2013年 介護福祉学会「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスに於ける在宅ケアの可能性と問題点」

窪田俊(3578)、遠藤実(3368)、鈴木靖之(3369)、梶原千津子(2131)、羽田野政治(2132)

社団法人 認知症高齢者研究所

1.「目的」

定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、施設同等な24時間体制の在宅ケアのため、実際に訪問を行っている介護職や看護職がチームで行う継続的アセスメントに基づき一日のサービス提供タイミングなどが決定されている。また、ケアマネジャーは、本サービス事業者と「共同マネジメント」の形で緊密に連携を図り、他の専門職との情報共有を進めつつ、利用者のニーズに即した個別ケアのケアプランの作成が要求されている。要介護者が在宅生活の継続を行うには、介護サービスに加え看護サービスの安定的な提供と情報共有があってこそ、要介護3以上の在宅生活の限界点を引き上げることの前提条件が満たされることと言える。

本研究では、短時間の定期訪問と随時の対応の適宜・適切な組み合わせと1日複数回の必要なタイミングと内容のケアの実際を、1事例を通して経過研究を行い、利用者に適切なアセスメントとケアマネジメントが行えているか、また、サービスの対象像、ケアマネジメントのあり方、介護・看護サービスの一体的提供によるニーズと効果、職員配置のあり方などを検証した。


2.「方法」

対象者:A氏 女性 85歳 要介護3 生活自立度:B1 認知症自立度:Ⅲa

既往歴:アルツハイマー型認知症・高血圧・多血症・白内障・腰椎圧迫骨折・膀胱癌・廃用症候群

期間:平成25年4月24日~7月14日

膀胱癌の手術のため1か月程度入院した後、A氏の状態の変化をうけ、定期巡回随時対応型訪問介護看護サービスを導入。サービス開始時より、身体状態に関してはバイタル測定・行動観察評価MENFIS・睡眠排泄パターン評価を実施。また、生活状態やADLに関してはサービスの際に問題記述方式SOAPとフォーカスチャーティングから導き出した根拠に基づいたサービス提供を実施し、ADLの変化や認知機能の変化などは、電子健康管理システムKCISに記録して多職種と情報共有を行い、状態や様子は、評価表を用いて数値化して比較検討を行った。また、その都度状態に合わせた「共同マネジメント」によるケアプランの変更を行い継続性を図った。


3.「倫理的配慮」

本研究に対する個人情報は事前に対象者及び家族に伝え書面にて了承を得た。


4.「結果」

①当初は頻回にトイレに通う行為(常同行為)が見られたが、1日複数回、短時間の定期訪問を行い常同行為の改善が出来た。②デイサービスを再開し送迎時の立会いを行う事で積極的に外出するようになった。③深夜の睡眠行動障害時や失禁時には随時訪問にて対応したことで熟眠障害が軽減できた。④生活とADLが向上したので定期巡回随時対応型サービスから訪問介護サービスへケアプランを変更して利用者のニーズに合わせた。その他の詳細結果は、当日報告とする。


5.「考察」

多職種連携にて情報共有を行うことで、自立支援に向けた援助を継続的に行えることが示唆出来た。これにより、その人らしい生活を取り戻すことができたと考えられる。

また、疑義としては、特定の時間帯にサービスが集中するなど勤務ローテーションやシフト対応の問題が示唆出来た。利用者からのコールに対応するオペレータの実務配置の問題も課題としてあげられた。その他は、当日報告する。

社団法人認知症高齢者研究所
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