ライフサイエンス~第2章 ナノテクノロジー~★遺伝子工学が生んだデザイナーベビー★

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ナノテクノロジーのおかげで、人類は不死身に一歩近づきました。

しかし、それもまだほんの助走です。

次の時代では、自らの遺伝子に手を加えます。

科学者たちは、遺伝子暗号に変更を加えること、いわゆる遺伝子編集に着手したのです。

 

 

分子のハサミと知られる制限酵素は、DNA事態を切断してから螺旋の小さな部分を接合したり、取り除いたりといった編集が出来ます。

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https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13206015/

これにより、今まで障害だと考えられていたものが、次々とひっくり返っているのです。新たに歯は生えないとか、新しい脳細胞が育つことは無いと考えられてきました。

20171203現在では、歯胚から新しい歯が生えることは知られています。

成人期の脳の神経発生も当たり前のようにあり、刺激を受けることがあることも分かっています。

このような暗号を解くことが出来るようになったわけです。

しかし、人にも有効期限があります。遺伝暗号がある期間で失効するようになっているのです。とても不思議なことです。

プログラムを組み直し期限を延長したり、期限自体を無くしたりできないでしょうか。

 

 

人間の構成要素を操作すれば、不老の泉への道が開けるかもしれません。

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科学の力で加齢の速度を遅めたり止めたりすることさえできるかもしれません。

子供や孫の世界では、もしかすると30歳になった瞬間にピタッと止まる。

遺伝子工学のお陰で、ずっと長い時間を得られるようになるのです。

しかし、今日でさえ、イタリアのベルバーニア(Verbania)では、長生きをする遺伝子をもって生まれた幸運の人達がいます。

健康第一の方々にとっては最高の贈り物、宝くじに当たったのも同然です。

エマ(Emma Martina)はイタリア史上最高齢の人物です。

20171205https://jp.reuters.com/article/oldestwoman-idJPKBN13P09H

30年来の主治医であるDr.カルロ(Carlo Bava)は、エマとの出会いはかなり愉快だったと言います。

診察をすれば、いろいろな健康上の問題が見つかるだろうと、Dr.カルロは思っていたそうです。

ですが、そこにいたのは、しっかり自立した90歳の女性でした。一人で暮らしていて、猫を2匹飼っていました。エマは何時でもテレビを見ていて体調も概ね良好でした。

エマのケースは希でDNAに長寿の暗号が記されていたのです…とは言え、主治医に恵まれなかったら、ここまで長生きするのは難しかったでしょう。

Dr.カルロは出会ってから30年間、週1回のペースで訪問していましたし、必要があれば、毎日でも訪問していました。もちろん電話があれば、夜中の何時であっても直に駆け付けました。残念ながらエマは、2017年4月15日117歳で亡くなりましたが、日本には世界に先駆けた24時間の訪問医療や看護、介護、髄時対応のサービスがある素晴らしい国だと聞いていると。日本が長寿国である理由が分かりますね…とDr.カルロは言います。

長生きするためには、DNAだけの問題ではなく生きて行くための見守りサービスも必要だということですね。

さて、老化自体の原因を突き止め、治療できる未来を想像してみてください。

エマのように117歳でも耳が聞こえ、歩くことが出来、タンゴだって踊れたのです。

20171206近未来、医療は形を変え、よりパーソナルになるといいます。

ゲノミクスを始め状況に応じて、予測することが可能になるからです。

遺伝子からなりやすい心臓病や癌が分かるようになって、もとから予防しておくことが出来るようになるのです。

ハバード大学のエバン博士(Evan Daugharthy)は、現時点では、遺伝子工学はその方向性を選んではいませんが、遺伝子治療は既に病気の治療に役立つ大きな一歩を踏み出していると言います。人間の病は、分子の欠損によって発症します。そこで、エバン博士たちは、細胞の中を見る方法を考案しました。その方法を使うと実際に突然変異も見られるそうです。

細胞の中を見ることで、問題を把握すれば使える薬が分かって遺伝子を元に戻したり変異を修復することが出来るようになる…とエバン博士は言います。

遺伝子レベルで問題を特定し変更することが出来れば、末期の疾患を避けられるようになるのではないでしょうか…人間の生き方が革命的に変わることになります。ちなみに余計なことかもしれませんが、私は、新陳代謝をよくして食欲旺盛のまま長生きしたいですね。

人は悔いが残らないように、過去の失敗を反省し、埋め合わせしようとしながら生きています。亡くなった人を思い浮かべてみてください、もしあと1年、5年10年生きられたなら、あなたなら何を伝えましたか‥

つまり、私は、そこに科学を超越した、感情的で感傷的な部分があるのはないかと思っています。

ところが人類は、遺伝子工学で手に負えないパンドラの箱を開けようとしています。自分たちよりも優れた人間を作り出す過程で、人間の最も価値ある特徴を取り除いてしまうかもしれません。

自分に関する、大事な部分を取りあげられてしまうでしょう。

そんな、トライアルの第一歩が“デザイナーベビー”かもしれませんね。

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/203154/1/future.life_1_34.pdf

デザイナーベビーなどの遺伝子工学は、政治的にも議論になる事柄だと言えます。例えば、自閉症や鬱のような症状を排除したら、全体的に失われしまう多様性は、どのようなものとなるでしょうか…歴史的に診ても偉大な芸術家や音楽家、科学者達もこのような病を抱えて発想や発見が起こった訳です。

時がたち、遺伝子工学の利用が拡大するにつれ、考え方やモノの見方は1つになってしまうことで、逆に近未来では多様性の有難みが分かってくるはずです。

ここが最大の課題だからです。

大事なものまで捨ててしまわないか、悪質とみなした性質を排除する際、個性を形づける肝心なものまで排除しないように注意しなければなりませんから非常に高度な綱渡りです。

20171207我々のゲノム研究は、健康寿命を最低でも数十年延ばす手段ですが、面白いのはそこからなのです。

将来、ナノテクノロジーが我々の体や細胞を修復し、遺伝子工学の力で病気を根絶してくれるはずです。身体を健康に保つ形質のみが選びだされるようになるのです。

これは、充分素晴らしいことですが、死に関しては、また別の難しい問題が残されています。

本気に永遠の地に辿り着こうとするならば、肉体を捨て、自らをスーパーコンピュータにアップロードしなければなりません。

 

 

 

20171208これは重大な問題をもたらします。未来では、想像を絶する選択を迫られることになるからです。

もしも、貴方だったら心のアップロードを行いますか…

第3章は、長寿と不死を隔てる亀裂を繋ぐためには、脳をデジタルネットワークにアップロードすると言う大きな一歩を踏みだしてきたお話です。

 

 

 

 

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