2004年MDS学会 「痴呆性高齢者グループホームにおけるMDS2.1を利用したケアプランの作成と事例報告」

発表者 井戸和宏 羽田野政治

[目的]

本研究では、正常圧水頭症で尿失禁のあるクライアントに対して、尿失禁および随伴症状の改善を目的とし、MDS2.1を用いたケアプラン作成に基づいてアプローチを行い、その効果検証を試みた。

[対象者]

68歳女性 既往症;正常圧水頭症・脳腫瘍(H13.1発症)

正常圧水頭症に特有の記憶障害、自発性低下を主とする痴呆と歩行障害、尿失禁が臨床症状として見られる。

[尺度]

  • ・ 1;アセスメントとケアプラン作成(monthly)
  • ・ ケア記録(メロウフレンド);排尿と尿失禁回数記録・様子(daily)
  • ・ 在宅健康管理システム;体温・体重・血圧・心電図測定(daily)
  • ・ 医療的検査;血液検査・MRI・MRA・WAIS-R(神経心理学検査)・栄養元素検査
  • ・ 外的環境測定;天候・気圧・気温(daily)
  • ・ 調査期間;8.30~H16.10.11

[研究方法]

正常圧水頭症による痴呆症状の中核症状である精神障害・気分障害発症時は、心的葛藤が頻繁に起こる。知的機能の低下に対する自覚も欠如される為、随伴症状の発症や問題行動も様々に表面化する。これを未然に防ぐために、自然的環境変化・

生理的環境変化のデータを取り、要因となり得る環境変化について検討した。このデータをMDS2.1アセスメントにより領域検討することで、ケアプランを作成した。

[ケアプランアプローチ]

  • ・ 食事療法;動脈硬化、高脂血症を防ぐ減塩食,1200ml/日以上の水分量
  • ・ 運動療法;ブレスエクステンション,パーキンソン体操
  • ・ 薬物療法;アリセプト,抗血栓薬,抗てんかん薬
  • ・ 非薬物療法;Kyomation care(対人援助技術),RO(現実見当識訓練),欲求への働きかけによる達成動機の支援,定時排泄誘導

[結果]

集中的にアプローチを行ったH15.11とH16.6は尿失禁回数が有意に減少した。

また、TIA発作(H16.3)以後ADLが低下するが、それに伴う情緒機能の悪化を防ぐことができた。

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