2010年 第24回日本老年精神医学会 「大脳皮質の分類と機能の関連整理からみたBPSD軽減への取り組み」

Trial to reduce the BPSD using the relation between the cerebral cortex Classification and the corresponding function.

副題 キョーメーション バランス シート

井戸 和宏1),野口 代1), 宮田 真由美1), 加藤 京一2), 羽田野 政治1),

岩田 誠3),小阪 憲司4)

1)横浜福祉研究所認知症高齢者研究室, 2)昭和大学藤が丘病院 放射線部,

3)東京女子医科大学, 4)横浜ほうゆう病院,

 

【目的】医療、看護、介護の視点や知識を統合する利用者本位のケアプランモデルを追求する上で共通言語、共通の観察項目の理解が求められる。専門職が共通して器質的変化を捉えるために、細胞構造分類と大脳皮質の整理を行い、照合シート(以下KBS 《Kyomation Balance Sheet》という)の作成に至った。KBSを活用しニューロイメージング手段で確認される病変とスクリーニングによる生活機能を比較することで、認知症疾患に対しての行動観察と適切な診断を用いた残存能力の活用の可能性を検討した。

【倫理的配慮】本研究において、事前に本人・家族に趣旨を伝え書面にて了解を得ている。

【開発経過】ニューロイメージングの所見をもとにケア介入を試みるため認知症対応型共同生活介護事業所グループホーム入居者中32名のAD疾患者に対して以下の調査を行なった。

  • ① エコノモ(Economo)とコスキナス(Koskinas)の細胞構築分類とブロードマン(Brodmann)による大脳皮質の機能地図を照合、比較し、皮質の分類と機能との関連について整理した。
  • ② 脳機能検査としてのニューロイメージング手段として、MRI,SPECT画像を終脳の回、溝、葉と照合、比較し、萎縮部の深度並びに

程度を考察した。MRIでは、構造上の変化と、脳萎縮状態を検出し、冠状断のイメージより正常者と比べ萎縮程度を検出し照合、比較。

SPECTでは、CBFイメージから皮質での脳循環代謝量の低下を検出し照合、比較。

③    ①と②より皮質の分類と機能との関連を整理。

④    臨床より、学習、記憶、知覚などの複雑な機能の状態をHDS-R,MENFIS,WAIS-R及びアセスメント情報(MDS2.1)によりBPSDの発生状態を把握、比較検討を行なった。

⑤    ③と④を整理し残存機能の把握、考察を暫定的に行い、KBSを作成した。

以上のことから、発症するBPSDを予見し残存能力を用いて、精神面、身体面を刺激する手段を考察、医療、看護、介護を統合したケアプランモデルを開発した。また、損傷部位により考えられる機能の障害と実際の生活に表れる症状との比較を入居時より実施したWAIS-R、HDS-R、MENFISの結果とMDS2.1にて経過観察し領域検討を行なった。

【結果・考察】実際の行動観察と、機能とが一致する可能性の可否でなく、BPSD発症を予見することで、介護上での対人援助がスムーズとなり残存機能の賦活法としての可能性が示唆できた。

 

 

 

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