げ、遺伝子工学の時代が訪れます。

しかし、人類は、責任を持てるのでしょうか…自分達よりも強く、速く、賢い人間を作り、神の領域に手を出して成功した試しは殆どありません。

慎重さを欠けば、理想の人間つくりの過程で、人間らしさを失うことになりかねませんから!

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