★共生は…共感する全ての哺乳類が持っている…原始的本能から始まる★

★共生は…共感する全ての哺乳類が持っている…原始的本能から始まる★

令和元年6月18日認知症施策推進関係閣僚会議にて2015年策定の「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)の後継に当たるものとして、普及啓発、医療、ケア、介護サービス、認知症バリアフリー、研究開発などの分野で取り組む施策として、主要業績評価指標(KPI)や目標を定め、認知症の発症を遅らせることだけでなく発症後も希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指すことにし、“共生”と“予防”を認知症施策に据えました。

つまり、新オレンジプランのアップグレード版で、認知症になっても地域で安心して暮らせるように、誰もがいくつになっても活躍できる社会を2025年までに作ろうということです。 https://boxil.jp/mag/a3592/

そこで、今回は“共生”について考えてみました。

私達は、他人をあるがままに見ることができるのでしょうか?人間は、毎日決まった作業を行うことができる、ステレオタイプなのです。ステレオタイプとは・・・あの人(他人)は、どんな人かと考える時、人は性別や人種、職業などのイメージから判断してしまうことです。

このように、理解したい対象に“あてはめて”考えてしまう典型的で固定化されたイメージのことを「ステレオタイプ」というのです。

つまり、ステレオタイプとは、その文化や社会において、人々に広く共有されているカテゴリーで、簡単な例を挙げれば、「A型は几帳面」「教師はまじめ」などといったものです。

このように人を自分の概念で決めつけて判断する認知を、「ステレオタイプ的認知」とも呼びます。

私は、“共生”を考える時、このステレオタイプが重要なカギを握っているのではないかと考えています。

たとえば、ステレオタイプの場合、野菜用のカゴには収穫したばかりの野菜が入っていると思い込んでいるのです。ですから、野菜の下に魚が入っていても、野菜用のカゴに魚が入っている・・・はずはない‥・!と思い込んでいるので、カゴの中を見ることもしないのです。つまり、私達は全てを思い込みで予想して生きているということです。予想するからこそ、毎日の暮らしがずっと効率的で楽なものになるのです。

“思い込み”は禁物ですが…!

大昔から人類は、ステレオタイプによって自分の種族を区別してきたのです。

悲劇を招く元であったとしても、私達の脳の仕組みにおいては、基本的な機能なのです。

人間は全く初めて見る姿の人よりも、自分に最も近い人に手を差しのべる傾向があります。

私達、人類の行動には、一部に哺乳類学的な共通点があると考えているので、私は現代の人々も社会的結束を強められると思っているのです。

まずは人間より単純な哺乳類で実験したことをお話しします。

ラットには、基本的に自分と同じ種の仲間だけを助ける性質があります。実験では1匹のラットをマウントホルダーカプセルの中に閉じ込めます。出口の扉は一ヶ所だけで、その扉は、外のラットにしか開けられません。そこへ、同じ種の別のラットを置くと、囚われのみになった仲間を助けだすのに時間はかかりませんでした。どちらもSDラットという種のアルビノラットです。2匹は、姿形は同一ではなく、今まで会ったことのない同士ですが、その関係は遠い、遠い、親戚のように似ています。ラットは見覚えのある仲間を助けます。

今度は別の種のラットを使って、同じ実験をしました。

マウントホルダーカプセルの中に頭から背が黒いラットを閉じ込め、その近くにアルビノラットを置きます。

初めて見る黒いファンシーラットに対しては、アルビノラットは扉をあけないのです。

自分とはなんの類似性もない、とても奇妙に見えるラットに対しては積極的に助けようとはしないわけです。

次に白いアルビノラットと黒いファンシーラットを事前に対面させます。

アルビノラットを黒いファンシーラッドのケースに2週間入れておき、その後再びアルビノラットのケースに戻します。

なので、アルビノラットは黒いファンシーラッドを1匹だけ知っていることになります。

アルビノラットは別のファンシーラッド全てに親しみを持つことができるでしょうか?

そこで、別の黒いファンシーラットが囚われているマウントホルダーカプセルのそばにアルビノラットを置きます。結果は、肌の違いを見事に乗り越えました。

これが示唆していることは、1匹でもファンシーラッドと関わるとアルビノラットは全てのファンシーラットを同等に扱うということです。

ただ、1匹と暮らしたことがあるだけで、その種の別の個体にも迷わず力を貸そうとするのです。

つまり経験は、大きな影響力を持つということです。

ひねくれ者を改心させるのは、意外と簡単かもしれませんね。

私達は別の人種の誰かと、いい経験をすると、同じ人種の他の人にも共感するという生物学的な仕組みを持っているわけです。

共感は全ての哺乳類が持っている原始的本能と言えます。

ラットからわかることは、人間も困っている他者を助けようとする哺乳類の遺伝的本質を持っているということです。これを“利他的行為”と言います。

そしてラットは素晴らしいことを私達に教えてくれました。

それは、たとえ別の種でも交わりさえすれば、みんな仲間になれるということです。

これはすごく希望が持てる素晴らしいメッセージではないでしょうか!

“共生”するためには、全ての人が認知症の人と関わることから始めるということですね!

★共生を邪魔する偏見★

しかし、人間にはダークサイド面もあります。

私達は他者の苦しむ姿に喜びを覚え、自らの偏見に溺れることもあるのです。

偏見は、人間社会に遥か昔から存在しています。これを“利己的”とも呼び人がいます。

たとえば、肌の色が違う人々を迫害したり、宗教の違いや男女の間の差別もそうです。

しかし、原因は生まれ持った環境だけではありません。

身近な話では、巨人VS阪神の野球の試合でライバル同士のファンたちが悪意に満ちた偏見を持っていがみ合うこともあるからです。

ハーバード大学の研究に、個人がどのように集団化し、やがて、なぜ激しく対立し合うようになるのかという研究があります。

例えば、初対面同士の集まりでも、結束の硬い同盟関係を結ぶまでには、さほど時間はかかりません。

人間の素晴らしい特性は、素早く集団を作ることです。

心理学の研究でも明らかになっていることですが、例えば、体育の授業で生徒を赤チームと青チームにランダムに振り分けるだけで、内集団バイアスと呼ばれるものが生まれます。

内集団バイアスとは、外集団の人々よりも内集団の人々に対して好意的な認知・感情・行動を示す傾向があるということです。内集団の人々に対しては、より望ましい属性を認知し、高く評価し、優遇するという認知のあり方でもあります。

つまり、自分が属する集団を好み、同じ仲間を優遇するということです。

願して人間は、そういう性質を持っています。

人類は誕生以来ずっと反映し生き残るために他者の助けを必要としてきました。

そのため、二つの集団が直接争うことになると、それが任意に振り分けられたものでも、人間は個人より集団のニーズを優先させます。譲れない一線がそこに惹かれるのです。

ですから、暴力が飛び出すきっかも、ほんの些細なことなのです。

エスカレートすると、両者の怒りが爆発します。

一般的に他人をいじめることが好きな人はいません。

でも、そこが競争の本質なのです。

仲間内に優しいと外には冷たくなるのです。自分のチームを勝たせることは、他のチームを負かすことでもあるからです。

私が知りたいのは、他人を苦しませたいという欲望に良識が負けてしまう理由です。

これが介護の世界では、ネグレクトや虐待、介護者同士のいがみ合いやいじめにおよぶからです。

たとえば、真っ向から対立し合う二人のスポーツファンがいます。お互い“殴り合ったり”…は、しませんが、試合の日なると別です。そこで、二人にライバルが劣勢の場面を見せながら、その脳の活動を観察してみました。巨人と阪神の熱烈なファンを18人集めました。

そして、彼らにはそれぞれのライバルが別のチームと苦戦している場面を見てもらいました。ドイツ語でシャーデンフロイデという、ライバルの苦しみから得られる快楽の感情を私達の脳が求めるようになることが、この実験で見えてきました。

ライバルが失敗する場面を見たときは、脳の腹側線条体が活動しています。

この領域は肯定的な情報や報酬に関わる事象を認知すると言われています。

そのため人は、これをやればまた喜びを得られると記憶するわけです。

腹側線条体は、多くの依存症の核心部でもあります。

喫煙者がタバコを見ると腹側線条体がその快楽を思い出させるので、1日の喫煙量はまたたくまに増えていきます。

では、ライバルの苦しむ姿をもっと求めるようになるのでしょうか?

そこで、問題はライバルの不幸を見て、そのライバルや関係する個人を実際に傷つける可能性が高まるのかどうかですが、証拠によればその答えは、なんと…YESなのです。

心配なのは、この集団を重視する考え方がスポーツの世界に止まらないことです。

実際、私達は全の人を4つの社会的カテゴリーに分けているのです。

初めて合う人や集団について人は、二つの質問をします。

一つめは仲間か敵か!二つめは自分にどれほどの影響力を持つかです。

たとえば、聡明や人や医者は、一般的に有能と見られる人達のグループに、体の弱い人や高齢者は別のグループに、いじめっ子は敵のグループに分類されます。

しかし、強い憎しみの対象となるほどではありません。

敵であると同時に高い能力のあるグループこそが、人々を激しい偏見へと駆り立てることになります。

このグループには投資家やアジア人、男性社会で力を振るうキャリアウーマンなどが含まれるそうです。

ハーバード大学の研究では、大勢の人がこのグループが苦しむと喜びを感じると答えました。自分が傷つける可能性が最も高い人は誰かと尋ねると、自分の利害と競合する有能な人々のグループだったのです。

ところが、興味深いことに、安定した社会では、このグループと強調するのです。それは、富の支配者だからです。

でも社会が不安定になると、彼らが最初にやり玉に上がると言います。集団に属することは、人類の避けられない定めですが、集団主義は他者への共感を呼び起こすだけではありません。そこに、政治的課題が絡めば、集団主義は私達の脳を誤った現実主義へ導くこともあります。

私達は皆、自分の属する集団の勝利を望んでいるからです。“共生”社会の構築は簡単にはいきそうにないですね…! しかし、人類はその先を目指し互いの溝を埋めることだってできる筈です。

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