日本ケアマネジメント学会 第14回研究大会

ドイツに住む家族介護者の心理的苦痛への支援

〜KCiS情報共有システムによる継続的アセスメントと遠隔介護・医療の実際〜

 

梶原千津子1)・原啓子1)・羽田野政治1)

1)(認知症高齢者研究所・会員番号4702・4837・5003)

日本に住む両親は、父はアルツハイマー型認知症ADで母は末期ガンに罹っており余命3ヶ月の宣告を受けていた。娘は、生活圏をドイツのフランクフルトに移しているため、両親の介護のため日本に帰ることもできず心理的苦痛は増すばかりであった。介護施設や病院への入院を視野に入れていたが、ADの父を看病していた母の願いは、在宅で父と暮したいという意思があり、娘がその意思を叶え在宅で看取りたいという希望から、情報共有システムKCiSを活用し、海外に住む家族が介護に参加できる利点を説明、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスを利用して、ケアマネジャーとの共同マネジメントにより家族介護者の援助を行った。

研究目的

近年は、健康機器のデジタル化促進と通信の融合により、介護職や医療職によって日々蓄積されるケア記録と連動することで継続的アセスメントとPHR:Personal Health Recordが可能となった。
そんなPHRの中でも、過去のデータ(Big Date)に照らし合わせ分析することによって、最も有効であった介護・医療サービスを提案するシステムとして構築したのがKCiS(Kyomation Care Interface Systemクラウド型マネージメントシステム)である。
そこで、本研究はKCiSを定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスに活用して、日々の健康状態を継続的アセスメントにより身体症状と日常生活情報を海外在住(ドイツ)の家族が介護者としてリアルタイムで参加し、日本に住む両親の介護・医療・予防・健康管理を遠隔で参加した結果、日本に住む両親の様子や状態の変化及びKCiSを活用した安全なID・認証連携・情報流通を実現するPHRの効果や問題点などについて検証し報告する。

 

倫理的配慮

研究については事前に本人および本人の家族、サービス事業所管理者に研究報告の目的・方法・趣旨を伝え得られた情報は演題発表以外には使用しないこと開示すべき内容には利益相反関係は無いこと個人情報保護に努めることを説明し了承を得ている。

研究方法
A氏、夫、90歳、要介護2、アルツハイマー型認知症、高齢者の自立度A1、認知症の自立度Ⅱa。
B氏、妻、85歳、要介護1、膵臓癌(末期)、緑内障、高齢者の自立度Ⅱa
情報共有参加者
家族、医師、介護士と看護師、薬剤師、ケアマネジャーが介護、医療、予防、健康管理の情報共有をKCiSで行い、そのケアの様子を家族と共に確認し支援した。

 

研究結果
在宅医療や介護などが、地域連携により遠隔地(海外)で暮らす家族との情報流通の可能性が示唆できた。

遠隔地で住んでいる家族が情報共有システムを活用することで、介護に参加ができることは、今後の地域密着型において有用と言える。

 

考察

Georgeらによれば、介護者は心理的苦痛を生じるリスクが高いと言われているが、日本にいる両親のストレスと海外にいる家族間ストレスレベルが軽減できたことが定期的に行った質疑応答の回答から考察できた。

また、今回はドイツという遠隔地で時差があったため、家族のレスポンス(反応)に時間がかかった点は歪めなかったが、確実に情報共有が遠隔で行われ、家族の介護負担の軽減に寄与できたと考察できた。

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